表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/3

聖詞の章

 リスカ表現あります。

    ー真聖の再婚ー

 時は何事も無かった様に流れて行く。

 誰かが心に大きな傷を受けた日であろうと、大切な誰かを失った日であろうと朝は訪れて日常が始まる。

 感情に合わせた日常は訪れない。

 だから人は生きてゆけるのだろうか。

 聖流は二十五歳になっていた。

 建築技師として毎日を忙しく過ごしていた。

 仕事の帰り、スマホに実家から着信が来ていたので、折り返し電話を掛けると聖詞が出た。

「聖詞、どうした?」

「あ、聖流。

 父さんが召集を掛けたんだ。

 今日、来れそう?」

「ああ、特別予定は無いよ。

 一端アパートに帰ってから、そっちへ向かう。」

 聖流は、今の会社に入社した時、家から独立し、会社に近いアパートで一人暮らしをしていた。

 徒歩でアパートに帰ると服をラフなものに着替え、車で実家に向かった。

 途中、真聖と酒でも飲もうとウィスキーと聖詞用の炭酸ジュースを買って行った。

 桜は散り、家々の庭先には色とりどりの花が咲き乱れ始めていた。

 家に着くと聖詞が出迎えた。

「聖詞、また背が伸びたんじゃないか?」

「そお?」

 聖詞はこの春から高校に通っていた。

「それより、大変な事になってるよ。」

「大変な事?」

 聖流がリビングに行くと、見慣れない女性が立って聖流を待っていた。

 女性は胸まで髪を伸ばし、仕事帰りに寄ったのだろう、スーツ姿だった。

「突然、お邪魔してすみません。

 こんばんは、古井沙夜子と言います。」

「はあ、こんばんは。」

 聖流は気の抜けた挨拶をすると聖詞に眼で問うた。

 聖詞は肩を(すく)めて、ソファーで新聞を読んでいる真聖に眼をやった。

 聖流が真聖に視線をやると真聖は読んでいた新聞を畳み、立ち上がって言った。

「この古井沙夜子さんと再婚しようと思っている。」

「はあ?」

 聖流にとってそれは渾身の「はあ?」だった。

 父親の真聖は今年五十四歳になる。

 この古井沙夜子と云う女性はどう見ても二十代後半と云う処だ。

 聖流は思わず沙夜子に向き直って言った。

「いいんですか?

 親父と結婚すると云う事は、その若さでこんなデカイ息子二人の子持ちになるって事ですよ。」

 沙夜子はニッコリ微笑んで言った。

「ワタシに務まるか解りませんが精一杯努力します。」

「覚悟はできてると云う事ですか。」

「はい。」

 聖流は暫く沙夜子と真聖を交互に見た。

 沙夜子は緊張している様だ。

 聖流をじっと見詰めていた。

 聖流は言った。

「親父には親父の幸せがあるだろうから、オレからはどうこう言う積もりは無いです。

 聖詞、お前は?」

「僕も、何も言う事は無いよ。」

 沙夜子は、ほっと肩の力を抜いた。

 聖流はソファーに座ると、買って来たウィスキーと炭酸ジュースをテーブルに置いて言った。

「シャンパンの方が良かったね。」

 沙夜子は出されたウィスキーを見ると、すぐにサイドボードからグラスを取って来てテーブルに置き、キッチンに行ったかと思うと氷を持って来た。

 聖流と真聖はウィスキーを酌み交わし、聖詞と沙夜子は炭酸ジュースを飲みながら、真聖と沙夜子が会社の上司と部下である事や、クラシック好きの二人がよく一緒にコンサートに通ったなどの馴れ初めを聞いたりした。

