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第6話:忘れられた男の復讐1

 冷静になれ。冷静になるんだ僕。そして心を落ち着けろ!

 

 「夏帆は……起きてないよな?」


 大丈夫、寝てる。だけど夏帆の顔を見たらなぜかまた心臓の鼓動が……

 まずい、顔ももっと赤くなってきてるに違いない

 首里城の見学が終わるまであと1時間弱。早いやつはそろそろ帰ってきてもいいころだ。とにかく覚られないようにしないと


 「暑いな……」


 こんな言葉が僕の口から漏れた。だがバスのクーラーがおかしくなったのではない

 むしろおかしくなったのは僕だ。体温調節がいかれたみたい


 「……」


 相変わらず夏帆は何も喋らない。寝ているからなのだろうが、今の僕では確認することもできそうにない

 ――昔はもっと気楽に話せてた気もするけどな……

 しかし、今は高校生にもなった。互いに意識し始めてもおかしくは無いのだろう

 ちょっとしたことがきかっけで、恋が芽生えるとも言うし……


 「馬鹿だ。僕はなに考えてんだ……」


 「何が馬鹿なの……?」


 「うわっ! お、起きてたの?」


 「今起きた」


 「そ、そう……」


 顔を直視できない。見たら多分僕を保てなくなる


 「……なに? あんたなんかあった?」


 「な、何も無い」


 言えるか……寝ているうちにキスしてしまいましたなんて


 「あぁ! もしかして寝てるうちに変なことを」


 「するか!!」


 しましたけどね。鋭いな……

 ヤベェ、顔見ちゃった。夏帆ってすごい綺麗だったんだな。ビックリしたよ


 「なに驚いてんの?」


 「えぇ!?」


 なんでもお見通しか? というか覚られすぎだな僕


 「い、いや……」


 ――夏帆は綺麗だなぁ……なんて言えるか

 そんなことでビックリしてましたなんて言えません


 「あぁー涼しい!」


 バスの中に誰か入ってきた

 西だ。時間的にも首里城の見学を終えて生徒はドンドンバスに戻ってくるだろう


 「テメェ冬貴! こんな所で夏帆さんと2人きりで……」


 「いやいや。何もしてないから」


 西の馬鹿な顔を見たら落ち着いてきた……

 とりあえずこれでみんなに覚られるようなことは無いだろう。だけど……実際僕は夏帆のことはどう思っているのだろう




 「ホテルは落ち着くなぁー……」


 「ん? なんだ? 意味深なセリフ」


 「いやいや首里城は暑かったからさ」


 「なるほど」


 本当に暑かった原因は気温のせいなんかじゃないのだろうけど

 とにかく、バスの中で西と無意味な会話を続けることができたおかげで、僕の精神は正常な状態に戻っていた


 「そういえば、俺思うことがあんだけど」


 「なに?」


 「岡辺は?」


 「……」


 僕的にはまぁいっか。というところなんだが

 正直なところなぜいないんだ? 探しにいこうにも、いる場所の見当がつかない。それ以前になぜか岡辺を探してはいけない気が……

 

 「俺はなぜか岡辺を探すとやばい事になる気がするんだ……」


 奇遇だな。僕もだ。岡辺というとなぜか嫌な予感しかしない


 「だけど、これは俺たちが立ち向かうべき問題じゃないのか?」


 「……そうかもしれない。だけど、だけど……岡辺だよ?」


 ぶっちゃけいなくても良くないかな


 「俺もそれは思う。だが俺にはもっと嫌な予感がしてならないんだ」


 「は?」


 嫌な予感はするが、それは岡辺をほおっておけばいいと思うけど


 「なにか、もっと大きな、なにかが……」


 「はぁ……」


 なにか秋馬がよく分からないことを言っていたが、とりあえず午後からの自由時間だ

 僕は今日の午後は誰と一緒回ろうかな……

 いつもなら夏帆とかを呼ぶんだけど……さすがに今はなぁ。というわけで、ここはもっと別の人と親交を深めることにしよう

 つまり新キャラが出てきます。そのかわり岡辺と西は忘れていいです




 「それで、なぜ私なんだ?」


 「ははは……だって、ねぇ」


 ここはメガネっ子がいるんじゃないでしょうか? メガネキャラがいないと、この小説は成り立たない気がしてならないという、作者の意思に従って僕が動いているわけでは断じてない!


 「構わないが、メガネっ子はやめろ。私は男だ」


 「だったらその話し方どうにかして」


 「どこが悪い。言ってくれ」


 「とにかく一人称「私」はやめようか」


 「それは無理だ」


 無理なのか。「どうにかしよう」とか言うのじゃないのか?

 てか、なぜ僕の考えていることが分かったんだ? お前とそこまで親交を深めた覚えはない


 「……」


 「? どうした」


 「私の名前は石田水生いしだみずき。よろしくな」


 「誰に言ってんの?」


 「一応見ている人に」


 「そういうのはいらん!」


 この、ちょっとあれな感じで、メガネっ子の男は、石田水生。僕とはハッキリ言って親しいとは言えないが、仲が悪いわけでもない

 これを貴に仲良くなれればなぁ……とかは思ってないけど、まぁ今日の午後からは石田と沖縄をまわることになる




 「木刀が売っている」


 「そうだな。買うなよ? 中学生じゃあるまい」


 「分かっている」


 御土産や、「森羅万象」。多分なんでもそろっているのだろう。そんな感じだ

 なんせ店の名前からデカイ。ここに世界が、という感じだな


 「しかし、石田の私服は妙に可愛いな」


 「なんだ? 私に見惚れたか?」


 「だから服だ。いくらなんでも男に見とれたりはしない」


 まぁ、男前というより、女顔なのは女顔だがな

 

 「む、なんだあの男は?」


 「あ? ……岡辺!」


 なぜ嫌だったんだ今? 同じ部屋の仲間じゃないか……

 なのになぜだ? 嫌な感じがする


 「逃げるよ石田!」


 「え? 何で?」


 「今の岡辺はやばい気がする!」


 「意味が分からん」


 僕だって分からないよ! だけどなぜだろう。僕の防衛本能か。なにかか叫んでいる。逃げろと!

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