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25-1.白(25日目)

前話が完成したので、読み切っていない方はそちらからどうぞ。


欲求不満な夜を経て、その寝起きは・・・

・・・トシ! ・・・サ・・シ! サトシ!

 俺を呼ぶ声が聞こえて、目を覚ました。


 「おはよう、良かった起きてくれて・・・」


 「ふわぁ~・・・おはよ、アリア・・・」

 どういう訳か、ベッドの上に座ったアリアは、セーラー服を着ていた。

 何故裸じゃ・・・?と疑問より先に、ぎゅーッと抱きしめた。


 「えっ!? やだっ・・・サトシどうしたのよ?」


 「アリアのバカ・・・」

 その言葉だけ言って、キスをした。 濃厚な奴じゃなく軽くだ。


 「「・・・すぅー」」

 どちらからともなく、息切れを機に唇を放した。


 「夜の事・・・よね?」


 アリアは事の発端を察したようだった。 完全に俺は欲求不満だ。 寝るには寝れたけど、昨夜の生殺しと寝起き一番に可愛い姿を見せられたら、またも俺の中の野生が飛び出そうとしていたのだ。


 「大変だったんだからな・・・?」


 「我慢してくれてたのかしら?」


 「・・・一応な」

 もちろん、しごいた事は秘密だ。

 真っ白では無いけど、薄いグレーな状態なはずだっ! 黒では無い、絶対に!


 「そっか。 我慢してたのね・・・。 今からでも・・・したい?」


 体はアリアを欲していた。

 でも・・・ムードの無い今、欲望に飲まれるままなのは何か嫌だと俺の中の何かが叫んでいた。

 「はぁー・・・ いや、今はしない。 キスで十分だよ」


 「・・・抱きしめながら言われても説得力無いわね」


 ふふっと笑うアリアを抱きしめ続けるが、嫌がられる訳でなく抱き返してくれたので、俺の理性に落ち着きが戻ってくるまでしばらくこのままで居させてもらった。


 「アリアは、今日も日課は済ませたのか?」


 「もちろんよ。 それと・・・外見たら驚くわよ」


 「ん?」

 カーテンを開けて窓から外を覗くと・・・

 世界は白い壁に覆われていた。


 「な、なんだこれ!?」


 「外に出てみたら分かるわよ」


 アリアに勧められるまま、俺は服を着て玄関を開く。

 ひゅぅ~~~~

 温度差による熱の移動・・・風と言うには弱々しいが身震いするほどの冷気が身体を襲う。

 「寒っ!」


 すぐさま玄関の扉を閉めて、コートを引っ張り出した。

 遂に冬が・・・来たのだ。

 温かい服装になって、思い浮かんだことがいくつもあった。


 外のかまどは?

 出しっぱなしにしていた石臼は?

 石窯用に準備していた粘土は?

 栽培していた麦に、軒先で干していたペアーチの皮は?

 まだまだ実っていたはずのペアーチの森はどうなっている?

 森に生えてた野菜は・・・?


 湧きだす湧きだす、秋にやり残してきたいくつもの問題が・・・

 (やべー・・・何も終わってなかった)


 ・・・冬支度間に合わなかったな。。

 俺には冬用のコートがあるが、アリアには長袖のセーラー服やTシャツ程度しか渡せていない。 サイズは合わないが、準備できるまでは俺の手持ちのジャケットを重ね着させる事に決め、今度こそ玄関から外に出る。



 家の外は・・・久々に不思議空間だった事を再認識させられた。

 キラキラと白い空が輝いている。 白銀の世界・・・これは・・・


 視界は白いが、それは地面に雪が積もっているからじゃない。 むしろアスファルトは、黒いままだし、屋外のかまどにも石臼にも雪は積もってなどいなかった。

 でも、世界は白く染まっている。


 原因は容易に察しがついた。

 見えない壁の存在だ。 その壁は異物の侵入を拒む。

 それは敵対する存在だったり、俺が直接触れて壁を一度でも越えない限り・・・


 という事は、この見えない壁から出ようとして雪に触れてしまうと、積もっている雪が一気に降り注ぐ危険が思い浮かんだ。

 雪掻き中に、降りかかった雪の重圧で窒息死とか・・・雪国にありそうだな。。


 しかし・・・太陽の光を白い空は透過しているか。 なら積雪量はそれほど厚くは無いと予想する。

 もしも雪が降り注いでも、多分大丈夫か・・・?