 沙夜子が帰り、真聖も寝室に入ると聖流と聖詞は久し振りに話した。

「高校はどうなの?」

 聖詞は手を後ろに付いて脚を組んだ。

「毎日楽しいよ。

 美術部に入ったんだ。」

「絵なんか描いたっけ?」

「デッサンの過程が面白そうだったから。

 初心者で下手だけど下手なりにやってる。」

「新しい事に挑戦する事は悪くないな。

 しかし、相変わらず地味な事がすきだな。」

 聖流はタバコに火を点けようとしたが副流煙で聖詞の健康を害してはいけないと思い、直ぐにタバコを元に戻した。

「バンドの方はどうなの?」

 聖詞が訊いた。

「やっと、メンバーが揃ったよ。」

「ドラムの人が見つかったんだ。」

「ああ、やっとね。」

「今度、見に行きたいな。

 練習してるとこ。」

「その内な。

 処でどう思う、再婚。」

 聖詞は伸びをしながら言った。

「いいと思うよ。

 父さんも最近若返った気がするし。」

「そうか………………。」

 聖流は、聖詞の母美菜子のすすり泣く背中を思い出していた。

「同じ事を繰り返さなければいいけど。」

「同じ事を繰り返すって?」

「何でも無い。

 そろそろ帰るよ。

 明日も仕事があるし。」

 聖流は立ち上がった。

「僕も早く寝なくちゃ。

 明日も学校だ。」

 聖詞は聖流の車を見送ると家に入って行った。

 聖流はカーステレオでリンキンパークを聴きながら繁華街へと車を走らせた。



    ーセックスライフー

 駐車場に車を預けると飲み屋街まであるいた。

 一軒のバーに入るとオンザロックをダブルで注文してテーブルに着いた。

 如何にも遊びなれた感じの二人連れの若い女が入って来てカウンターに座った。

 聖流はその二人連れにマティーニを振る舞った。

 女たちは聖流を振り返り見るとグラスを持って聖流の席に座った。

 176センチ、57キロ、茶髪を首まで伸ばし、実齢より落ち着いた雰囲気がある聖流はよくもてた。

 聖流はこの歳になっても、これまで彼女と云うものを作った事が無い。

 気が向けばこうして後腐れの無さそうな相手を見つけて一夜限りを過ごす。

 聖流にとって特定の相手を作るのは(わずら)わしい以外の何者でも無く、女は性欲を満たしてくれればそれで良かった。

 今夜も聖流は二人連れの一人とネオン街を(くぐ)りホテルに向かった。



    ー聖詞の恋ー

 真聖と沙夜子は二ヶ月後に入籍し、結婚した。

 真聖が三度目と云うことで大袈裟な式などは挙げず、内輪だけのお祝いの席を設けて、写真を写すだけに収めた。

 まだ暑さが爽やかな初夏の日曜日に沙夜子は越して来た。

 聖流と聖詞も駆り出され、荷物運びをやらされた。

 荷物の殆どがCDや小説、美術書で、美術部に入ったばかりの聖詞は(しき)りにどの画家の模写をすれば腕が上がるかなどの話を沙夜子としていた。

 沙夜子と云う女性は、クラシックに(どど)まらず古い洋楽のロックや、ジャズやシャンソンなども聴いていた。

 聖詞は教養が高く、それでいてラフな姿勢を崩さない沙夜子に次第に夢中になって行った。

 聖流がそれに気づいた頃には、聖詞は少年では無く、男の表情を身に着けていた。

 沙夜子が来て季節は秋へと移り、聖流は仕事が休みの午後、古いCDが聴きたくなって実家に訪れ自分の部屋のCDラックを(あさ)った。

 隣の聖詞の部屋から話し声が聞こえて来た。

 閉まり切っていないドアの陰から聖詞の部屋を覗くとベッドの上で聖詞と沙夜子が抱き合いキスをしていた。

 聖詞は慣れた手つきで沙夜子の身体をまさぐっていた。

 聖流は音を立てない様にその場を離れた。

 何日か経ってから聖流は実家に電話を掛けた。

 聖詞が出た。

「聖詞、以前バンドの練習を見たがっていたろ。

 今週の土曜の夜に来ないか。」

「行くよ。

 何時に待っていればいいの?」

「そうだな七時頃はどうだ。」

「じゃあ、待ってる。」

 聖流は通話を切ると、ビールを(あお)った。


 土曜の夜、聖詞を迎えに行くと沙夜子は聖流を避ける様にキッチンへ引っ込んだ。

「行こう、聖流。」

 聖詞はポケットに手を入れた聖流の腕を引いた。

『こんなあからさまじゃ親父にバレルのも時間の問題だな。』

 聖流は聖詞を助手席に乗せると練習場へと走らせた。

 街外れの、元農家の家屋だった練習場に着くと、既に他のメンバーは来ていてチューニングを合わせていた。

 聖詞に手伝わせて機材を運ぶと聖流は、他のメンバーに聖詞を紹介した。

 演奏が始まると聖詞は部屋の端に置かれたソファーに座り爆音に耳を傾けた。

 聖流はこうしてキーボードを弾いていると戸口の柱に身を預けて貴都李(きとり)がこっちを見ているような気がして、戸口を見てしまう事が未だにある。

 今でも貴都李の夢をみる。

 夢の中の貴都李は何も言わず、あのキレイな笑顔で聖流を見詰めていた。

 だが、話し掛けようとすると決まって眼が覚めてしまうのだ。

 始めの内は既成のバンドの曲を真面目にコピーしているが最後の方になると訳の解らないジャムセッションになる。

