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第8話:大人のお遊び

 「ロン」


 「うぎゃー!」


 修学旅行の夜。僕と秋馬と西と岡辺で仲良く麻雀をしている

 やっぱり修学旅行の夜といったら、みんなで麻雀だよね


 「いや違う! おかしいよね!? 岡辺なにやってんの!?」


 「あぁ? 昼のイベントのことか?」


 「イベントって何さ!?」


 「……アレは、修学旅行最終日に何かが起こりますよ、っていうフラグイベントだ」


 「なんのフラグ!?」


 ともかく岡辺との色々はリセットされてしまったらしいです。しかし岡辺曰く修学旅行最終日に何かが起こるそうです


 「ツモ」


 「「「きゃー!」」」


 「九連チュウレン


 「「「さらにきゃー!!」」」


 あっはっは。圧勝圧勝。本日一発目の役満きました

 九連宝燈チュウレンポウトウです。これでここまでの負けがチャラになりました

 このまま行けば、確実に西の負けです


 「にゃろう!」


 「にゃろうって……古い」


 「負けたら次は何にする?」


 秋馬の言う「負けたら何にする」というのはつまり、僕たちは高校生なのでお金をかけて麻雀なんてしません。あたりまえです

 だから負けた奴は何かしら×ゲームを用意しています

 これは2回目です。最初の×ゲームはジュースを買うだけでしたが、次は果たして……


 ジャラジャラジャラジャラ……


 「ポン!」


 パチン パチン パチン パチン


 「チー!」


 パチンパチンパチンパチン!


 「ツモ!」


 なんか積極的に鳴いてると思ったら、西が上がりだと!?

 まぁ、でもたいした役でもないし。僕の優勝は揺るがないな


 ジャラジャラジャラジャラ……


 パチン! パチンパチンパチン


 「……秋馬狙ってるな?」


 「ほぅ? 何のことかな? 冬貴君」


 甘いな。僕を欺くことは不可能だ

 秋馬の捨て牌が、バラバラだ。統一性が全く無い。これは、間違いない。秋馬の手には役満の可能性がある!


 「ロン!」


 「うげぇ!」


 よし! 西だ!

 

 「国士無双だ!」


 「……ぽはぁーー……」


 衝撃すぎてもう何がなんだか……わけ分からない悲鳴を……

 てかスゴ……国士無双なんてはじめて見た


 「×ゲームどうする?」


 「決めるのは成績トップの秋馬か」


 「じゃあ西! お前に指令を下す!」


 何が来る? 西からすれば悲劇だろうが、見ている僕らからすればこれ以上は無い喜劇なのだ


 「お使いだ」


 「え? なに? またジュース?」


 「いや。パイナップルの缶詰じゃなくて、すぐに食べれるパイナップル買って来い」


 「そ、それは、ホテルから出ろと?」


 「そうだ」


 西が震えてやがる。そりゃそうだ。消灯時間をすぎてからのホテルからの脱出は、2つしか方法が無い

 1つは窓から出る。だが男子の部屋は全て海に面しているためそんなことを夜にすれば死ぬ。だから女子の部屋から行くのだが、消灯後の女子の部屋に入るなど、それはそれで死ぬ

 そしてもう1つ、正面から出て行く方法があるが、そこにはトメさんがいる

 つまりあの化け物を正面から倒していかないといけないのだ


 「隊長! いくらなんでもそれは!」


 「いや、いい……ありがとう岡辺」


 「西……」


 「男にはやらねばならん時がある。だがこれだけは言っておく。必ず生きて変えると!」


 ……なに? この茶番?

 まぁ、大げさではないが……なんせ相手はトメさんだ


 「いざ! 出陣!!」


 「行って来い!」


 「いや、故郷の母へ、祈る時間を」


 「早く行け!」


 可哀相に。西、絶対戦死するな……


 「行くぞォー!!」


 西は悠々と戦場へと翔けていった。多分ホテルから出ることすら敵わないだろうが、一応パイナップルの帰りを待つことにしよう

 でもしばらく西が戻らないからなぁ……三人打ちなんておもしろくないしなぁ……


 「誰か呼ぶ?」


 「寝てるだろう……もう2時だよ」


 「いや、藤井がいるじゃないか」


 「そうか、不良の大将だもんな……」


 と、いうわけで僕が藤井に電話


 『もしもし? お前から俺に電話なんて珍しいな。というか初めて?』


 「そうかも。で、本題だけど麻雀やらない?」


 『悪い。もうやってるんだわ』


 「そうなの? 誰の部屋で?」


 『雀荘』


 「……そう。分かった」


 『スマンな』


 なにやってんだ藤井? どうやって抜け出した? そしてなぜわざわざ雀荘に……


 「どうだった?」


 「僕たちより本格的にやってる……」


 多分ほとんどの生徒は寝てるんだろうなぁ……

 起こしちゃうのも悪いし、仕方ないから西の帰りでも待とうかな




 せーの


 「「「遅い!」」」


 遅い、遅いよ西!

 いくらなんでも遅い! もう1時間も経つよ!


 「どうなってんだよ一体! 俺のパイナップル!」


 「僕も楽しみだったのに」


 「同感である!」


 ほらぁー。岡辺の話し方もおかしくなってるし


 「恋バナでもする?」


 「「却下」」


 「何で!?」


 「だってお前「夏帆さぁん」しか言わないだろうが!」


 今の岡辺の真似似てたな。秋馬才能あるんじゃないか?

 でも、岡辺さえいなければ、秋馬の話なら気になる……


 「暇だな」


 「暇だね」


 「我輩も暇である」


 なんかおもしろいこと無いかなぁ……西は多分帰ってこないだろうし

 パイナップルは食べられそうも無い


 チャラリラリ〜ン♪


 「冬貴。メール」


 「誰からだろう……夏帆?」


 「夏帆さぁん!?」


 チャンチャンチャーン♪ チャンチャンチャーン♪


 「あ、俺もメール」


 「なぜ火サス?」


 「春香から」


 「春香さぁん!?」


 岡辺は夏帆一筋じゃなかったのか? まぁどうでもいいけど

 そんなことよりメールだ


 『今から部屋に来て!

 私と春香しかいないし退屈なの』


 なんと嬉しい! いやタイミングのいいお誘い

 暇を解消できる上に岡辺をほって置けるというおまけつきだ

 今すぐ行きますとメールを返して、おそらく同じような内容のメールが届いている秋馬と共に部屋を後にする


 「「じゃあな岡辺!」」


 「この裏切り者ー!」


 すいません♪

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