日常:終章Ⅱ その瞳は何を写す
俺は先輩に連れられて例のホテル……ラブホテルに入っていった。俺は自分の体温が上がっていくのがわかるほどに緊張していた。
今まで彼女なんていたことがない俺は、当然経験なんて一度もなかった。
チラリ、と先輩の方を見ると、慣れた様子で受付を済ませていた。こんなところに慣れている様子の先輩に、少しがっかりする。
受付を済ませた様子の先輩と目があった。
「幻滅した?」
「い、いや、そんなことは……」
「ふふっ、かわいい」
「……」
心臓の鼓動が速くなる。ドキドキという音がうるさい。顔が暑い。
「ここだよ」
ある一室の前で立ち止まり、先輩は鍵を開けて入っていった。俺もそれに続く。
「……」
「……」
無言。気まずい。緊張で喉がカラカラだ。
「……シャワー、浴びてきたら?」
「あ、ああ、そうですね」
若干声が裏返りながらもシャワールームに向かおうとして……服の裾を掴んだ先輩に止められた。
「あの……センパイ……」
「……ここで脱いでほしい……。ダメ……?」
「!?」
俺は勢いよく服を……恥ずかしくて脱げなかったのでゆっくりと服を脱ごうと着ていたシャツをめくった。
シャツが顔にかかって前が見えなくなる。ゴソゴソと先輩が動く音が聞こえる。
「ウグッ!?」
次の瞬間、腹に激痛が走る。急いで服をずらして腹を確認すると、俺の腹から血が滴っていた。
先輩の方を見ると、先輩の手には見覚えのある注射器があった。
注射器を持つ先輩の顔は醜く歪んでいた。とても普段の先輩からは想像できない。
「なんで……」
訳が分からないという表情で先輩の方を見る。
「なんでって……金のために決まってるでしょ?誰があんたみたいなキモい男とヤろうなんて考えるのよ」
「……」
「もうすぐあなたはゾンビになるわ。冥土の土産に教えてあげる」
別に頼んでないんだが。これ死亡フラグだろ。
「この薬で人間をゾンビに変えれば大金がもらえるのよ。あんたには私の金になってもらうわ」
キャハハと笑いながら、先輩は部屋を出て行ってしまった……
そのすぐ後、俺は先輩を追いかけた。
人気も防犯カメラもない中、先輩の後ろ姿を見つける。さて、どうするか……
そうだ、と思いつき、俺は先輩の方に足音を消して走りより、先輩のバックをひったくる。
「な、なに!?」
驚いた様子の先輩を無視して、バックの中を漁る。……やっぱりあった。
俺はバックの中からゾンビ化の薬の注射器を取り出して、先輩の方に向き直る。
「!?こ、紅瑠くん!?なんでここに!?」
「……すみません、先輩……。今までありがとうございました」
それだけ言うと、俺はゆっくりと先輩の方に近づいて行き、恐怖と驚きで動けない先輩に注射器を刺した。
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