 そして、訳の解らない会話を交わしてお開きになる。

 毎度のパターンである。

 帰りの車の中で聖詞は興奮して言った。

「耳で聴くって言うより身体で感じるって感じで、身体から力が湧くって言うのかな、凄く興奮した。」

「聖詞。」

「ん?」

「この先に自販機があるんだ。

 何か飲まないか?」

「そう言えば喉乾いてる。」

 聖詞は笑った。

 大きな駐車場の奥に自販機が二台設置してあって、ドライバー達がよく休憩するのに利用しているので駐車場にはあちこち空き缶やペットボトルが散らばっていた。

 二人は車から降りるとコーラを買った。

 聖流は自販機に凭れてタバコに火を点けた。

「聖詞。」

 聖詞は振り返った。

「沙夜子さんとはいつからなんだ?」

 聖詞の表情が(にわか)に変わった。

「気づいてたの。」

「あんなあからさまに態度に出ている様じゃ、親父も莫迦(ばか)じゃない、その内気付く。」

 聖詞は持っているコーラのボトルを親指で引っ掻いた。

「その日が来るのを心待ちにしてる。」

 俯いたまま聖詞は言った。

「彼女がそれまで待って欲しいって言うから我慢してるんだ。

 でも本当は今すぐにでもあの家を出て彼女と二人で暮らしたいんだ。」

 聖詞はそう言って真っ直ぐ聖流を見た。

「本当にそう上手く行くと思っているのか?」

「上手く行くって?」

「世の中、そんな甘く出来て無いってことだよ。

 だいたい彼女はお前に本気なのか。」

「どう云う意味?」

「言葉の通りだよ。」

「おかしな事言うよね。

 本気だから愛し合ってる。」

「忘れてないか?

 相手は親父の嫁さんだ。」

「解ってる、そんな事。」

 聖流は敢えてこれ以上言うのは止めた。

 女にのぼせ上がっている十六歳の少年に何を言っても理解はできないだろう。

 真聖にバレタ時、嫌と云うほど思い知ることになる。

 それを経験するのもまた聖詞にはいい人生勉強になるだろう。

 聖流はそれくらいに思っていた。

 だが、高を(くく)っていた聖流も甘かったのだ。

 会社で仕事をしついる聖流のスマホに電話がかかって来た。

 図面をひいていた聖流は電話にでた。

「はい、藤岡です。」

「…………………………………………。」

「もしもし?」

「……………聖流……………………………。」

「どうした、聖詞。」

「死んだ………………。

 沙夜子さんが……………手首を切って……………………。」

 聖流は思わず、勢いよく立ち上がった。

 他の同僚たちが驚いて聖流を注目した。

「死んだ………………………

 あああああああーーーーーーっ!!」

 聖詞は完全に正気を失くしていた。

「聖詞!

 落ち着くんだ!

 今行くから。

 そこで待ってろ!!」

 聖流は通話を切らずにスマホをズボンのポケットに入れた。

 上司に家で事故が起きたと説明し早退した。

 会社を出るとスマホを取り出して歩きながら聖詞に話し掛けた。

「聖詞!

 聞こえるか?」

 応答は無かった。

 それでも聖流は聖詞に話し掛けながらアパートまで歩き、アパートから車で実家へ向かった。

 車を運転している間も応答の無い聖詞に話し掛け続けた。

 実家に着いてリビングに飛び込むと聖詞は、顔を血塗れにして壁に凭れ、壊れた人形のように脚を投げ出し、床に座り込んでいた。

 その傍に電話が転がっていた。

「聖詞!

 しっかりしろ!」

 聖詞の身体を揺すったが聖詞は放心状態で反応しなかった。

「沙夜子さんは何処だ!」

 聖詞はぼんやりとした表情で風呂場を指した。

 聖流は風呂場に行った。

 沙夜子は下着姿で壁に寄りかかり、降り注ぐシャワーの下で眠ってでもいるかの様に顔を傾げて、手首から血を流していた。

 聖流は取り敢えずシャワーを止め沙夜子の生存確認をしてから救急車を呼んだ。

 放心状態の聖詞をソファーに座らせ、救急車を誘導する為に外に出ると真聖に電話した。

「聖流、どうかしたのか?」

「沙夜子さんが手首を切って自殺したんだ。」

 真聖は暫く黙った。

「………………それで容態は?」

「解らない、今救急車を呼んだ処だよ。」

「解った、今帰る。」

 救急車が来ても沙夜子は病院へ運ばれることは無かった。

 その代わり警察や医者などが呼ばれ、真聖が帰る頃には、家の中は男たちでごった返していた。

 誰かが、沙夜子が妊娠している事を話していた。

 それは聖詞の耳にも聞こえていた。

 聖詞はただ大きく眼を見開き俯いた。

 聖流は聖詞を二階の聖詞の部屋に連れて行きベッドに座らせた。

 絶え間なく質問されるが聖詞はそれに対応できる状態では無かったからだ。

 聖詞は項垂れ、気力の総てを奪われていた。

「僕が殺した………………。

 僕が殺したんだ…………………。」

 聖詞が呟いた。

「違う!

 彼女は自分で勝手に命を断ったんだ!」

 聖流は思わず怒鳴った。

「僕が殺したんだ!」

 聖詞は立ち上がり頭を抱えた。

「僕が彼女を追い込んだ。

 僕が愛したから……………………。」

「莫迦!

