追憶 地獄狼・オルガ
追憶編の前編です。ちょっと長くなってしまった。なんだかんだ言って勇者編を除くと前後編は初めてかな?まぁ良いや。オルガの半生をお楽しみに!
(私が書き切れてないところは自らの想像力で楽しんで下さい)
生まれた時、目の前には女がいた。その時は気がつかなかったが、その女は女神だった。・・・あぁ、比喩的ではなく、本物の女神だった。その女神は俺に名前をくれた。オルガ。止まらぬ者。周りを引っ張る者。俺は嬉しかった。だから力をつけようと特訓していた。
俺は強いことを知った。その辺にいるやつには負けないことを知った。俺は一番強いのだと思っていた。それでも、あの女神を除いてとは注釈がつくが。俺はそれでも強くなろうとした。あの女神が言うのだ。『外の世界へ行ってみなさい。もっと強い者は大勢います。蒼き星の外星型生物の一族や人のまま人から外れた戦闘鬼の一族、赤き星には全てを喰らう大罪の龍や同族に特化して化けた龍などもいます。それら、今私が告げなかった星にも貴方では太刀打ち出来ない存在はいます。まだ上を目指しなさい。そしていつか、本物の強者になりなさい』と。俺はその言葉に従った。女神は一度も嘘をついたことがないからだ。
俺は更に外を目指した。道中の生物はこれまでよりかは強いが、俺には勝てない。まだ俺の方が上だ。しかし、俺の知らない力を使う奴らが現れた。俺はその技がどう言うものかを考えた。何故その現象が発生するのか。それを考えているうちに、俺はその力が使えるようになった。それでも、燃える力、水の力、風の力、雷の力、回復の力、空間の力は扱えなかったが。それでも土の、地の力と闇の力は扱えた。俺はその力を扱う者たちを倒せた。
更に外を目指していた途中、自らを龍だと名乗る存在に遭遇した。その龍は強かった。俺以上に。俺の攻撃は通らず、相手は見たこともない『力』を使う。俺はその時、自らがどれだけ甘えていたのかを知る。なるほど、たしかに。俺よりも強い奴はいる。女神の話で出てきた地獄のようだ。ならば、その地獄をここに顕現させよう。
俺は『力』を高め続けた。龍に勝つ為に。そして、完成した地獄は龍に通じた。そしてさらに時が経ち、やっと龍に勝つことができた。龍は強かった。女神の次に強かった。しかし、俺はその存在にも勝ったのだ。俺は更に外を目指した。
道中、強い奴はいたが、地獄には敵わなかった。そしていつの日か、俺は【地獄狼】だといわれるようになった。そして俺はこれまでで一番強い存在と出会った。死神だとそいつは名乗った。女神を除けば、二番目の存在だった。俺が【オルガ】を名乗ったのは。
俺は最初から本気で戦った。地獄を顕現し、その過程で仲間になった、【三首ノ狼】や【審判ノ狼】も呼んだ。地獄の罪も顕現させた。『力』を身体に巡らせ、全力で挑んだ。
しかし、死神には勝てなかった。死神は『神』の力とどうやら『地獄』の上位である『深淵』の力を用いていたのだ。勝てるわけが無いと思った。しかし、女神の言葉が過ぎる。『諦めることはそのことが逃げる事なのです。逃げていてはいつまでも強くはなれません。いつか超えられないと思う壁が来るかもしれませんが、それを超えることが生物には出来るのです。生憎私は女神なので超える壁も超える方法も持ち合わせてはいませんが・・・それでも、オルガ、貴方は生物なのです。故に、超えられない壁など無いのです。勝てない相手は強くなれば勝てます。力の限界は超えられます。それを信じて、忘れずに、これからを生きなさい。いつか必ず貴方を救うと信じて』俺はその言葉を信じた。相手に勝るのはなんだ?機動力では勝てていると思う。瞬発は確実にこちらの方が上だ。いくら向こうが滑らかに動こうが、その先を読めば良いだけの話だ。となると・・・
『魔力認識型魔法・・・魔力が発生した場所に対しその魔力の密度に応じた速さで移動・・・』
俺は多分新たな領域に入ったと思う。この魔法は相手も使って来なかった魔法だから。
『ふむ、ちゃんと作れたようだな。では行くぞ死神よ。魔力反応型空間作用魔術式・・・魔速!』
俺は至る所に土の槍を作り出した。もちろん地面から出てくる感じで。そこに移動をすることにより、
『ふむ・・・まさかまさか、そのような対処をしてくるとは・・・なんと愚かな。まさか対処できないとでも?』
そいつは至る所に奴の『力』を使ってきた。俺はそれが自らの思い通りになったと内心、ほくそ笑んだ。もしかしたら顔に出ていたかもしれないが。俺は奴の力すらも利用して奴も追い詰めた。奴の防御力はかの龍よりも格段に低い。この爪も、牙もやつには届く。
『思い知ったか!お前の魔法を俺が利用しないとでも!?それが貴様の敗因だ!』
俺はこの戦いに勝ったのだ。そしてさらに外を目指した。そしてその途中で見つけた星に降り立ち、一つの洞窟の中に入った。その洞窟の広い場所で俺はかの死神が使っていた『深淵』の力を顕現させようとしたが、ついぞ顕現は出来なかった。その状態で時が経ち、五人組の人間だった。その中の一人を見て即座に感じ取った。
・・・あぁ、これがきっと俺の中で最高の戦いであると同時に、俺が死ぬかもしれない、女神よりも強い存在だ、と。
はい。ここまで書きました。冬仙戦は来週ってことで。
ここまで呼んでくれて少しでも面白かったり続きが気になると思ってくれたら幸いです。下の星を付けてくれると作者は嬉しいです。感想は随時受け付けています。




