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Pandemicafter  作者: 鈴花雪嶺
第一章 Pandemicafter
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崩壊:序章 歪な日常

 「え〜……それでこのZO189はゾンビウイルスと呼ばれて……」


 くっだらねぇ。


 世界中が冷戦状態。核がなくなったら今度は生物兵器。なんのために核を完全廃止したのかわからないな。


 生物兵器の開発にも失敗してあんな事があったのに授業の内容は戦争に関係するものばっかり。こんなの洗脳と同じじゃないか。


 先生の表情を見ればそんな疑問や考えは考えるだけムダだと考えていることがわかる。


 「じゃあこのときどうやったらパンデミックをより早く終わらせるためにどんなことができたか、自分たちならどうするかをいつもの班で話し合って発表してくれー」


 先生の指示に従いながら俺たちは席の近い者たちと机を合わせてグループを作り、課題について話し合う。そんな時――――――


 ウゥ―――――!ウゥ――――――!とサイレンが鳴り響く。


 「またかー」


 そう。これは俺達にとっては当たり前のこと。


 『ゾンビ警報ゾンビ警報。ゾンビが現れました。場所は正門付近です。数は一。生徒は近づかず、手の開いている職員は討伐に向かってください。繰り返します。……」


 ゾンビ。二百年前のパンデミックで日本が生み出した化け物(負の遺産)。ほとんどのゾンビはいつの間にか()()()()()()()()が、その生き残りは今もどこかに潜んでいる。


 この高校にもたまにゾンビが来るのだが、動きが遅く、袋叩きにすれば倒すこともできて複数人で対処すれば噛まれてゾンビになることも殆どないという理由から完全に舐められていた。


 今回も手の開いている教師数人が刺股や木の棒、鉄パイプなどの武器をもってゾンビ退治に向かったはずだ。


 「なぁ、璃紅。お前もかっこいいと思うだろ?」


 「え?なにが?」


 急にグループメンバーから話を振られて聞き返す。考え事に集中していて気が付かなかった。


 「何って、Z部隊だよ」


 Z部隊。ゾンビの討伐を生業としている公務員のチームだ。何故か彼らに憧れている者が多いが、俺は彼らのどこが魅力的に感じるのか分からなかった。


 「なんでZ部隊ってそんなに人気なんだ?」


 「え?そんなの公務員だし楽そうだからに決まってるだろ?」


 ……は?そんな理由で命かけるのか?考えが浅すぎる。


 「ギャァァァァァァア!!」


 「!?」


 全員が驚きの表情を浮かべる。悲鳴が聞こえてきたのは正門の方から。それが意味することは―――――


 ウゥ――――――!ウゥ―――――――!


 再びサイレンが響き渡る。先程の悲鳴を聞いているからか全員の表情は少し硬い。


 再び放送が流れ、現在の状況を知らせる。


 『緊急!緊急!ゾンビの増援を確認!数合計六!生徒は教師の指示に従い直ちに避難を!教師はZ課への通報とゾンビの足止めを!繰り返します!……』


 「キャァァァァァァァ!」


 「どけ!俺が先だ!」


 「財布、ケータイ……ちょっと!押さないで!」


 一瞬で教室、いや、学校全体が我先にと避難したい人間の集まりになった。


 こんな時、人間は自分の利益を真っ先に優先する。なんと醜いんだろう。俺もこんな風になるんだろうか。こうはなりたくないな。


 そんなことを考えながら、俺はゆっくりと歩き出す。さっきまで一緒に雑談していた奴らはとっくに逃げ出した。薄情な奴らだ。


 避難といっても上の階に行くだけだ。だが、その道は生徒や教師でごった返している為、俺は一人教室待機だ。そんな俺に声をかけるヤツもいない。みんな見て見ぬふりだ。


 多くの人間が避難する中、悲鳴も多く聞こえてくる。誰かが噛まれてゾンビになっているのだろう。


 多くの人間が避難するのを見つめながら、マイペースに考える。


 ウゥ―――――!ウゥ―――――――!


 多くの人間が逃げ惑う中、先程とは違うサイレンの音が遠くから聞こえてくる。


 サイレンの音が直ぐ側で聞こえるようになったとき、ふと窓の外を見ると、黒いボックス車がカッコよくなったような、消防車のようにゴツくなったような特殊車両がやってきた。


 車の後ろの扉?が開き、中から黒い服に防弾チョッキという姿の一目で特殊部隊とわかるような人間たちが続々と降りてくる。


 「総員、武装を開始せよ!」

今回も読んでくださりありがとうございます。高評価、ブックマーク登録もありがとうございます。いつも励みになっています。

遅くなってすみません。しばらくはこちらを更新しようと思ってます。

不定期投稿ですが、次回も読んでくださると嬉しいです。

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