表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/42

第7話:忘れられた男の復讐2

 ――ヒハ! ハハハハ! ヒハハハハ!

 忘れられてた、この男の、アハハハ! アハ! ふ・く・しゅ・う♪




 こ、こここ、怖い! 怖すぎる! なんだ今の!? 脳に直接語りかけてきたような……とにかくやば過ぎる!


 「あぁ! ヤバイ! 石田大丈夫!?」


 「はぁ……? 何を言ってる?」


 「!?」


 聞こえていない……? なんて、なんて幸せな!


 「待てよ、冬貴」


 「うっ! 岡辺」


 「大変だったぜぇ……? あの後よ」


 「一体なに!?」


 全く意味がわからない。ただ怖い。これは嫌だ。岡辺をぶったおしてでも止めないと


 ――アハハハ!


 「あぁっ!」


 笑い声がまた……そしてあたまが痛い


 「テメェが邪魔なんだよぉ! 冬貴ぃ!」


 「ぐあっ!」


 な、殴られた!? マジで? やりすぎじゃない?


 ――ヒハハハハ!


 なんなんだよこの笑い声! ひどく不快だ! だがこれが岡辺の仕業とは思えない

 なんなんだ一体? 幻聴か? だが岡辺と無関係とも思いにくい


 「ククク……てめぇを潰せば」


 「どうしたのさ岡辺! お金か? 僕を倒せばお金でももらえるの?」


 「金かぁ……ヒャァアアッハッハー! 違うなぁ! もっといいものだよ」


 「なにさ? 分からないよ!」


 「……テメェには分からんか」


 なんなんだコイツ?


 ――アハ! アハハハ! ゴロジアエー!!


 頭痛が……強過ぎる!


 「テメェをツブセバァ!」


 「なんだよ……」


 「夏帆さんがぁ!!」


 「……はぁ?」


 「いい加減にしろ!」


 「ぐえっ!」


 石田ナイスキック

 岡辺が飛んでいった。しかしコイツどうしたんだ?


 ――アハ! まだ終わらない♪


 「へへへ。まだだぜ冬貴!」


 「待てっ! 速い。さすが陸上部」


 100メートル走11秒切るもんね……そりゃ追いつけない

 しかしこの笑い声。そしてこの異常なほどに暴走した岡辺。一体何の関係があるんだ?

 確かに夏帆夏帆とうるさい男だったが……これはどう考えてもやりすぎだろう




 「なに!? 岡辺がいた!?」


 「そうなんだよ。しかも僕の顔を殴っていった」


 「んだとヤロウ……ぶっ殺す」


 とりあえず秋馬にさっきあったことを話してみた。この手のことでは秋馬と藤井が一番頼りになりそうだからだ

 それと、夏帆が狙われているということを西に教えてやった


 「やろう! 抜け駆けを!」


 「西? まさかお前も狙ってるんじゃ……」


 「YES! ぐはぁ!」


 瞬間秋馬の鉄拳が飛んだ。そりゃそうだ

 

 「とにかく。なんか知らんが岡辺がおかしいのか。俺は嫌な予感はしていたが……」


 「うーん。俺もなんかあいつに関わりたく無いんだよなー」


 秋馬たちにあの変な声のことは言うべきじゃないな

 ただの幻聴かもしれないのに、妙な心配を増やさない方がいいだろう……


 とにかく藤井にも加勢を頼もう。藤井は何があっても恐れないからな




 「岡辺が、そんなことを……」


 「やろう! 俺の夏帆さんに!!」


 お前の夏帆じゃないぞミッキー。藤井は藤井でまるで恐れる様子が無い

 いなくなっていたクラスメートがイキナリ僕に襲い掛かったというのに……


 「とりあえず。緊急な対策が必要だが……」


 「ん? 藤井?」


 「お前は岡辺がいなくなったときのことを憶えているのか?」


 「……いや。憶えていない」


 「そうか」


 ……藤井はもしかして知っているのか? 僕たちが岡辺に感じていた嫌な予感の正体に……


 「とにかく。冬貴。お前の知っていること全て・・話してもらおう」


 ……藤井。何者だ?


 それからミッキーには退席してもらい、奇妙な声のことから全てを話した




 「そうか。なら石田は巻き込めないな」


 「……そうだね」


 「とにかく現状その声の主は分からんが、岡辺を連れ帰るのが最善だな」


 藤井はおそらく最も正しい選択を常にしているのだろう

 だから僕にもこれが間違っているなんて思えない。だけどなぜか嫌な予感が、もやもやが取り払えないのはなぜだろう?


 ――キャハ! そ・れ・は・ム・リ


 「! なんだ?」


 「藤井にも聞こえてる!?」


 「あぁ……」


 この声。間違いない、あの声だ

 なら岡辺が……


 「夏帆さぁん……夏帆さぁん」


 「岡辺! やろう。いい加減にしろ!」


 「藤井ぃ。お前は関係ないんだよぉ!」


 「グアァッ!」


 藤井が岡辺に負けた!? そんな馬鹿な!

 いくらなんでも強すぎだろう!


 「本命は……」


 くそう。なんなんだ一体!


 ――お・ま・え・だ


 「冬貴ぃ!」


 「がぁっ!」


 立ち上がれない。1発もらっただけで……

 これはダメだ。こんな奴を夏帆に近づけるわけにはいかない!


 「冬貴……?」


 夏帆? なんで? 

 なんでまたこういうタイミングで来るかな? いくらなんでもベタ過ぎるってもんでしょ


 「逃げて夏帆……」


 「岡辺?」


 「夏帆さん……」


 「岡辺」


 「夏帆さん」


 「岡辺!」


 「夏帆さ「冬貴になにすんのよ!」


 ……え? 夏帆?

 ダメだって。今の岡辺には何を言っても……


 「夏帆さん? なんでそんなことを」


 「ウルサイウルサイ! 冬貴にひどいことして! とっとと消えてよ!」


 「……」


 なんだ? 岡辺もしかしてへこんでる?

 そりゃぁ好きな人にこうも言われればへこむけど……というか岡辺正気に戻ったか?


 「あれ? 俺はどうして冬貴を?」


 「消えろって……言ってんでしょうが!!」


 「ぎやぁ!」


 ……確信だな。これで終わったな

 まぁ、夏帆に殴られたいという目標は達成だ。良かったな

 あれ? これは西の目標だったかな? 

 ……まぁいいか。どっちでも一緒だ


 「まぁ、終わったね藤井」


 「そうか?」


 「え?」


 「いや……そうだな」


 藤井の表情は、なぜか晴れていない気がした。でも岡辺も戻って、夏帆も無事で、まぁ僕と藤井はやられたけど結果的に終わった

 僕は、そう思うんだけどな……




 ――まーだまーだ終わらない♪ 私はずぅーっとここにいる♪

 キャハハハハ! アハハハハハ!



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