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2-1.森の探索(2日目)

森の探索に入った結城は、ヒャッハーッ! 水も食料も手に入れて最高だぜ!ってな具合で1人焼肉祭りをして一夜を無事に過ごした。 川原で目覚めた2日目はどんな行動に出るのか?



 暗かった川辺にも、森の木々を越えて射し込んでくる朝日で俺は目を覚ました。


 「今日も1日頑張るか」


 暖かい寝袋に後ろ髪引かれつつも、ガサゴソと抜け出してテントの外へ出た。

 水面で反射する朝日が眩しく、手で遮っていたが次第に目が馴れて川を見つめた。


 テント拠点からは北に大滝が見える。 そこから幅15m程の川が南南西へと流れている。 川岸から5m先までは膝下程の深さだが、そこから急に深くなるようで中央は2m以上の深さがありそうだ。 対岸に渡るのは容易でないと思われる。 川魚はいるのかも知れないが、浅瀬に小さな魚は見当たらなかった。 深い中央部分にはいるだろうと希望を持つのは止めておくべきだと感じた。


 横を向くと、そこには段積みされた石の上にイノシシ(?)(ナニカ)様のブロック肉が昨日と変わらず奉られている。 というか全く変わっていないので恐怖だ。

捌いてから半日近く経っているはずなので乾燥や変色、腐敗が起こっても良いのだが全く変わりない。 不思議だが考えても仕方ないと割り切った。

だんだんと不思議世界に感覚が麻痺しているようだ。

それと夜のうちに獣に御神体が奪われる可能性もあったが杞憂に終わったようである。


 家を出てから不思議体験盛りだくさんだ。 まだ朝7時、歩き回るのもありだが・・・


 ドサッ


 バックパックを足元に降ろし、手頃な石に座って考える事にした。


 「まずは、家から北に森を進み1時間で大木があった。 そこから西に30分進んで大滝にたどり着りついた。 滝つぼからは南南西に向かって川が延びているが、どこまで続くのかは皆目見当が付かない」


 声に出しつつ頭の中で位置関係をイメージする。 


   【大滝】   【大木】

    |

    |【拠点】

   |

   |

  |

  |        【家】

  ↓

  川

 【この先に海や湖の可能性あり】


 思いの外、水場と家は近いと思われる。 今回家に帰る際は、来た通りの道順で進もうと考えているが今後は直接西に進めば近いと分かった。


 そして食糧事情も改善の兆しがある。 考え事をしながら熾火に息を吹きかけて枯れ葉や小枝等を追加し炎を立たせ、朝食用として昨日と同様に串焼肉を作り始めた。 焼けた肉の味も昨日と大差なく美味い。 本当に痛んでいないようだ。 


 ③生きていけるか

   ・水事情  ⇒ 残り22本と少し減った1本のスポーツドリンク

           家の西側にある川で給水可能【New】


   ・食料事情 ⇒ 冷蔵庫の中や缶詰、乾麺等

           食べられる肉が現地調達できる可能性大【New】


   ・火の利用 ⇒ 火種が現時点では潤沢で、薪も多く可能【New】


 これは生活基盤の安定を目指す上で大躍進と呼んで良いだろう。 安堵感で眠気が出てくるほどだ。 この調子で少しずつ進めばいいはず。


 串焼肉を朝から腹いっぱい食べ、活力があるうちに次の行動へ移る。


 「あれが良さそうだな」


 更に川を南下した先に、竹のように見える植物が生えているのが見えた。

 竹があれば、色々と道具作成の幅も広がりそうだ。


 「予想以上にデカかったな・・・」


 荷物をまとめて近づくにつれて、太さと高さに違和感を感じつつも到着した時には驚きは消え、落ち着いていた。

 手早くノコギリツールを取り出し大竹を倒した。(どれもこれも、とても・・・おおきいです)

 長すぎるだろ。。 30mはあるんじゃないか? 根元の直径は50cmはある。 川へ倣うように倒して正解だった。 川を遮るように倒していたら竹一本で対岸まで届いてしまい、先端の方を使おうにも引っ張る事は出来なかっただろう。


 まずは竹槍と、竹の先端に割って尖った石を括り付けた石槍を完成させた。 攻撃としてのナイフは温存させたい。 次に、竹を割って籠罠を作った。 あっという間に昼になったがまだまだ元気はある。

 籠罠には生肉の欠片を入れ、太目のロープを括り付けて川へ投げ入れた。 川の中央で沈めては流される危険があるので1m程度の深さを狙った。 これは食料調達というよりも、調査としての意味合いが高い。 見た限り何も居ないと思われるからだ。


 一旦この程度で終っておくか。

 早めに家へ帰ってしっかり休もう。 帰路は竹槍と石槍を持って大滝へ向かい、大木を経由して帰宅する予定だ。

 川辺から森に移動すると、肌寒く感じてしまった。 木漏れ日はあるが浴びるほどの陽射しではない。

 何事も無く大滝から大木にたどり着き、一休みする事にした。


 「あぁ~ やっぱ疲れるな」


 半日動き回って作業して、と休む時間があまり無かった。 今日もぐっすり寝れそうだなと充実した半日が過ごせたと感じていた。


 ガサガサッ・・・


 「!?」


 風で擦れた木の葉の音とは違い何かが草木の中を横切ったような音が聞こえ、大木に寄り添って休んでいた俺の鼓動は一気に早まった。

 素早く手元のバックパックを背負い、石槍を構え周囲を見渡した。

 (北の方から音がしたように感じた)