 眼を覚ませ!

 彼女はそんな綺麗事が似合う女じゃ無い!

 お前はただ、親父の代わりに(てい)よく性欲の捌け口にされてただけだ。」

 聖詞はゆっくり顔を上げると聖流を睨み付けた。

「彼女を侮辱するな。

 例え聖流でも許さない。」

 聖流を睨み付ける聖詞の眼は、聖流がいまだかつて見たことの無い怒りに満ちた眼だった。

 聖流はこれ以上、聖詞の神経を掻き乱すことを恐れ、黙って部屋を出た。



    ー失踪ー

 沙夜子の自殺によって聖詞が受けた衝撃は想像を絶するものだった。

 聖流は通夜に出席する為、喪服を取りに一端アパートに帰った。

 実家に戻ると聖詞の姿が見えない。

 聖流は嫌な予感がして聖詞を探し始めた。

 二階の何処にも聖詞の姿は見当たらなかった。

 聖流は勘が働いて風呂場を覗いた。

 聖詞は出しっぱなしのシャワーの下で沙夜子と同じ様に手首を切っていた。

「聖詞!」

 聖流は直ぐに真聖を呼ぶとスマホで救急車を呼んだ。

 真聖と二人で意識の無い聖詞をソファーに寝かせた。

 やがて救急車が来て、真聖は沙夜子の通夜の為家を離れる訳には行かないので、聖流が救急車に乗り込んだ。

 血圧が低下していて危険な状態だったが、なんとか一命を取り止めた。

 集中治療室に運ばれ、輸血を受けて眠る聖詞に聖流は片時も離れる事無く付き添った。

 一昼夜が明け、疲れて聖流が微睡んでいると眠る聖詞の手が空を彷徨った。

 聖流は聖詞の手を握った。

 聖詞は何かを呟いていた。

 その言葉は次第にはっきりして行った。

「眼を開けて。

 眼を開けて………………………。」

 聖詞の眼から涙が溢れていた。

 その声は少しずつ大きくなって叫びになった。

 聖詞はベッドの上で()け反り叫び続けた。

「聖詞!」

 聖流は看護婦を呼んだ。

 看護婦は直ぐに飛んできて聖詞の様子を見ると医師を呼びに行った。

 聖詞の身体を押さえつけるが、聖詞はその押さえつける聖流の手を掴んで身体を折った。

 医師が来ると鎮静剤が投与された。

 それは序章に過ぎなかった。

 聖詞はそれから何度も自殺をはかり、手首には幾つもの傷痕が刻まれ、何度も死にかけたが、それでも死ぬ事を止めようとはしなかった。

 その日も病院のベッドで聖詞は眼を覚ました。

 聖詞は包帯を巻かれた手首を額に当て死ぬ事ができなかったことに絶望した。

「また、僕は死ぬ事ができなかったんだ。」

 付き添っていた聖流は丸椅子に座って脚を組んでいた。

「オレがいる限りお前を死なせない。」

「どうして…………………。」

 聖詞は起き上がり足をベッドから下ろした。

「どうして!!」

 聖詞は叫んだ。

「いい加減諦めろ。

 オレは諦める気は無い。」

「頼むから僕を死なせて…………………。」

 聖詞は顔を両手で覆った。

『生きたくても生きられない者も居たんだ、聖詞!』

 聖流は聖詞の手首を掴んで思い切り殴った。

 聖詞の身体はベッドに転がり床に滑り落ちた。

 聖流は、のろのろと起き上がった聖詞の肩を掴むとこちらに向かせて胸ぐらを掴み上げた。

「罪の意識があるなら生きて苦しめ!」

 見上げた聖流は眼に涙を溜め、哀しい顔で聖詞を見詰めていた。

 聖詞は聖流の眼を見詰めて瞳を震わせ、眼を伏せた。

 聖流は落ち着きを取り戻すと聖詞から静かに手を離した。

 聖詞は切れた口の端を手の甲で(ぬぐ)った。

 ドアがノックされて看護婦が入ってきた。

「あらら藤岡さん、ちゃんと休んでないといけませんよ。」

 看護婦は聖詞をベッドに寝かせると聖流に言った。

