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第17話:強い女の子たち

 清々しくはない朝

 天気が悪い。雨が降っている

 そんな日に、担任は嬉しい、とも言えない知らせを持ってきた


 「このクラスに、転入生です」


 なんでまたこんな時期に……

 ここの試験はここらでは最高に簡単だけど……つまりどっかで留年? 退学か?


 「河瀬純かわせじゅんです。よろしくお願いします」


 女の子だった

 まぁ、女の子でも留年もするし退学にもなるけど


 「可愛いじゃん」


 「つか何でこんな時期に?」


 「彼氏とかいるんかなー」


 クラスの連中は好き好きに騒ぎ始めた

 まぁ気になることは僕もあるけど、まさかこんな女の子が……まぁ背も低いし線も細いし、まぁ可愛い方だし、まさか退学なんてことはないだろう


 「純ちゃぁーぁん」


 と岡辺。やっぱり馬鹿だな 


 「あ? 馴れ馴れしいんだよ!」


 そして河瀬のナイスキック。ってえぇ!?

 岡辺教壇から教室の端までぶっ飛んだよ


 「か、河瀬さん?」


 教室中が静まりかえり

 そしてザワザワと、さっきまでよりも静かにだが皆騒ぎ始める


 「やべぇなあれ」


 秋馬が僕の横までやってきて言った

 確かにやばい。だがこれと同レベルのやばさを持っている女の子を僕はこのクラスに1人知っている


 「あれ……夏帆並みだよね」


 「あぁ。夏帆と互角にはれそうな女子がいるとはな……」


 「なに言ってんのよ」


 「お、夏帆。ライバル出現だな」


 「……そんなわけないでしょ」


 ……違和感。気のせい?

 ここは夏帆だったら「あんなの相手にならない」とか堂々と言いそうだったりもするけど……

 

 転入初日、凄いことをやってのけた河瀬純だったけど

 この日は他に問題も起こさないまま放課後になった




 「この学校には武闘派女子が多いな」


 朝蹴り飛ばされた岡辺がこんなことを言ってきた

 武闘派女子ってなに? だいたい分かるけど聞いたことない


 「小学校……まぁ中学もかもしれないけど、学年に一人はいる男子も手が出せない武闘派な女子。通称『マウンテンゴリラ』」


 「それも聞かないけど」


 「だが俗に言う『マウンテンゴリラ』と我が校の武闘派女子には大きな違いがある」


 「ほぅ。それはなんだと?」


 「顔まで最強ということだ」


 納得。した僕も馬鹿か

 

 「夏帆さん、春香さん。そしてレモンちゃんにダイアナ様だ」


 「レモンにダイアナってなに?」


 「馬鹿野郎ゥ!」


 僕と岡辺しかいない放課後の教室にパシンと乾いた音が響いた

 怒られた。なぜかビンタされた


 「F組のレモンちゃんだぞ! マジで知らないの?」


 「知らない」


 「このヤロゥ!」


 またビンタ。馬鹿はお前だこの野郎


 「知らないものは知らない」


 「まだ言うかァ!」


 また同じビンタ。しかし僕も空手部の端くれ

 そんな素人のゆっくりとしたビンタくらいかわせるし、反撃にも転じられる


 かわして顔に正拳


 「イタァ! この弱小空手馬鹿一代が!」


 「う、うるさい! やるか岡辺!」


 「憶えてやガレ! ちきしょう!」


 岡辺は走って逃げていった


 雑魚敵みたいな捨て台詞のくせに、痛いところ突いてくるな……

 弱小空手馬鹿一代か……まさにその通りだ


 ……僕も帰るか。秋馬は今日は用事があるとか言ってたし

 夏帆と春香は空手の選抜大会の関係で忙しいし


 「はぁ。弱いな僕」


 少しブルーになりつつも教室を後にした




 「冬貴ー!」


 廊下に出ると、遠くから僕の名を呼ぶ声がした

 遠目でもすぐに分かる派手な赤い髪、間違いなく藤井だ。だがその横には、これまた目立つ真っ黄色の髪の女の子がたっていた


 呼ばれたので、とりあえずはそっちに向かうことにしよう


 「悪い悪い。そんでお前今暇だろ」


 「まぁ、暇だけど」


 なぜか釈然としない。なぜこんなに上から目線? 不良だからか


 「こいつの相手しといてくれ」


 そういって藤井はすぐ横にいた黄色い髪の女の子の頭の上に手を置いた 


 「なんで郁弥はだめなの?」


 女の子が藤井を見上げて言う。この2人って恋人同士なのかなぁ

 でも、そんなこと聞いたことないし、第一自分の彼女の相手を僕にさせる意味が分からない


 「俺は集会に顔ださねぇと」


 「……」


 なんの集会かは誰も聞かない


 「じゃあな!」


 藤井は走って去って行ってしまった

 学校の正門前には、柄の悪いバイク集団が集まっていた


 「あのぉ、冬貴君ですよね?」


 「あ、うん」


 僕のことは知ってるらしい

 まぁ同じ学年だし、藤井からも説明はしているだろう


 「私、葉山レモンです。よろしくです」


 ……レモン? 岡辺が言っていた子だよね

 本名だったんだ


 「よろしく」


 確かに、可愛い……ね。顔も最強も肯ける

 そういえば顔も最強で、この子も武闘派なんだよな……


 で、僕にどうしろと言うんだ藤井


 「とりあえずー……カラオケでも行く?」


 「へ?」


 しまった! 僕は何を口走ってるんだ!?

 なぜに初対面の、しかも他人の彼女っぽい子と2人でカラオケに行こうだなんて


 「うん。行く」


 そりゃね……え?

 行くの?


 「本気?」


 「なにが?」


 「いや……なんでも」


 「えへへーカラオケなんて久しぶりだなぁ」


 満面の笑み

 これはもう今更こっちからやっぱりやめようなんて言えない……


 覚悟だ。藤井にぶちのめされる覚悟を今からしないといけない

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