紙芝居事件~クライマックスが消えた!?~
ある日の午後、ひだまり園のレクリエーションで、杉本さんは「浦島太郎」の紙芝居を担当することに。
いつも元気で明るい杉本さんは、利用者さんたちに楽しいひとときを提供しようと、気合十分!
「今日のお話は、浦島太郎です!さぁ、みんなで一緒に楽しんでね!」
近隣の保育園の子どもたちや利用者さんたちが期待の眼差しを向けて、杉本さんの紙芝居が始まった。
杉本さんの声に合わせて、絵をめくると、
「浦島太郎は、助けたカメに連れられて竜宮城へ行きました!」
「お~、竜宮城、キラキラしてる~!」
子どもたちの目が輝き、利用者さんたちも楽しそうに話を聞いていた。
「あ、次は乙姫様が出てきますよ~!」
杉本さんがページをめくると、まさにクライマックスのシーン。
「…あれ?」
ページをめくってみると、“クライマックス”が書かれたページがない!!
「えっ、なんで!?どこに行ったの!?」
すでに話が大盛り上がりになっている中、杉本さんは焦り始めた。
「どうしよう…どうやって終わらせよう…!!」
手元の紙芝居を必死に探し回る杉本さん…、
その間にも、利用者さんたちの期待の視線が集まっている。
「うーん…ここはアドリブで行こう!」と杉本さんは思い切って、物語を即興で進めることに決める。
杉本さんは心を決めて、ページをパッと閉じる。
「えーっと、えーっと、えーっと…えええ!?浦島太郎が竜宮城でみんなと一緒にダンスを踊るんだ!」
「ダンス!?…そんなシーンなかったはずだけど…まあいいか!みんなで楽しくダンスを踊って、浦島太郎も元気を取り戻すんだ!」
「ほんとにダンス!?」
子供たちと利用者も心配そうな様子で見つめる。
「ええ、踊るんです!浦島太郎も乙姫様に誘われて、一緒にダンスを踊るんだよ!」
「えぇ!浦島太郎が!?」「うん、そう!竜宮城の中でみんなで楽しく踊るんだ!」
そして、杉本さんは唐突にその場で「恋するフォーチュンクッキー」のダンスを踊り始める!
「♪恋するフォーチュンクッキー、未来はそんな悪くない♪」と、足をステップしながら手を大きく振り、時にはクルクルと回ってみせる。
周りの職員たちが「えぇ!?杉本さん!?」とびっくりしつつも、大爆笑。
職員たちの爆笑が止まらない!「杉本さん、ノリノリだね!」
杉本さんは必死に振りを合わせ、最初は恥ずかしそうにしていたが、だんだんとノリノリに!
「えっ、これってもしかして本当に盛り上がってる…?」「あ、なんか楽しいかも!」と、杉本さんもつられて笑顔になっていく。
子供や利用者さんたちも大喜びで手をたたいてリズムをとり、どんどん盛り上がる。
最後に、ダンスを終えた杉本さんが汗だくになりながら息を切らして立ち止まる。
「ふぅ、なんとか…終わった…!」
職員たちからは大きな拍手と笑い声。杉本さんもつられて笑ってしまい、「もしかして…これが一番楽しい終わり方だったかも…」と、安堵の表情。
「次回は、もうちょっとページをしっかり確認してからお話ししよう!」と、ほっと胸をなでおろす杉本さん。
利用者さんたちの温かい拍手とともに、紙芝居の時間は無事終了。
「ふぅ、なんとか乗り切った…」と、杉本さんは思わず深呼吸するのであった。