「担当医師から、お話があります。」

 聖流は看護婦と部屋を出た。

 ナースステーションの奥にある小部屋に連れられるとそこに医師が椅子に座って待っていた。

 医師は聖流に、椅子に座るように勧めた。

 聖流は従った。

「聖詞くんを、落ち着くまで精神科病棟に長期入院させてはどうでしょう。

 精神科病棟なら監視の設備も行き届いているので、聖詞くんも滅多な行動を起こすことはできません。」

 聖流は暫く考えてから言った。

「父と検討してみます。」

 聖流が病室に戻ると病室はもぬけの殻になっていた。

 備え付けの棚に置いてあった聖詞の私服が無くなっていた。

 聖流は慌てて看護婦を呼び、辺りを探し回りながら下の階へと降りた。

 何ヵ所もある出入口に総て行ってみたが聖詞の姿は無かった。

 手の空いた看護婦たちも探し回ってくれたが、とうとう聖詞を見つけることはできなかった。



    ー寺月魁威(てらつきかい)ー 

 聖詞が失踪して一年が過ぎた。

 警察にも捜索願いを出していたが、聖流は方々手を尽くして聖詞の行方を捜した。

 しかし、手掛かりすら掴めずにいた。

 もう、人知れず死んでしまったのかも知れない。

 そんな不安が頭をもたげた。

 ある日、バンド仲間と別のバントをやっている何人かで飲んでいる時だった。

 別の街から来ていた野崎と云う男が言った。

「そう言えば聖流、弟捜してたよな。

 似てたんだよなあ、隣街の飲み屋街で喧嘩おっぱじめた奴に。」

 聖流は身を乗り出して言った。

「何処だって?」

「H市の飲み屋街。

 前に捜してるって写真見せて貰っただろ。

 似てたんだよね。」

 聖流は写真を出して野崎に見せた。

 野崎は写真を受け取ると暫く見詰めて言った。

「やっぱ、似てるわ。

 ここら辺でこんなキレイな顔した子なんてそう居ないからさあ。」

 早速次の日、仕事を終えるとH市の飲み屋街へ車を走らせた。

 近くの駐車場に車を預け、徒歩で飲み屋街を目指し、聖流は手当たり次第聖詞の写真を見せては訊いて歩いた。

 場末のバーで見掛けたと云う男がいた。

 聖流はそのバーを目指した。

 途中の店のドアが突然開いて男が飛び出して来た。

 男は道路の中央に立つとドアに向かって笑みを浮かべ構えた。

 聖詞だった。

 聖流は黙って様子を見た。

 聖詞の後に続いて二、三人の男たちが飛び出して来て聖詞を囲んだ。

「この餓鬼言わせておけばいい気になりやがって!」

 後ろにいた男が聖詞を羽交(はがい)い締めにした。

 店から更に若い男たちが出て来て叫んだ。

「隆一朗、ここも出入り禁止になったよ!」

『隆一朗?』

 聖流は改めて聖詞を見た。

 聖詞は羽交い締めする男がそれに気を取られた瞬間に男の(すね)(かかと)で蹴って(ひる)んだ処でするりと下から抜け出した。

 殴りかかって来る男の拳をすんででかわして素早く後ろに下がって距離を取った。

 もう一人の男が聖詞の腕を掴もうてするが、聖詞はそれに気付くと腕を回転させて身体をよじり、男は触る事さえできなかった。

 見ていると聖詞は攻撃に出る事はせず、ひたすら男たちをかわして翻弄していた。

「さっきから一発も当たって無いけど。

 大したこと無いなあ。」

 聖詞は笑った。

 男たちはいきり立った。

 店の前で高みの見物をしている男たちはどうやら聖詞の仲間らしいが手助けする気は無い様だ。

「隆一朗、その辺で止めといたら!

 なんなら、手を貸すよ!」

 見物している男が言った。

「ご冗談を!

