召喚
気がつくと、そこは真っ白な場所だった。全てが真っ白で他の色を許さないような、そんな感覚にさえ陥りそうになってしまう。
どうやら目の前には玉座があるようだ。
全てが白い・・・そう、影まで白いのだ。
まぁ、だからこそ、そこに玉座があるとは最初は気づかなかったのだから。
奥にある壁から女が一人出てくる。きっと、ここにいる約二十人の中でこの女の存在をきちんと捉えられたのは何人なのだろう。きっと三人、俺を除いて三人のはずだ。もしかしたら他の人の中にも気付いた人はいるかも知れないが、多分無理だろう。
裏世界において、その存在は表で思われているそれとは違うからだ。そう、玉座に座りこちらを見ているのは、女神なのだ。
何故分かるのか、それは実際に女神と会っているからだ。今回召喚された人の中に『天道誠仁』と言う者がいる。その者、地球に置いて魔王と神の子である。その神、罪と罰の女神『デュセルフ』である。まぁ、知らないのも無理はない。何故なら、神話の生物は存在しないからだ。よく似たのは魔界や神界にいるにはいる。だが、根本的に違うのだ。つまり・・・・いや、
この話はやめよう。とても長くなってしまう。
さて、女神は青い水晶を出した。影の色は青くなっている。どうやら全員目を覚ました・・・覚醒状態になったみたいだ。女神が口を開く。
「よくぞ来てくれました勇者の皆様。私はヘルティア。あなた方の言う女神です。あなた方は地上に生まれた魔王を倒す為に召喚されました。元の世界には魔王を倒す事で戻れるでしょう。まずはあなた方が世界に適応できるようにステータスプレートを体内に取り込んでいただきます。この水晶に手をかざしてもらうだけでできますので簡単ですよ。さて、話はその後ですね。」
胡散臭い。何故魔王が敵だと言い切れるのか。確かに女神視点そうだろうが、人類視点はどうなのだ。そこの説明がされていない。何故自分が正しいと言い切れるのか説明してない。まぁ一般人だと気づかない点だとは思う。何せ父さんや母さん(実は母さんはこの手の話をしたく無いらしい。父さんに聞いたら「ただの黒歴史だろあれは。」と言っていた)も同じ口頭から始まったと言っていた。それで信じる人は実際、混乱してなかったら居ないだろう。
まぁ話を戻そう
そこまで言うと、俺たちは出席番号順に確認を始めた。大体が赤や青、緑だったが、一部黄色、俺だけは黒だった。確認が終わり、女神がまた口を開く。
「ありがとうございます。細かい項目は『ステータス』と唱えると写ります。『ステータスオープン』で他人からも見えますのでお忘れなきよう。それでは、一度確認してみましょう」
俺は「ステータス」と唱え確認する。こう写った。
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岩樹冬仙 人間 男 16
Lv1
STR 6
AGI 8
VIT 4
MGK 3
スキル
〈時間停止Lv.1〉〈剣術Lv.2〉〈体術lv.2〉〈鑑定Lv.1〉
異能
〈第六感覚〉〈第九感覚〉〈生命確認〉
魔法
〈火魔法lv.0〉〈土魔法lv.0〉〈黒魔法lv.0〉
称号
〈召喚されしもの〉〈神殺しの子〉
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「すげぇ!ゲームみたい!」
「みてみろよ!俺魔力12もあるぜ!」
等と聞こえる。俺の周りに人が集まってくる。虐めていた奴らではなく家族ぐるみの付き合いの奴らだ。愛知が最初に声を上げる。
「冬仙様。我らも確認が終わりましたが、いかが致しましたか?」
それに俺は返す。
「まず聞きたいが、お前らに称号〈勇者〉は出ているか?」
それに対し愛知ははい、と答える。
「異能や、召喚特典以外のスキルはどうだ?あぁ、あるかどうかだけで良い。」
それに対し愛知は答える。
「はっ。まず異能は天道が発現致しました。既存の、地球由来のスキルとしては、私と石田が発現致しました。他のものに関しては確認しておりませぬ故、確証はありませんがおそらく発現していないかと」
ふむ・・・異能は人生に於いて、普通で有れば、どの世界においても発現出来ない物をさし、対生物など、一定の水準まで昇華された物をスキルとするのか?しかも、私や石田、愛知がスキルを発現しているのに何故天道だけが発現していない?天道も一応とは言えないぐらいには強い。まぁ武器は長物二本だからスキル判定にできないほど前例がないのだろうが。
「これからの方針を伝える。おそらく俺はほぼ確実に消される。なので、俺が目の前で殺された場合は地上に送還され次第離反、独自で地球に帰還せよ。どこかの迷宮などに送還された場合は俺は必ず生き延びる為俺を信じて少数派になっていろ。俺が必ず大きく動く時に離反し、俺の元にこい。その時に連れてくるのは、完全にこちらの味方だと言い切れる者だけだ。良いな?」
まぁこれは想像しやすい事態だからな。最悪はこれでは無い。もし女神が最初から嘘をついていて、昔父さんが封じた神の一族で敵討ちのための召喚ならば帰ることはできないと言い切れる。だがその為に他の人まで召喚するか?・・・もしかしたらするかもしれないな。早計だったか。
それに対し三人は揃えて「「「はっ」」」と返す。女神が手を叩く。それを確認して、俺たちは黙る。
さて、これからどうなるのか、この女神次第だ。
異能の能力などは後に確認しますので、予想などしていてください。尚、六や九は十二面体サイコロで決めました。これから他の数字の能力を詰めていきます。