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漆黒のウエディングドレス
おかしな事もあったものだ。
また私は結婚式をしている。
愛用のリボルバーは持っていないらしい。
まるで山小屋のような小さな教会
昨日消したはずの彼‥が真黒なタキシード姿で隣に立っている。
そして私は漆黒のウエディングドレス姿だ。
「悩める時も此れを愛することを誓いますか?」
目の前の神父がお決まりのセリフを言っている。
はてさてどうしたものか?
愛で世界は救えない。
愛で世界は変わらない。
誰も贖えない。
神はここには居ない。
さっき、私は最愛の人を消したのだ。
こんなことが起きるはずがない。
「誓いますか?」
「…誓い…」
何とも言えない違和感…
此処は何処で、私は誰なのか…
教会での結婚式
花嫁衣裳を着た女性
誰がどう見てもそこにいるのは私で…
でも、違和感しかない、さっき私は消去したはずだ。
記憶を辿る。
深紅のドレスを着た無表情のまま涙を流す自分の姿がある。
自分で自分を見ている感覚、そうそれはいつも一緒で器として世界を守るものとして…
「ません」
そんな言葉が自然とこぼれていた。