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第40話:厄日かもしれない

 「コーヒー」


 「ミルクティー」


 「あ、私もコーヒーお願いします」


 「いや……うち喫茶店じゃないんで」


 夏帆は僕のベッドの上に寝転がって、秋馬は僕の椅子にだらっと座り込んで、春香もベッドに座ってて、僕は現在床に座っている

 そしてドリンクを注文される


 「そうだなぁー、喫茶店にしては足りないものがあるな」


 「だから喫茶店目指してもないから」


 「そうなのか?」


 「目指してるなんて言ったこと無いよ」


 「そういえば、午前中は武道場開いてるから、組み手とか実戦は禁止だけど、練習できるらしいよ」


 夏帆が喫茶店の話題をカットする

 最初にコーヒーって言ったのは夏帆だけどね


 「じゃあダラダラ行って、ダラダラ帰ってくるか」


 「商店街の方からまわって行こうよ」


 商店街の方って学校と真逆ですけど……

 ようするに遊びながら行くってことか


 適当に部活ができる用意を鞄に入れて、ダラダラ出発

 秋馬の鞄はなんか大きい。夏帆と春香は大荷物の中に小さな鞄も用意していたみたいで、小さな鞄に荷物をまとめている


 「よし、行くか」


 秋馬が玄関の扉を開けると、覆面をかぶった男? たちが僕の家を取り囲んでいる。通行人はもの凄く不審なものを見る目で見ている


 「友民党か?」


 「デザインがちょっと違うけど、それっぽいね」


 どこから持ってきたんだろう……


 というかこの状況

 えぇ!? なんで!?


 「行け」


 全員口が見えないから誰が行ったか分からないけど、その合図で全員がこっちに来る

 狙われているのはすごく分かりやすく僕と秋馬だけだ


 「春香様と夏帆様にお怪我はさせるなよ」


 10人くらい、でもこれでは秋馬の相手にはならないのは目に見えている

 あっさりと全員返り討ち。動かなかった2人が指示を出していただろうという予測もついた


 「お前らがボスか? こっちは試合前の軽い練習になって大助かりだ」


 「くっ……やっぱりこいつ強い」


 「退くな! こいつらを許せるものか……」


 そういえばこの2人の声聞き覚えあるなぁ……

 

 「「うおぉぉぉ!」」


 息ぴったりの2人が走り出した

 僕と秋馬の2人でそれを蹴り返す、僕の蹴りも避けられないで2人とも地面を転がった。秋馬の蹴りはもちろん直撃している


 転がる1人の覆面がはがれた

 岡辺太一だ。半泣きの顔で地面に寝転がっている。ということはもう1人は……


 「あぁ! 俺だよ俺! 西大輝ですよ!」


 「お前ら何しに来たの?」


 でも10人もこんな恥ずかしいマスクかぶらせて、動かせるんだから実はカリスマ性あったんだこの2人


 「決まっている。お前らみたいな奴がなぁ……春香様と夏帆様と一夜を過ごす? 同じ屋根の下? そんなの俺たちファンクラブが許すか!」


 秋馬のは知っていたけど、まさかこの2人にも存在していたとは……

 まぁ規模は秋馬ほどではないだろうけど


 「いやいや、知らないから。ファンクラブとかいらない」


 「私も遠慮します」


 ここで解散だ


 「くそぉー!」


 「憶えてろよ!」


 岡辺と西は雑魚っぽい捨て台詞を吐いて逃げ出した。それを追って他の元会員たちも走って逃げた

 なんだったんだ一体……


 「じゃあ行くか」


 「おや、また会いましたね。七曜冬貴君」


 商店街でカジノを経営しているという……曳汐流星さん。独特の雰囲気を持っている。というか何で今日はめんどくさそうな人に連続で会うかなぁ


 というか名前教えましたっけ?


 「お友達かな? いやぁ楽しそうで羨ましいですね」


 笑顔、何を考えているのか分からない顔だ

 こういう人は何をするか分からない


 「あんた誰?」


 「失礼。僕は曳汐流星、ある方の執事をやっていましてね。今はご主人を捜しているのですが……今からお買い物ですか? そちらの方は随分と大荷物ですね」


 ……執事? この人さらっと嘘ついたよね? いや、本当なのか……?


 「あん? これか? 重りが入ってるんだよ、250キロほどな」


 これは嘘だ! だって目線が上向いてるし!

 250キロってまた大きく出たよね……

 というか嘘だよね?


 「それはすごい。僕の眼鏡は100キロほどなので、2.5倍ですね、素晴らしい」


 100キロの眼鏡!? それはさすがに嘘だよねー

 というか何で嘘で張り合ってるの?


 「嘘ですが、冬貴君気をつけてください。なにかあります」


 「なにかって?」


 「簡単に言うと、知人のせいで苦労しますよ。そういう相が出てます。ではまた」


 突然桜吹雪が出現、それもすごい量だ

 この辺に桜の樹なんてあったっけ? というか季節が違う


 「い、いない!」


 「ルーラかよ……何者だあいつ?」


 というか知人のせいで苦労って、もうしたけど。さらに苦労するとすれば、限られてくるぞ……風紀委員か藤井たちだ


 ちょっと遠くから赤い髪を風になびかせて誰かが走ってくる


 「よー! お前らなにやってんだ」


 こっちが来たかぁ……

 どうしたものだろう、どうやってこの災厄を回避しようか


 「あっ、そう言えばさっきカジノの人来てたよ」


 「なっ、なんだとぉ! どっち行った!」


 「あっちあっち」


 「ぶち殺す!」


 藤井は僕たちの進行方向と逆に走っていった

 本当はルーラだからどこに行ったか分からないけど、来たっていうのは本当だしいいでしょ


 「あぁそうでした」


 「うわっ!」


 突然真後ろに流星さんが現れた

 心臓に悪いよ

 あとタイミングも悪すぎ……


 「これ、プレゼントですよ」


 「はい?」


 丁寧に包装された箱を渡された


 「もしもの時はどうぞ、では」


 また桜吹雪と共に消えた

 どういう仕掛けなんだろう……


 「プレゼントって何?」


 「分からない」


 何が入っているのか分からないので、とりあえず中身を確認

 えっと……使わないよ……でも突き返す相手も居ないしなぁ。知人のせいで苦労するって絶対流星さんも関係してるな

 何となく夏帆に見せたくない


 「よしっ。行こう」


 「冬貴、中身なんだったの?」


 「……部活行こう」


 「なにそれー」


 1番見せたくないのに1番しつこい

 曳汐流星さん……やっぱり厄日かも知れない。あなたのせいで


 「つか何が入ってたの?」


 秋馬が箱を抜き取った。こんな時に運動能力が違いすぎるのは困る

 ふたがはずれて中身がぶちまけられた……


 「……まぁつかわねーか……?」


 「そ、そう思う」


 「う、うん……」


 「……」


 夏帆が無言で飛び出してきたものを踏みつぶした、そしてため息をついた

 4人とも拾い集めるのもめんどくさい。けど僕の家の前にこんなもの大量にぶちまけたままおいておくのも非常に困る

 

 ――厄日だ





 とりあえず大量のそれをほうきでちりとりに集めて僕が捨てた


 それから4人で商店街、には行かないでのんびりと学校まで歩いて行った

 とりあえず変な空気は取り払うことができた


 武道場は既に開いていて、結構部員が集まっていた

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