 無意識に息を止めてしまっている。 周囲を慎重に見渡しながら、時折頭上にも注意を払いながら大木を影にして南へ移動をしていく。


 15mは大木から離れただろうか、大木の周囲は直径50m程度の範囲が開けた土地となっている。

 少しずつ東に向かい、大木の陰に隠れていた北の森の中に目を凝らす。


 「1.5程度の視力じゃ見えないか?」


 40m以上離れた先の森の中を覗くには少々視力不足感は否めなかった。

 しかし、それは直ぐに目に付いた。 昨日見つけたイノシシ(?)(ナニカ)が森から出て来るのが見えたのだ。 それも1匹では無く、2匹のようだ。 1匹は既に森から開けた大木の木陰エリアに入っており、森の中からもう1匹が出てくるのが見えたためだ。 息を止めるように静かにそして後ろを振り向きながら家の方へ後ずさっていく。


 「ヤバイ・・・」


 生きているイノシシ(?)(ナニカ)がどの程度強いのか不明だ。

 走る速度、攻撃する方法、どの程度の体力があるのか等々・・・

 それに多対1では無知のまま戦うのは無謀と感じた。 今の状況は、慎重になり過ぎるくらいで丁度良い。 軽率な行動は命の危険が伴う。

 (昨日の野営は、軽率ではあったが焼肉を前にして抑え切れなかった)

 結果として無事だったが、明日もそうとは限らない。 確実に仕留めれる状況が理想だが、せめて1:1の状況へ持ち込み戦う事が最低条件と考えた。


 慎重に後ずさってはいたが、イノシシ(?)(ナニカ)と目が合った気がした。


 (視認されたか!?)


 冷や汗が出てきて緊張が走る。

 俺は森に入り始めていたが、目の合ったイノシシ(?)(ナニカ)の行動に注視していた。

 ヤツは動き出した。 明らかにこちらに向かって走ってくる。 平地を走る速度は速く無いが、森の中を走る上ではやつ等の方が早いと考えるべきだ。


 一目散に家に向かって走り出し、嵩張る竹槍は捨て少しでも身軽になって走り続けた。

 何度か後ろを振り返ったが追いついてはいないようだ。 だが、油断は出来ない。

 小休憩を取りつつも走って家まで帰宅した。


 家は変わらず森の中に忽然と建っていた。

 敷地内に入り安堵感はあったが、急いで家の鍵を開けて中に逃げ込んだ。

 心臓の鼓動はずっと早いままだ。 家に着いてからは荒い呼吸を少しずつゆっくりと深くしていく事で落ち着きを取り戻した。


 警戒を怠る事は出来ないが、まずは安全だろうとバックパックから今回の探索の結果を取り出した。


 「ジップロック3つにパンパンに入ったイノシシ(?)(ナニカ)の肉ブロックと500ccの川の水、そして石槍1本か」


 一つ一つの成果を噛み締めるようにゆっくりと眺めた。


 ガサガサッ


 家の外で急に音が聞こえた為、またもや鼓動が警笛を鳴らしている。 眺めていた石槍を手に取り僅かにめくったカーテンから森を覗き見た。

 ベランダ側には何も見当たらない。


 「・・・玄関側の北面か・・・? 北の方からとなるとさっきのイノシシ(?)(ナニカ)が追いついてきた可能性がある・・・」


 石槍を持って玄関扉に近づき、覗き穴から外の様子を伺った。


 「見えないか・・・」


 覗き穴程度の視界じゃ、北の森を見渡す事は出来ない。 死角からこちらを狙っている可能性すらある。 緊張は解けずただ闇雲に時間が過ぎていく。 思考回路が10倍に早くなったように、緊張状態がまるで永遠の時の様に感じている。 緊張の糸が切れたら負ける・・・


 ドンッ!


 そんな事を考えていたら、遠くで何かが壁にぶつかるような音が聞こえてきた。

 もう一度覗き窓から外を伺うが何も見つけられなかった。

 ベランダ側に戻り再びカーテンの隙間から覗いても何も見つけられない。


 (北か東西どちらかだろう)


 息を潜めながら考えあぐねていた。

 追いつかれて狙われている可能性は高い、だがさっきの音は、家の壁にぶつかった音というよりはもっと離れていると感じていた。 森の木にぶつかっていただけという可能性すらあるのだ。


 10分ほど経って、俺は扉の鍵を開けて外に出て北と東,西を確認した。


 やはりイノシシ(?)(ナニカ)が西の森にいた。


 鬱蒼とした森と、異質感をかもすアパート敷地内のアスファルトエリアに奴等は入ってきていない。

 (なんだ?)

 警戒しているのだろうか、俺も目を向けたまま一歩も動けずにいる。

 2匹とも西の森からこちらを警戒しているように感じる。


 ザッ!

 

 奴等が地を蹴り突進してきたのだ。


 咄嗟の事に驚き,恐怖した瞬間、それは起こった。

 俺はその結果に腰が砕けて玄関の前でへたり込んでいた。


全く書き貯めは無く仕事から帰宅後にちょこちょこと書いています。

中々進むのが遅くて申し訳ありません。。

今日はサクッと2時間程度でおやすみなさい・・・(´・ω・`;)

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