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第39話:サプライズ

 ――朝だな、日差しが眩しい



 「ふぅ、大会明日だなー」


 「そーだな」


 「うわぁ! なぜ僕の部屋に!?」


 「さぁ? 無意識のうちに幼馴染みの命を狙っていた」


 「そんなわけないよ!」


 うちのセキュリティはどうなっている、まだ早いんだし、親も起きてない。どうやって部屋まで来たんだろう……

 というより、何しに来たんだろう


 「明日の大会前にお前が「か、勝てるわけ無いよぉ!」ってなってないか見に来たんだよ。でも大丈夫みたいだな、馬鹿面で寝やがって」


 「馬鹿面ってまさかそんなことするために、家に不法侵入してきたの?」


 「気にするな、もうすぐで春香と夏帆も来るからとりあえず玄関開けて来いよ」


 何でまたこんな朝早くに……

 というか僕まだ寝間着だし、髪もぐちゃぐちゃで顔すら洗ってないんだけど


 「えぇー、無理だよ」


 「はぁ? じゃあ俺が開けてきてやるよ……」


 「そうじゃなくて!」


 秋馬は朝からキッチリ髪の毛セットしてきてるのに……

 少しはこっちの身にもなって考えてよ


 洗面所に向かい、顔を洗ってクシでガシガシ髪をとかしてとりあえず寝癖を直す

 そして歯を洗う。その途中玄関の扉が開く音がした


 「ふゅふはー!」


 ちゃんと叫べない


 声が届いたのかどうかは不明だが、とりあえず何人かの足音が階段を上っていくので、こっちにいきなり来るということはないらしい

 ホント、ここ僕の家なのになぁ


 とりあえずの身だしなみを整えて、僕は階段を上った


 「いえーい、おはよー冬貴!」


 「お、おはよう。どうしたの夏帆?」


 テンション高いな……

 ていうか、その無駄に大きい鞄なに? 春香も普段使ってる鞄よりもかなり大きいものだ。一体何が入っているんだ?


 そういえば僕のベッドの上にもなんか大きな鞄が……秋馬のか


 「でも、何年ぶりだろうねーこんなの」


 「こんなの?」


 別に4人で集まることは珍しくもないけど、僕の部屋でって事かな?


 「すまん冬貴、言ってなかったな。本日ここに泊まりだぁ!」


 「「いぇーい!」」


 夏帆と春香はハイタッチしてるけど、ちょっと意味が分からないんですが……

 秋馬はともかく、夏帆と春香が家に泊まると?


 「ちょ、ちょちょちょい待って!」


 「いつもに増して慌ててるな」


 「困るよ!」


 「そんな気にすることないって、昔はよくあったことじゃん」


 「昔はって……そんなの幼稚園とかのころだよ」


 というか親もいるし、そんな準備もない

 同じ部屋で寝るわけにもいかないし、場所もないよ


 「大丈夫だよ冬貴くん。準備はしてあるから」


 「準備って?」


 「ご両親は今日明日は旅行に行ってもらうことにしたし」


 それじゃあ解決しないこともかなりあるんだけど

 というか父さんも母さんも、旅行って……


 「よし、朝ご飯だ」


 朝ご飯っていつも母さんが用意してくれているし、でも4人分は……

 秋馬が言うんだし、その辺も話は決まっているのかな


 「ちなみに冬貴、ご両親はもういないわよ」


 「えぇ!? もう既に!?」


 そんな朝から一体どこに行くんだよ……1人息子を置いて


 「さて、楽しいお泊まりパーティーだ」


 「「おぉー!」」


 3人はすごく楽しそうだけど……

 こっちはすごく大変なんだよなぁ


 「じゃあ朝ご飯は私たちで作るから、あんたたちは適当にダラダラしてなよ」


 「楽しみにしててねー」


 夏帆と春香は部屋を飛び出して階段を駆け下りていった。まぁ朝ご飯を作ってもらうくらい大丈夫だろう、うん大丈夫だ。料理が苦手だなんて聞いたこともないし、得意そうだ2人とも