 お楽しみはこれからだよ!」

 聖詞が気を取られている隙を狙って男の一人が聖詞のみぞおちに一発くらわした。

 聖詞は身体を折って膝をつき咳き込んだ。

 聖流はつかつかと進みでてその男の胸ぐらを掴んでこちらに向かせた。

「オレの目の前で聖詞を殴るとはいい度胸してるじゃないか。」

 聖流は思い切り男を殴った。

 男は勢い良く飛ばされ地面に転がった。

 それに気付いた聖詞は見上げると聖流に気付いた。

「聖流……………。」

 他の二人が飛びかかって来たが聖流はあっという間にのしてしまった。

「警察だあ!!」

 誰かが叫ぶと聖流は聖詞の腕を掴んで走り出した。

 人だかりの隙を縫ってその場を離れ、細い路地に入って身を隠した。

 呼吸が整うと聖流は言った。

「危なっかしくて見てられなかったぞ。」

「聖流…………。」

 聖詞は聖流を見詰めた。

「どうしてここが?」

「オレの情報網を甘く見るなよ。」

 聖流が見詰めると聖詞は眼を伏せた。

 一年振りに見る聖詞は、聖流と変わらないくらい身長が伸び、大人びた表情を身に着けていた。

「その様子だと帰る気は無さそうだな。」

 聖詞は眼を伏せたまま黙った。

「今、何処にいるんだ?」

「僕のことは放っておいて………………。」

 聖詞はそう言うと去って行った。

 聖流は後を着けた。

 聖詞は飲み屋街からそう遠く無いエリザベータと云う喫茶店に鍵を開けて入って行った。

 暫く喫茶店の傍で様子を見ていると、飲み屋街で見物していた男の一人が帰って来た。

 聖流は男に話し掛けた。

「突然すみません、ちょっといいですか?」

「なんですか?」

 男は(いぶか)しげに聖流を見た。

「ここでお世話になっている少年の事でお話を聞かせて貰いたいのですが。」

「あなたは誰です?」

「兄です。」

「お兄さん?」

「去年家を出て以来、ずっと捜していたんです。」

「そうなんですか。

 それなら俺も訊きたいことがあります。

 どうぞ。」

 男は閉店した喫茶店に入るように(うなが)した。

 男は照明を点けるとコーヒーを落とし始めた。

 聖流はカウンターのストゥールに座った。

「聖詞はここにどれくらいお世話になっているんですか?」

「聖詞って言うのが本当の名前なんですね。

 俺達には隆一朗って名乗ってますよ。」

 男はカップを二つ用意しながら言った。

「うちに転がり込んでかれこれ一年になります。」

「そうですか……………。」

 男がコーヒーを、砂糖とミルクを添えて聖流の前に置くと聖流は立ち上がって名刺を両手で差し出した。

「藤岡聖流と言います。」

 男は名刺を両手で受け取ると名刺を見ながら言った。

「建築屋さんなんですね。

 俺は寺月魁威と言います。

 一応、この店の経営をしています。」

「弟がお世話掛けて申し訳ない。」

 聖流は頭を下げた。

「世話なんてことも無いですよ。

 あいつ若い癖に妙に硬くて、アルバイトで貰った給料から生活費必ず入れて来るから。」

「聖詞は何処で働いてるんですか?」

「ここの近所のクリーニング店です。

 お袋が笑うんです、隆一朗君は今時の若い子じゃ無いって。」

 聖流は笑った。

「聖詞はいつもああやって喧嘩してるんですか?」

「そうですね。

 誰彼構わず絡んでは挙げ句にナイフ放って挑発するんです。

 警察のお世話なんて、しょっちゅうですよ。

 家を出るって何があったんですか?」

「聖詞は何も?」

「訊かれるのも嫌みたいだから、敢えて訊いたりしませんが、こっちも毎晩あれじゃ気になって………………。」

「あれ?」

「眼を開けてって奴…………。」

「ああ、まだあるんですね。」

「時々風呂場で倒れるんです。

 一度病院に連れて行ったんですけど精神的なものだろうって言われました。

 そして何かにつけて人に絡む。

 よほどの事がなければあんな風にはならないでしょう?

