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Pandemicafter  作者: 鈴花雪嶺
第一章 Pandemicafter
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崩壊:中章 日常は崩れ去り、

 「Z部隊だ!」


 「Z部隊が来たぞ!」


 「Z部隊が来てくれたんだ!」


 多くの人々が口々に言う。口に出すことで現状を認識して安心しようとしている。人々の目に希望の光が宿ったように見えた。


 いや……これは希望というより狂信の光に近いのかもしれない。Z部隊が来た途端、全員が窓の外を必死に見つめ、ギラギラとした瞳でZ部隊を凝視している。


 そのいようとも思える光景に俺は絶句した。自分で抵抗しようとするわけでもなく、自分の運命を……命を他人に全て任せ、自分は大きな流れに流される。俺は……俺は、そんなのごめんだ。


 俺が一人考え事をしていると、Z部隊の隊長らしき人物が何やら指示を出していた。


 「第六部隊、武装用意!」


 その声と同時に、隊員たちが一斉に変身ヒーローのベルトのようなものをみぞおちのあたりにかざす。すると、ベルトのバックルのような形状のそれからベルト部分が伸び、腰とバックルを固定する。


 「認証開始!」


 隊員が一斉にバックルのタッチパネルのような部分に触れる。それと同時に、バックルから機械的な音声が響いた。


 『指紋認証、クリア。適正ユーザーです。ユーザー番号、163。使用が許可されました』


 「武装を開始せよ!」


 リーダーの声で隊員たちは一斉にベルトについていたホルスターのようなものから黒いカードを取り出す。そして、取り出したカードをバックルに挿入した。


 『アクセス、確認。システム、セキュリティ、オールクリア。正常です。武装、申請……承認されました。武装、開始します』


 その音声が聞こえたかと思うと、バックルから黒いものが無数に飛び出し、隊員たちの体を覆っていく。


 特撮ヒーローのような変身はもうおとぎ話ではない。戦争のための科学技術の発展ですでに実現されている。ヒーローのようにかっこいいという訳では無いが。


 数秒と経たずに隊員たちは体全体に黒光りする装甲が付き、顔はバイクに乗るときに着けるヘルメットのようなものに覆われていた。顔は黒いマスク部分に覆われていて見えない。隊長らしき人物だけ少し武装が豪華で所々に赤い色がついていた。あれは少しかっこいいかも。


 「総員、配置につけ!前衛は掃討、中衛は援護、後衛は守りに当たれ!」


 隊長の言葉で隊員たちは装甲の手首の部分の留め具のようなものを外す。すると前衛の左手首には小さな円盾。右手首からは剣のようなものが出ていた。中衛は円盾を出したあと、腰のあたりの留め具を外し、拳銃を取り出し、構える。後衛は、バックルのタッチパネルをいじって右手首に大盾を出現させ、構える。


 「今もまだ市民が襲われている!総員、掃討開始ぃ!」


 その号令を合図に、前衛が一斉に切り込んだ。ゾンビたちが……体は腐って理性がなくなった元人間たちがスパスパと切られていく。


 ゾンビの攻撃は盾で防ぎ、剣で首を落としていく。


 ゾンビはどんな攻撃を受けても基本は死なないが、欠損部位の修復はできない。それに、脆い。体が腐っているからだ。だが、どんなことにも例外はある。ゾンビは、首を落とされると活動を停止する。死んだのか、動かなくなるのかはわからない。研究途中だそうだ。


 とにかく、ゾンビを倒す方法は2つ。首を落とすか、バラバラにして動きを封じるかだ。


 前衛が押し切られそうになるところに中衛が銃を打ち込んで動きを一瞬にぶらせ、その隙に前衛が倒していく。


 あっという間にゾンビたちは倒され、俺たちのもとまでZ部隊が来ていた。


 後衛が俺達の前にゾンビをかき分け移動し、大盾で俺たちを守る。それを後ろから前衛たちが倒していく。


 


 数分後、ゾンビは掃討されたが、それは俺たちの顔見知りが殺されたということでもある。だが、誰もそのことについて悲しむ素振りは見せなかった。


 それどころか、そんな人間ははじめからいなかったかのように扱っていた。


 俺は、気味が悪かった。それと同時に気分が悪くなっていくのを感じた。

今回も読んでくださりありがとうございます。高評価、ブックマーク登録もありがとうございます。いつも励みになっています。

不定期投稿ですが、次回も読んでくださると嬉しいです。

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