Epilogue
――空は、今日も変わらずそこにある。
いくつもの想いを乗せ、いくつもの翼が行き交っている。
そこには、無数の“日常”が重なっていく。
誰もが見上げる空の向こう側。
それぞれが誰かの背中を見つめ、誰かに想いを託してきた。
怒り、涙、後悔、希望。
そのすべてが交差していく。
完璧ではなくても、人は人を支え、誰かを想って進み続ける。
なぜなら――それが生きるということだから――。
この空の下で、今日も人が人を導いている。
そして明日もどこかで、新たな物語が始まる――。
2026年10月―。
秋の夕暮れ。羽田空港ではオレンジ色の光が滑走路を染め、ガラス越しに柔らかく部屋へと差し込んでいた。管制保安部の静かな廊下に、控えめなノックの音が響く。
「失礼します。」
片山直樹は扉を開け、静かに一礼した。部屋の奥では佐藤健一が書類に目を通している。デスクの上には、湯気を立てるコーヒーと整然と並んだ書類の束。佐藤はゆっくりと顔を上げ、穏やかな声をかけた。
「来たか、片山。」
その声には、いつもの厳しさと共に、どこかためらいのような柔らかさがあった。
「お話があると伺いましたが?」
片山がデスクの前に立つと、佐藤は手元の書類を閉じ、ゆっくりと息を吐いた。
「……ああ、実はな。君に異動の内示だ。」
片山はわずかに目を見開き、短く息を止めた。ほんの一瞬、沈黙が訪れる。やがて静かに視線を落とし、表情を整えると、小さく頷いた。その顔には驚きと戸惑い、そして覚悟が交錯していた。
窓の外では、一機の旅客機が金色の空をゆっくりと離陸していく。
夕陽がその背を照らし、長い影を部屋の中へと伸ばしていった。
Naoki Katayama will return in AIRPORT 4.
片山直樹は"AIRPORT 4"で帰ってくる。




