転変:序章 変化の兆し
「はぁ……」
ため息もつきたくなるというものである。ここ数日でいろいろなことがあった。ゾンビ遺伝子とはいうが、ウイルスの耐性以外はほとんど普通の人間と変わらない。一度に多くのことがあれば心も体も疲れるのだ。
俺は今学校にいる。なぜかって?学生だからだ。これまでと変わったところといえば教室にいる人数がこれまでよりも減っていることくらいだ。例の事件の後さらに減っている。
「……隣、いい?」
俺を思考の海から引きずり上げたのは、一人のクラスメイトの声だった。確か名前は……夜月零だったか。
「べつにいいけど」
俺にコミュニケーション能力を求めないでほしい。特に同年代の異性に対する俺の抵抗力は……ゼロに等しい。
「ごめん、教科書忘れちゃって」
隣に女子が座っている程度では俺の心は癒されない。
「ねぇ、今日って学校の後時間あったりする?」
「いや、今日はバイトがあるんだ」
「そっか。じゃあまた今度ね」
……何なの!?マジで何なの!?なんでそんなに距離詰めんの!?
……まぁ、特に理由なんてないだろ。変な期待をするよりは現実逃避してる方がいいや。
俺は窓の外の見慣れた景色をぼーっと眺めながら開いた教科書を零の方へ押し出した。
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