臨界:序章 状況は変化する
「!?」
ゾンビ関係のことには過剰なほどに反応するくらいがちょうどいい。特に今回のような普段とは違うパターンの時。
いつも警報が鳴るのは学校にゾンビが侵入してきた時で、その時はすぐに教師が対処する。だが今回は何だ?何が起きたかわからない。
『素芽野市にてゾンビの大量発生を確認。感染が拡大しています。素芽野市の住民の方、現在素芽野市にいる方は速やかに避難してください。繰り返します。現在————』
感染拡大!?そんなこと今までで一度もなかったぞ!いや、むしろそれが偶然で今までの平和とパンデミックの再来の均衡はすでに崩れる寸前だったのか?
いや、今は考えている暇はない。素芽野市には俺の家もある。父さんと母さんから受け継いだ大切な家が。
家まで約15……いや、長く見積もって20分。その間にZ部隊がどこまでやるかだ。
「はぁ……はぁ……ゲホッ……ゴホッ……はぁ……はぁ……」
きつい……!クッソきつい!!肺が痛い。息ができない。体が重い。今すぐに休みたい。でも、ここで走らないでいつ走る!夏休み……俺にとっての走れメロスってこんな感じだろうな……。何考えてんだろう、俺……。
電車に乗って、やっと一息つける。そう思い駅に行くと、電車が止まっていた。素芽野市から遠ざかる電車だけ動いている。……走るしかないか。
死ぬ……マジで死ぬ……
それしか考えられない。
ずっと全力疾走しているが、自分でもわかるほどに走るスピードが落ちている。普通に歩いている人の方が早いのではないかというほどに。
◉
人間誰でも限界を超えることが出来るものだ。俺だってずっと死にそうなくらい苦しいし、まともに息もできていない。でも、大切な、父さんと母さんの思いの詰まった家がなくなると思うと、苦しくても走り続けることが出来た。
この速さで進むと……家に着くのはあと五時間後だ。
今回も読んでくださりありがとうございます。高評価、ブックマーク登録もありがとうございます。いつも励みになっています。
次回は明日の10時に投稿します。次回も読んでいただけると嬉しいです。




