崩壊:終章Ⅱ ”それ”は日常の裏に……
その後、学校に残ったのは多くの女子と荒事を好まない少数の男子だけだった。
他のやつらは退学届を出してZ部隊に行った。
俺は学校にいる意味が分からなくなり、退学届を出した。
最後の授業は、戦争についてのことだった。
その日、俺は手続きですっかり帰るのが遅くなっていた。手続きする人間が多すぎたのが原因だろう。
「ヤバい!急がないとタイムセールとポイント三倍と割引シールが貼ってある商品が終わっちまう!」
帰り道、俺は急いでいた。理由は単純にして明快。食料品を安く、お得に仕入れるためである。買い物をする上で考えなければならないことはどれだけ安く質のいいものをお得に手に入れるかということだと思っている。
「……よし、今日はこっちを通ろう」
この時間には割引狙いの主婦や会社帰りのサラリーマンが多くスーパーに足を運ぶ。この買い物に負ける訳にはいかない。俺だって数日分の食事がかかっているのだ。
色々な店がある大通りから少し離れた通り。工事中の建物があったり店が閉店していたりして昼間はそれなりに人通りがあるが、夜になると全くと行っていいほど人が通らなくなる道だ。
情けない話だが、俺はあまり暗いところや人通りの少ないところを好まない。が、数日間の食事がかかっているとなれば話は別だ。別に明日にすればいいだろうと思う人もいるかもしれないが、閉店間際の割引シールとポイント三倍セールはそれだけ魅力的なのだ。
「はぁ、はぁ、はぁ」
俺の息遣いだけが大きな通りに響き渡る。
「ヴゥ〜」
そういうわけではないらしい。
俺は嫌な予感がして声のした方……前方を見ると、あちこち破れていて薄汚れた服を着て肌が変色した人間……ゾンビだ。
「うわぁっ!?」
走っていた中で急に飛び出してきたゾンビを避けることができず、俺は走っていた勢いそのままにゾンビに激突してしまった。
「あ”ぁ”〜」
「ひぃッ!?……うぐッ!?」
突然出てきたゾンビに驚き、情けない声を上げてしまった。
――――――直後。
腕に激痛が走った。見ると、ゾンビが俺の腕に噛み付いていた。
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