強化?狂化?
俺は呆けている彼らに対し説明をする。
「お前らはここまで来るのに強いと思っているだろうが、本当の強さは何時でも、何処でも、どんな場面でも十全に発揮されるものだ。俺なんかは寝ていても可能だが---まぁ、そこまでは求めない。だが、一人になった、苦手な場所に飛ばされた、だからどうした?お前らの強さはその程度のものなのか?だとしたらお前らは相当弱いぞ。」
ペティネが手をあげる。
「強くするとは言っても貴方にできるのですか?ここまでの会話を聞いても人に教えられる器ではないと思うのですが。その辺りはどうなのですか?」
それに対して俺は答える。というか良い質問だな。
「俺は元の世界で人に教えてきた。だからお前らにも教えることができる。見た所ではあるが、大剣に爪に短剣に槍だろ?なら問題無い。どうだ?こんな所で苦戦しない程度には強くなれるぞ?」
ギアンが口を開く。リーダーだからだろうか。立ち直りが他よりも早いな。(なお、ペティネは除く)
「その、お前から見たら、俺達は弱いのか?これでも最上位に位置しているとは思っているのだがな、それでも俺達が弱いと?」
ここは正直に言うか。というかさっきも言ったよな?そんなに受け入れられないのか。自分たちが弱いというのが。まぁ強者(自称)あるあるだな。
何?それなら俺はどうなんだって?俺は強者だと思ってはいるが父さん以上のやつだとギリ勝てるかどうかってところか。
祖父さんの全盛期とかには決して勝てない。当たり前だろ?一体何処の世界に核兵器の雨を無傷で凌ぐんだよ。しかも反撃で殲滅してるし。まぁ、核兵器無しだったら俺も父さんもできるとは思うけど、核兵器は無理。しかも、その祖父さんでさえも勝てなかったのが祖父さんの祖父さんらしいし。俺の家系はどうにも初代に近づけば近いほど強い傾向があるみたいだな。
あぁ、本題に戻らなければ、
「ああ、弱い。確かに、一般人からしたら強いのは確かだろうが、本当に強い奴は自分にいくら不利になろうともこんな所では不利にすらならないからな?それでも不利になってる時点で弱い。・・・三人。これが何を示すのか、分かるか?」
四人は考える。そうだ考えろ。まぁ、相手が話してる間に考え始めるのが効率的ではあるのだが、そんな事までは求めはしない。それでも、戦闘中は止まっては欲しく無いけどな。
さて、悩んだ結果、ペティネが手をあげる。
「ここを不利にならずに攻略出来る現在の勇者の数でしょうか?」
お、ちゃんと考えられるじゃ無いか。てか、前に話した事あったか?もしかしたらあるかもな。
「正解だ。あいつらの実力は俺がよく分かってる。その中には俺でも底を知らない奴も居る。故にお前らには今の実力が塵芥に見えるくらいまで強くなってもらう。何、簡単だよ。お前らは持てる手段全てを用いて俺を攻撃しろ。一撃入れることができるまで続ける。俺は反撃はするが迎撃はしない。」
俺は目の前に火の玉を出す。三分後に消える設定にする。
「この火が消えたら開始だ。俺は壁を背中につけない。360°の平面円と180°の半球の全ての空間を用いて俺を焦らせろ。それが出来ればある程度は強いと言うことだ。」
俺はその場を離れる。俺は黒狼の牙を4本取り出し二本を手に持ち、二本を腰に刺す。天道の奴はとても貴重な二長の武器を使う。『鎌槍の構え』は俺にしても厄介だと言える。ならそれをある程度は使えるようになる事が大切だといえよう。俺は某剣舞の世界の剣士の様に構える。火が消える。意識を深く深く・・・
最初に来るのはケティか。斥候としては正しいな。一合、二合と合わせていく。感覚を掴めたし、一度やってみるか。
「紫幻、三長---昇華」
おそらく正しくは無い。だが、俺なりの紫幻だ。ケティは俺から距離を取る。普段はそれでも良いし、今回俺は追撃もしない。これを何回か繰り返せば確かにいつかは勝てるだろう。しかし俺が望むのはそれじゃ無い。
「来いよ。四人で。」
やっと、四人が構えた。お、空気が変わったな。前からガルガが来て、あ、これは躱すか。そのまま跳躍する。下にケティがいるのでギアンを探す。いない?俺はすぐに唱える。
「土壁!」
直後壊れる。流石だな。最上位とはここまでは出来るのか。なら次!ギアンの返す剣に合わせて放つ。
「紫幻三刀・変則型!---昇華ぁ!」
俺はすぐに跳躍する。ん?蝙蝠!?牙で首を掻っ切り、魔石を喰う。
『黒属性Lv.1にレベルアップしました。』
偶々ではあるが、黒魔法を獲得したからには使うしかないだろう?
「おらぁ!黒球!---拡散!」
跳躍位置と寸分変わらず着地に成功し、俺は次の手を打つ。まずはケティ対策---!
斥候を止める方法は簡単なんだ。近づけなければ良い。まぁ今回は後ろも見れないから・・・ふぅ。
「火壁」
土の壁は壊せる。だけれど火の壁ならどうだ?
やろうと思えば消せるがこいつらでは無理だろ。後は魔法かなー。水か土、風って。おい!他の四大属性全部に消されるじゃねぇか!まぁ?バックドラフト現象利用すればかなり広範囲に攻撃できるけど。今回やるべき方法じゃねぇな。て事で正攻法!おっと、前からガルガが来た。牙を構えて---
「紫幻四刀---表裏!」
この技はすり抜ける技。剣にかかる全ての力をいなし、後ろに送る。そうする事で相手は進行方向上の向こう側に移動する。これは自分にかけると高速移動できるけどめんどくさいからあまり使わない。今後も多分使わない。
これで一人。さて、あとはどうしますかねー