第16話:We can fly
結局担任のお説教があった
彼の最後の言葉は「お前ら絶対ダブらす」だった
やれるものならやってみろ、と全員思っただろう
「何それ?」
「愛の手紙」
秋馬の持っている封筒を指さした僕の問いに、秋馬はこう答えた
「つまりラブレターね」
「そうとも言う」
「誰から?」
「それが分からないんだよ」
なんと、差出人の名前は、書き忘れたのか、それともわざとなのか分からないが書かれていないようだ
僕もその手紙を読んでみた
『放課後、屋上で待っています』
シンプル
そしてありがち。女の子らしくていい。けど一つ問題が
今現在、僕と秋馬は授業を全て終えて、部活も終えて帰り道です
「何やってんの!?」
「いや……もらったの忘れてた」
「今から行けば?」
「冗談よせ」
冗談などでは言っていない
すぐに、ダッシュで行くべきだ
「だが、考えても見ろ。手紙のことも忘れているような男に、果たして彼女は心動くのだろうか?」
「心動いてるからこんな手紙がきてるんだよ! 後はお前の意志だけなの!」
「そうか、ならごめんなさいだ」
「それならそれで言いにいけ」
なんで秋馬は、こんな大事なことにまで適当でいられるのだろう……
「けどよぉ、告白なんて言わば日常茶飯事、定期的に起こるイベントだぜ、めんどくさい」
「世界中の男を敵に回す発言だね」
かわいそうだ、いろいろな人が
「けど、今更行くのやだし」
「いやいや、それくらい行こうよ」
「でもさ、行ったらいきなり『来てくれたのぉ!!』とかそういうテンションだったら俺無視して帰っちゃうよ」
「まぁ、『付き合ってくれないと死ぬ!』とか言われても困るね」
「そうだろ? 他にも『やっと来てくれたね……』とか泣きながら俺が悪者、みたいなノリもやだよ」
「お前悪者だし……」
こんな会話を呼び出し無視してしてる時点で悪者だ
リアルに泣いてたりしないだろうか……
「どうせ断りに行くだけだしさぁ、行くのだるいんだよ」
「何でさ、相手によればOKするんじゃないの?」
「俺は春香が好きだから」
「だから、それ春香からだったらどうするの?」
「……」
「……」
考えて、無かったのか
もし春香だったら、お前の恋は絶対に実らなくなるな
「今から行くか?」
「……付いてきてくれるか?」
「いやだ」
「薄情者め! 夏帆だったらどうする!」
「それこそ夏帆は手紙なんか使わないよ」
「帰っちゃってるかもしれないだろ!」
「じゃあ行くなよ」
「行くよ!」
じゃあ行こうよ
じゃなくて行けよ。走って行けよ
「ついて来い!」
「屋上には行かないよ?」
「いいよ。校舎まで、な」
「仕方ないな……」
なんか困ってるみたいだし、ついて行ってやるかな
高校までの距離はまだ遠くない
早足で校舎の中に入り、階段を上り、2人で屋上を目指す
途中、秋馬はいろいろ考えていた
もし、春香だったらどうしようとしか考えていないのだろうけど
「ついたな……」
「だね、がんばれ」
屋上の扉は少し開いている
この中に、手紙を出した張本人がいる
「……つか来ないな、秋馬も薄情な奴だったんだな」
?? 秋馬が薄情者呼ばわりされている
というか、屋上にいるのは1人じゃないのか?
「もう帰るか。来ないし」
「ちっ。せっかくのイタズラが。手紙まで書いたのに」
なるほど
僕は帰るか
僕は屋上のことは忘れて帰路についた
秋馬は1人で屋上に突撃していった
帰り道、ふと校舎の方を見ると、3人の同校の生徒
多分1年だろうけど、屋上から華麗に飛び立っていった
めでたしめでたし