 いったい何があったんですか?」

 聖流はストゥールに座るとカウンターに手を組んで暫く黙った。

「無理に話さなくてもいいですよ。

 それを知っても知らなくても隆一朗がいい奴に変わりは無いから。」

「すみません。

 聖詞が話すまで待って貰えると助かります。」

「解りました。

 藤岡さんは連れ戻したいんですか?」

「できれば……………。

 でも、さっき話した感触では本人にその意思は無いようです。」

「そうでしょうね。

 うちは構わないですよ、お袋は隆一朗を気に入ってるし。

 美少年の息子ができたって喜んでいるくらいだから。」

 魁威は笑った。

「助かります。」

 聖流は頭を下げた。

「何かあれば、うちでできる限りの対処はさせて戴きます。」

「弟思いなんですね。」

「聖詞のこと宜しくお願いします。」

 聖流はストゥールから降りると深々と頭を下げた。



    ー隆一朗と云う聖詞ー

 聖流は定期的にエリザベータに顔を出して魁威から聖詞の様子を聞いた。

 その日もエリザベータを訪れると魁威は笑顔で迎えた。

「聖詞の様子はどうですか?」

「クリーニング店をクビになったみたいなんですよ。

 配達のおっさんと揉めたらしくて。

 本人はケロッとしてましたけどね。」

 魁威は聖流にコーヒーを出しながら言った。

「有り難う。

 それで聖詞は…………………。」

「今日は新しい仕事探しに行きました。

 そうそう、最近ギターに凝ってて、毎日練習を欠かさないですね。」

「ギターを?」

「エレキギターを教えたら、いたく気に入ったみたいで血豆が潰れるくらい必死になって練習してますよ。」

 店のドアから聖詞が帰って来た。

「聖流………………。」

 聖流の姿を認めると聖詞は、困惑した表情で立ち止まった。

「聖詞、仕事は見つかったのか?」

 聖詞は少し戸惑いながら答えた。

「……………うん、美容院で見習い募集してて、明日から来てくれって言われてる。」

 聖詞は聖流の隣に座った。

「魁威、僕にもコーヒー淹れてくれる?」

「あいよ。」

 魁威はカップを置くとそれにコーヒーを注いで聖詞の前に置いた。

「有り難う。」

 聖詞は聖流の方に身体を傾けた。

「今、お金貯めてるんだ。

 いつまでもここにお世話になってる訳にも行かないし。」

「そうか……………。」

 お客が来ると聖詞は店の奥で手を洗って水を運んだ。

「いつも悪いな隆一朗。」

 聖詞は笑って肩を(すく)めた。

「隆一朗は仕事が休みの日はこっちを手伝ってくれるんですよ。

 気のせいか女性客が増えましたね。」

 魁威は笑って言った。

 お客に呼ばれると聖詞は慣れた調子でオーダーを貰って魁威に伝え、オーダーができるとトレーに載せて運んだ。

 カウンターに戻ると聖詞はポケットからタバコとライターを取り出した。

 聖流は驚いて言った。

「聖詞、お前まだ未成年だろ!」

「聖流も吸う?」

 聖詞はボックスを軽く振って取りやすくすると聖流の前に差し出した。

「そう云う問題じゃ無いだろ。」

 聖流は呆れて、一本取って火を点けた。

「お前にタバコを勧められる日がこんなに早く来るとはね。」

「三年ずれただけだよ。」

 聖詞はタバコを持った手でコーヒーを飲んだ。

「ねえ魁威、今日は飲みに行かないの?」

「行きたいのは山々だけどね。

 そろそろ行ける店も無くなって来たよ。

 行く店、行く店で隆一朗が喧嘩おっぱじめるから、出禁の店続出でね。」

「聖詞、酒まで飲んでるのか!」

「飲み屋に行ってお酒飲まないで何飲むの?」

「こいつ蟒蛇(うわばみ)ですよ。

 お兄さん。」

「聖詞が蟒蛇……………………。」

 聖流は頭を抱え込んだ。

「隆一朗、お兄さんがショック受けてるよ。」

「真実がいつも優しいとは限らないよ、聖流。」

「お前が言うな。」

 聖流は額に手をあてた。

 気を取り直して聖流は言った。

「処で、ギターを始めたんだってな。」

「うん、ギター弾いてると嫌な事全部忘れていられるんだ。」

「そうか……………。

 忘れられるなら忘れた方がいい。」

「僕は忘れない、決して。

 あれは許されない僕の業だから……………………。」

「聖詞…………………………。」

 聖流は聖詞をみつめた。

「そんな顔しなくても大丈夫だよ。

 もう、自殺しようなんて考えないから。」

 聖詞は(かす)かに笑った。

「そうか……………………。」

 聖流は眉間に皺を寄せてタバコを揉み消した。



    ースピード狂ー

 十八になった聖詞が車の免許を取るから運転を教えて欲しいと言うので、仕事が終わると聖流はエリザベータに直行した。

 エリザベータで軽い食事を済ませた頃、寺月家の夕食を終えた聖詞が店に出て来た。

「悪いね、聖流。」

「いいさ。」

 聖流は食後のコーヒーを楽しんでいた。

 聖詞は昨年就職した美容院を辞めていた。

 美容院の女経営者がしつこく聖詞に言い寄って来たので聖詞は辞めざるを得なかったのだ。

 新たに仕事を探すが普通免許を持っている方が、条件が良いのと募集する会社が多いので学歴が無い聖詞は少しでも雇って貰える条件を満たす為に免許を取る事にした。

 それに聖流は駆り出されたのである。

 交通量が少なく直線道路が多い、街の西方面で練習する事にした。

 聖詞は呑み込みが早く、説明して何度か実践すると殆ど何も言わなくても運転できるようになった。

 しかし、試験には落ちてしまった。

 戒めに一度は落とされるものなのだと魁威と聖流に(なだ)められて、聖詞はもう一度試験を受け合格した。

 晴れて免許を貰うと運転が楽しくなり聖流がエリザベータを訪れる度、聖詞は車を借りてドライヴに出掛けた。

 その間、聖流はエリザベータで魁威と世間話をした。

