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第3話:旅行が楽しいものと思うな

 「えーと。じゃあ修学旅行ですがー。忘れ物とかないねー?」


 今日から修学旅行です

 急展開過ぎると思う人もあるでしょうが、この学校では1年の終わりごろからせっせと準備を進めて、2年になったらすぐに修学旅行に行ってしまうのです

 だから、僕としては急な展開でもないし、これは分かっていたことなのだ

 旅行の行き先は沖縄になった。僕は北海道がよかったのだが、いろいろあった末沖縄になってしまった

 ちなみにここは空港です


 「じゃあー。搭乗券もらったら、ちゃっちゃと進んでください」


 「ピーって鳴ったらどうするんですかー?」


 「……じゃあみんな進んでください」


 無視したよ。生徒の発言を無視したよ

 一応この人は担任なんだが……




 「あっつー! 沖縄あったけー!」


 「そりゃなぁ秋馬。30度だしな」


 沖縄までやってきました。現在の気温30度

 上下ジャージの僕は、さっさとジャージを脱ぎ捨てて薄着になりたいところです


 「はーい。じゃあ全員いますかー。いますねー」


 確認しろよ! もし空港で引っかかっている奴がいたらどうするんだよ


 「はい。行きますよー」


 ここからホテルまで徒歩。その距離は30分ほどだが、50メートル歩くだけで汗が噴出すこの暑さ。照りつける太陽の日差しも向こうの比じゃない

 髪の毛が汗で濡れて張り付き、目に汗が入る


 「暑い暑い暑い……」


 「うるさいよ秋馬。暑いのはみんな同じだ」


 「あぁー。ちきしょう。だから俺は北海道の方がいいって言ったんだよ!」


 そう言うな。僕もそうだったんだから

 

 「あぁ! 自販機! 行くぞ冬貴!」


 「えぇー!? 列崩したら文句言われるって」


 「問題なし! ホテルの場所は分かっている」


 なんだそれ? 言ったことないくせに

 止めようとした僕が何か言う前に、秋馬は自販機の方へ……

 てか、自販機の前に誰かいるね。だれだろ? 現地の高校生かな……?


 「水高っ!!」


 「うわ。本当だ。六甲のおいしい水が高い!」


 「あぁーうまい!」


 「高いけど買うのか」


 「バカヤロー飲まないと死ぬだろうが」


 そんなおおげさな。あと20分くらいでホテルに着くのに


 「なんだお前等? 修学旅行生け?」


 なんだ? 現地の高校生たちか……

 うわぁ。何だこいつら。ゴッツいし、何だあの頭? 金髪に、赤、青、緑、ピンク、紫、あと水色っぽいのとか、お前等どこ行くんだ?


 「うーわ。なんだあの頭!」


 お前は口に出すな! 

 どう考えても沖縄のヤンキーだろうが!


 「あ? なんだこら。殺んぞ?」


 「あーパスパス。俺等ホテルいかねぇと。後で相手してやるから」


 また適当なことを。よくそんな流暢に喋れるな


 「憶えたからな!」


 「どうもどうも」


 「秋馬喧嘩する気か?」


 「思いでつくりじゃねぇか」


 なにを考えているのか。思いでつくりって…… 

 沖縄制覇でもやるのか?



 

 「ぬっはー! 気持ちいい!」


 ホテルにやってきました。僕たちは4人部屋にいます

 部屋にいるのはベッドに飛び込んだ秋馬と僕とその他2名


 「オイ誰がその他だ。西大輝にしだいきだ」


 「そんで俺は岡辺太一おかべたいちだ」


 まぁ、知ってますけどね。一応自己紹介をしていただきました


 「つーか。ぶっちゃけ俺はお前等2人だけは嫌だったんだけど」


 「ヒデェーな秋馬君」


 「そうだぜ秋馬君。その扱いはひどいな」


 僕もなー。正直言うとこの2人は一番嫌だったかなぁー

 クラスの馬鹿代表の2人だからな。うるさいんだよな


 「それに冬貴! てめぇは毎日毎日夏帆さんといちゃいちゃしやがって!」


 「あ!? いちゃいちゃなんかしてないよ!」


 「黙れ陰キャラ!」


 主役に対して陰キャラ? ふざけるなよ!

 脇役め!


 「そーだ冬貴と馬鹿たち。今は自由時間なんだが、どっか行かね?」


 「そーだな。テキトーに行こうか」


 「「誰が馬鹿だ!」」


 「でもまぁ。そんなに時間もないし、別の部屋見に行かない?」


 「修学旅行と言えば定番だしな」


 俺の提案で、4人は別の部屋に向かうことに

 できればそこに馬鹿2人を置いてきたいところでもあるが、それは多分その部屋の人たちの迷惑になってしまうのでやめておこう

 馬鹿たちの処理は僕と秋馬でがんばることにしよう


 「馬鹿はそこに捨ててくからな」


 まぁ秋馬はそうは思っていないみたいだけど




 「なんだよ。お前等2人部屋かよ!」


 秋馬は部屋に入ってすぐこんなことを言った。ここは男子の中核とも言える、いわば学年のボス的存在が泊まっている部屋だ

 最も大きな権力を持つ男、背中まで伸びた長い髪に赤いメッシュが入っている

 そしてその側近的な男、スキンヘッドだ。特徴はそれしかない。あとは凶悪な顔をしている

 ボスの名前が藤井郁弥ふじいいくや。スキンヘッドが須藤御鬼弘すどうみきひろ


 「あぁ? 秋馬なにしにきたん?」


 「部屋変わってくれ。マジで。この馬鹿がうざい」


 「「ひどくねぇ!?」」


 「俺もそいつは嫌いだから拒否」


 この馬鹿は相当鬱陶しがられてるな


 「つーか秋馬よ。ここも相当暇だぜ?」


 「そっか。じゃあミッキー。なんかプランは?」


 「ねぇよ」


 「あ、そういえば俺一個用があるな」


 藤井がそのせりふ言ったらろくなことじゃないよな?

 どうせ喧嘩とが絡んでくるんだろ?


 「ここのカラフル野郎共に喧嘩ふっかけられてさ。また今度殺すって言ったから、とっととつぶさねぇといけないんだよ」


 その光景見た。それだったら秋馬もだよな

 ということは、初日から僕たちはバイオレンス突入か?


 「それは嫌だ! 僕はおとなしく過ごす!!」


 「それはダメだ! お前も空手部なら戦え!」


 「関係なくね!?」


 「いーやある」


 なんてこった。僕の楽しい修学旅行が、初日から地獄に……


 「やンぞコラァ!!」


 「待ってくれぇー!」


 嫌だー! 僕の楽しい沖縄旅行を返せ! 返してくれー!

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