 「いやーいいですなぁ。こんな未来が待ってるならねぇー」


 「なに、そのキャラ……?」


 秋馬の顔は、にやけっぱなしだ。そこまで楽しいかなぁ、お泊まりパーティー。心配してるのって僕だけ? まぁここ僕の家だしね


 「好きな人が作る飯だぜー、いいじゃんかよー」


 それを秋馬が言った直後扉が開いた。さすがの秋馬もそのタイミングの良さには飛び上がって驚いていた


 「お、おぉ春香。もうできたの?」


 「醤油が無い、冬貴くん場所分かる?」


 「多分分かる」


 場所を説明すると、春香はまた階段を駆け下りていった


 「……びびった。この部屋防音設備とかは」


 「無い、けど聞こえてないと思うよ。ノーリアクションだったし」


 白い壁紙の自分の部屋の壁、何でできているかは知らないけど、音がだだ漏れってこともないだろう


 「うわ、木刀飾ってある。これって小学校の時に買ったやつ?」


 「秋馬と夏帆も一緒に買ったよね、懐かしい……秋馬もまだ残してる?」


 「あ、いや……使ってたら折れちまったっけな」


 何にだよ、そしてどう使ったらあんなものが折れてしまうんだよ

 これ結構堅いよね……


 「お前は使わなかったのかよ」


 「そんなの使うわけ……そういえば1回使った」


 「マジ?」


 「スイカ割りに、手頃な棒がなかったんだよね」


 「あぁーそれ俺も居たよな」


 「夏帆も春香もね」


 思い返してみれば、何をするにもこの3人は一緒だったな……

 それはこれからも、一体いつまで一緒にいられるのかなぁ


 「ずっと一緒だろ、俺ら」


 僕の心を読んだかのようなタイミング、同じことを僕は祈っている。こんな日々が続くと祈ることにする


 「そうだね、ずっと一緒だよね」


 「それはそうと、あいつらはどう考えてるのか知らんが、寝る場所はどうするんだろうな」


 「実は僕最初っからそれについて悩んでいたんだ」


 どうやら秋馬はある程度は心配もしているらしい


 「同じ部屋……はダメだろうな」


 「かといって他に部屋もないんだよねぇ……」


 僕の家にある部屋で寝室になりそうなのは、僕の部屋と父さんの部屋と母さんの部屋。僕の部屋で秋馬が寝たとして、夏帆と春香は母さんの部屋かなぁ

 

 「まー、なんとかするだろう。冬貴が」


 やっぱりほとんど心配する気はないようだ

 でも、なんとかなるか


 僕が半分諦めたくらいで1階から声が聞こえた。朝食の用意が終わったらしい。僕と秋馬は階段を下りてリビングに行った






 「「お、おぉ」」


 「どうだー、すっごいだろ!」


 「結構がんばりましたよー」


 味噌汁に卵焼きに焼き魚。これは、まさに朝食だ

 すごくおいしそうな匂いがする


 「これなんだよなぁ……」


 「なにが?」


 「これこそが幸せなんだよ」


 秋馬は箸を掴んで感想を言った。完全ににやけた顔になっている


 「「「「いただきます」」」」


 そして僕も食べる、みんなで2人の作ってくれた朝食を食べた

 多分人生で、美味しかった朝食1位になるかも知れない……


 「どう冬貴? おいしい?」


 「うん、すっごいおいしい」


 「よかったぁー」


 僕の向かいの席に座って微笑んでいる夏帆、正直すごい可愛い。ご飯を食べるのを忘れそうなくらい

 すぐ横でも同じようなやり取りがあったらしく、秋馬の顔が純粋ににやついいたまま固まっていた。もしかしたら今僕もそうなってるかも……


 「冬貴、どこ見てるの?」


 「えっ!? いや……」


 ずっと夏帆の顔見てたのばれたかな……


 「私の卵焼き食べる?」


 「う、うん。いただきます」


 別にお皿を見てたわけでもないけど


 「食べさせたげるー」


 「いいよ、自分で食べる」


 「いいから口開ける、はい」


 目の前に卵焼きが、このシチュエーション……実はすごく恥ずかしいという新発見。夏帆はよく恥ずかし気もなくそんなことを

 発見もあったけど、とりあえずいただきます


 「おいしい?」


 「うん、2倍おいしい」


 「大げさだなー」


 秋馬の方でも同じやり取りがあったらしい。秋馬の魂は、どこかへトリップしてしまったようだ。表情は純粋ににやけているが……


 少しして魂が戻ってきた。それでも表情は変わらないが


 「うまーっ!」


 「タメ長かったねー」


 そうして楽しい朝食が終わった

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