「新しい職場では上手くやっているようだろうか。」

「今の処、問題は無いようです。

 それよりいまはアンプに夢中ですね。

 カタログ見てはどうゆう音の違いがあるのかって方が気になるみたいです。

 俺達バンド組むんですよ。」

「バンドを?」

「隆一朗がギターで俺がドラムス。

 他にベースとヴォーカル。

 一応パートは(そろ)っているんですよ。」

 魁威が嬉しそうに言った。

「聖詞がバンドか…………………。」

 聖流は声無く笑った。

 ドライヴに出てそれほど時間が経ってもいないのに聖詞が帰って来た。

「どうした、聖詞。」

 聖詞は申し訳なさそうな顔で聖流に近付いた。

「ごめん、聖流。

 カーブ切り損ねてぶつけちゃった。」

「ぶつけた?!」

 魁威が驚いて叫んだ。

 聖流は笑いだした。

「やっぱりやったか。」

 魁威はその言葉に驚いて聖流を見詰めた。

「笑い事ですか?」

「どれどれ、何処ぶつけたんだ?」

 聖流は聖詞を連れて外に出た。

 魁威も着いてきた。

 店の前に車が止めてあった。

 見ると車の後ろの部分がぐっしゃり潰れてテールランプがもげていた。

「聖詞ぃ、この車去年変えたばかりなんだぞ。」

「わあ、ぐっしゃりいっちゃってるね。」

 魁威は眉をひそめた。

「ごめんなさい。

 ねえ、保険効く?」

 車の壊れ具合を見て聖流は言った。

「聖詞、なんキロだした?」

「百二、三十キロくらい……………かな……………。」

 聖詞は苦笑いした。

「莫迦、そんなに出して事故ったら死ぬぞ。」

「隆一朗、そりゃ出し過ぎだよ。」

「ごめん、気持ちよくてついね……………。」

「我が弟がスピード狂だったとはね。」

 聖流は深く溜め息をついた。

 しかし、聖詞のスピード狂に反省と云う文字は無かったようである。

 この後も何度もあちこちぶつけて聖流は修理に散財した。



    ーバートリー結成ー

 夕方、聖流がエリザベータを訪れると定休日だったが硝子越しに、奥のカウンターの傍に人影が見えていた。

 聖流が入って行くと、聖詞と魁威を含めて四人ほど人が集まっていた。

 聖詞と魁威はカウンターに、他の二人はテーブルに着いていた。

 聖流に気付くと魁威は軽く手を上げて挨拶した。

 よく見ると他の二人も見憶えがある。

 喧嘩している聖詞を魁威と一緒に見学していた二人だった。

 二人は聖流に気づいて魁威に視線をやった。

 魁威は聖流を二人に紹介した。

「隆一朗のお兄さんで、藤岡聖流さんだ。

 こっちの黒長髪がベースの麗畏(れい)

 (あお)いメッシュを入れてるのがヴォーカルの樹良(じゅら)

 樹良は丁度隆一朗と同じ歳だな。」

 樹良は笑って(うなず)いた。

 二人は聖流と握手した。

「今、みんなでバンド名考えてたんですよ。

 簡単で憶え易くて、カッコいい名前にしたいねって言ってたんです。」

 魁威は聖流にコーヒーを淹れながら言った。

「何かいい名前ありますか?」

「バンド名ねえ………………。」

 聖流はストゥールに腰掛けると頬杖をついた。

「ここがエリザベータだからバートリー?」

「あ、俺それ知ってる。」

 樹良が言った。

「エリザベータ・バートリーだよね。

 何十人もの娘たちの血を浴びて自分の美しさを保とうとした女性だね。」

「バートリーかあ…………………。」

 麗畏は天井を仰いだ。

「いいかもね。」

 聖詞が言った。

「うん、憶え易いし響きもいいな。」

 魁威が言った。

「麗畏どう思う?」

「俺もいいと思うよ。」

 樹良が言った。

「じゃあ、決まりだね。」

 聖流は魁威に向かって言った。

「今度練習風景を見せて貰いたいな。」

 聖詞はカウンターに組んだ腕に顎を載せて聖流を見て言った。

「それはちょっと照れるね。」

 聖流は笑った。

「是非、お手並み拝見したいね。」

 その後、五人は好きなバンドの話や機材の話で盛り上がった。

 聖詞が他の三人に溶け込んでいるのを見て聖流は安心した。

 バンドを始めるようになると、傾けるエネルギーの殆どがギターへと注がれるようになり、聖詞の飲み屋で喧嘩する頻度が激減した。

 魁威の提案で聖詞は調理師免許を取り、エリザベータで働く事になった。

 エリザベータで働く様になって半年ほど過ぎた頃、聖詞はエリザベータの近くにある古いアパートで念願の一人暮らしを始めた。

 しかし、一人暮らしをするようになった聖詞の生活は荒廃して行った。

 沙夜子の悪夢に怯え、一人を恐れ、以前にも増して自己を責め、穏やかさとはかけ離れた日常を過ごす様になった聖詞は人間的な表情を失くして行った。

 聖流は月に一度、聖詞を心療内科に連れて行き、聖詞を見守る為に、聖詞のアパートの近くに引っ越してバートリーに加入した。



     聖詞の章 fin









 

 ここまで読んで戴き有り難うございます。

 娘の強い要望で書き始めた、聖流編は頭のなかでぼんやりと構想はあったもののまさか形にできるとは思ってもいなかったので、こうして形にできて本当に嬉しいです。

 小説書き始めてまだ二作目でスピンオフとは相当生意気だなあと思います。笑

 昔から書くことが好きで、今小説書いている時が一番幸せだなあと感じる時間です。

 ここに投稿する時は、すでに書き終わっている状態で、それをスマホに移す作業に時間がかかってしまいます。

 何せ娘のスマホ借りてるものでして。

 本当に、いつも応援してくれる娘たちには感謝です。

 後、残すは央の章のみ、頑張ります。

 相変わらずつたない文章で申し訳ないのですが、 楽しんで戴けたら幸いです。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