 「サトシ、外出ないの?」


 アリアは何も気にする素振り無く、見えない壁の外の雪を掃って外に出たり入ったりを繰り返していた。


 息をのむその美しさに俺は見とれていた。

 アリアのプラチナブロンドが揺れる度、雪の結晶が舞ってキラキラと輝いている。

 元々綺麗だった髪に、光輝く結晶が付加されて神々しささえ出ていた。 綺麗だ・・・

 童顔な見た目も相まって、さながら妖精。


 彼女に触れてしまえば、雪のように溶けて消えてしまう。 儚くも可憐な・・・そんな少女が俺を呼んでいる。

 息をする事すら忘れてしまいそうなひと時を俺は感じていた。

 「出てみたいが・・・一応警戒をね?」


 ずっと眺めていられそうなアリアから視線を外し、薪用の枝を使って見えない壁から雪を払い落としていく。

 不思議なものだ・・・。

 見た目は、アパートと庭すらもすっぽりと覆う超巨大で極限まで薄いかまくらだ。 枝を刺せば、雪だけが落ちて外の世界が顔を出し始める。

 「おぉ・・・!」


 昨日までの緑や紅葉に染まっていた森は、銀世界へと変わっていた。

 森の中まで雪は積もっていないが、森の入り口は雪化粧をしている。 白い雪で周囲が眩しいほど輝いているが、そんな白さにも引けを取らないアリアの透き通った肌は、雪化粧をした森よりも綺麗だ。

 「綺麗だな・・・」


 「えぇ、冬が来たものね」


 「いや。 アリアの事だよ。 本当に綺麗だ」


 「えっ? な、なに突然言い出すのよっ!」


 ぼふっ!


 アリアが手近な雪を拾い固め投げてきた。

 雪合戦か? 子供の頃やったな・・・この世界でもこの遊びは同じようだ。

 30過ぎのおっさんだけど、雪合戦は嫌いじゃない。 というか・・・雪が好きだ。

 「やったなー?」


 俺も手近な雪を集めて雪玉を作ってアリアへ投げつける。

 ひらりと躱された。

 再び雪玉を作って投げるも・・・ひらりと躱された。

 「くそっ! 当ててやるからなー!!」


 こうしてアリアとの雪合戦が始まった。


 薄く積もった雪といっても、家と森の境は開けた空地になっているので、地面や低木の葉には十分な雪が残っている。 せめて当てるまでは・・・


 負けず嫌いがこんな部分で発動していた。


 「ぶふっ!?」

 アリアの雪玉がまた俺を襲う。 今度は顔に直撃である。

 雪玉をストックして、連続で投げるも避ける事に専念したアリアにはかすりやしない。 雪でぬかるんだ地面でも危なげなく動き続けている。 狩猟一族(?)恐るべしだ。


 「ぐっ・・・」

 俺が投げた雪玉の破片を拾って、アリアの反撃に俺は手も足も出ない。

 飛んで避けても先読みされていたのか、飛び退いた先で次弾に当たる・・・

 しゃがんでも同様だ・・・

 1つ2つ避けたところでアリアの雪玉からは逃れられない。

 それでも粘り続けていたが。。


 「うわっ!?」

 ドスンッ!


 「イテテ・・・」

 ぬかるんだ地面で遂に足を滑らせて、尻もちをついてしまった。


 「サトシ、大丈夫?」


 思いっきり滑って尻を打った俺を、アリアが心配して駆け寄ってくる。 腰が痛いし、尻も痛い。 衝撃が尻から脳天まで突き抜けていった。

 足が痺れたように力が入らないが、手には・・・


 ぼふっ

 「よっしゃー!」

 俺はゆっくりと立ち上がり、アリアを見る。

 雪玉が当たり、水色のセーラー服にもしっかりと付着していた。

 遂に・・・アリアに当てる事が出来た。

 当てる!その思いで咄嗟の行動だった。

 頭を下げて尻をさすっていたが、達成した満足感で湧き上がった感情も次第に冷めていく・・・


 不意打ちというか、アリアの好意から出た心配を仇で返す事をやったと気付いてしまった。

 (ヤバイ・・・アリアの方を見るのが怖くなった)

書き溜めをせずに、その時のインスピレーションで追記しております。

投稿後も、気分が乗ってればちょくちょく追記で改稿していきますが、更新頻度は低いのでご了承を…

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