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21-4.露天風呂(21日目)※挿絵あり

遂に一行は露天風呂に・・・!

 別荘の玄関を出ると、外は真っ暗だった。

 2mの石垣から見える空は、いつもよりも広く見える。 たった2mだが、それでも視点が上がった事は大きいようだ。 満天の星空も綺麗だが、湯に浸かりながら見る方がもっと気持ちが良いだろう。


 紅葉(もみじ)がミニ太陽を出した事で、周囲が昼間の様に明るくなった。 毎度助かるが、一気に明るくなりすぎて目が眩しさについていけない・・・

 ゆっくりと目を開いて、照度に慣らしていく。


 「足元気を付けなきゃな」


 「はーい」

 「そんなヘマしないわよ」


 石段は緩やかだが、夜間の視界が悪い中で歩くのは気を付けた方が良さそうだ。 手摺があっても、明かりが欲しく感じた。 紅葉(もみじ)に頼らなくても良いように、ソーラーライトでもあれば良いんだがな・・・無いので無理だが。。


 「こっちだよ」


 階段を降り切った後、そのまま川へ向かい、自作の露天風呂を探す・・・すぐ南にあるはずなんだがな・・・あ、あった。

 「これだよ」


 直径2mの円形で岩を組んで作った露天風呂だ。 というか、川の水をそのまま入れているだけだが・・・。

 「わーいっ♪」


 ドボンッ


 「うわっ!?」

 紅葉(もみじ)が露天風呂に飛び込んで、水飛沫を上げた。 服が濡れたが、紅葉(もみじ)なら乾かせれるだろうな・・・


 「紅葉(もみじ)っ、やり返すからなっ!」

 パッと服を脱ぎ去って、裸のまま露天風呂にザブザブと入ると、紅葉(もみじ)に湯船のお湯を手で組んだ水鉄砲で反撃した。


 ピュッピュゥーッ!


 「あははばっ むぅ~!」


 お湯が命中した紅葉(もみじ)は、まともに口の中に入ったようだ。 キャッキャと紅葉(もみじ)と露天風呂の中で遊びまわった・・・


 「あれ? アリアは来ないのか?」


 「アリス、おいでよー」


 「何の恥じらいも無く裸なのね・・・紅葉(もみじ)ちゃんは元々だけど・・・」


 「アリアは恥ずかしいなら、水着でも良いよ?」


 「着方を教わってないままだし、持って来てないわよ・・・」


 「そうか・・・」

 スク水の趣味は特にないので、ビキニタイプの方が俺は好きだ。 下着のままで入ればと勧めてみる。

 「服だけ脱いで、下着のままでもいいぞ? 洗濯ついでにもなるだろうし」


 「そ、そうね・・・そうするわ」


 アリアがセーラー服を脱ぎ始めるのを、俺は紅葉(もみじ)の明かりでしっかりと目に焼き付けた。 何だろうな、裸じゃないって方が興奮するな・・・。

 「ゔーー、アリスばっかり構ってないでっ!」


 ジッとアリアを見ていたので、紅葉(もみじ)に怒られてしまった。 犬掻きでこっちに泳いできた紅葉(もみじ)を捕まえて、水を吸った毛を洗ってやる事に。

 シャンプーや石鹸を忘れてしまったが、そう言えばこの世界で水浴びで石鹸とか使うのだろうか?


 ちゃぷ・・・


 「ふぅ~・・・ やっぱり気持ち良いわね」

 挿絵(By みてみん)


 アリアが湯船につかって、体を伸ばしていた。 下着姿で入っているので、透けたり・・・と考えていたが、生地がしっかりしているようで何も見えなかった。。

 ただ、紐で結んでいるだけなので・・・ラッキースケベが訪れる事を願う・・・


 「だよなぁ~ これから寒くなってくると思うと、もっとここに来たくなるだろうな」


 「泊まれる家も出来ちゃったものね」


 「ほんとそうだよな~」


 アリアは俺達から少し離れた位置で、のんびりと露天風呂を楽しんでいるようだ。

 紅葉(もみじ)にはミニ太陽を消してもらっているので、空を見上げると満天の星空が迎えてくれる。

 岩を枕にして、胸までお湯に浸かっていると星空を独り占めしているような感覚になった。

 俺達以外の物音は、川の流れと葉擦れのみ・・・それらをBGMとして、ゆったりとした時間が流れていく。


 紅葉(もみじ)は俺の腹の上で、濡れた毛の毛繕いをしているようだ。 濡れたせいで小さくなった紅葉(もみじ)はどこか貧相に見えるが、何も言うまい・・・ 言ったら怒られるのが目に見えていた。


 「アリス、水着や服着たままお風呂入るのはマナー違反なんだよ?」


 「うっ・・・でも・・・」


 紅葉(もみじ)が腹の上からアリアの方へ行ったようだ。 腹が軽くなったので更にリラックスできそうだった。 あー・・・温かいし、星が綺麗だー・・・


 「それに、洗うんだったらちゃんと洗ってよ? 私達が汚れたお風呂に入ってるって事になるしっ。 えいっ♪」


 「あっ!? えっ・・・あーっ!?」


 「ふふんっ♪」


 何やらアリアと紅葉(もみじ)が楽しそうにしている。 段々とウトウトしてきたが、起きなくては(のぼ)せてしまう・・・。 あー・・・でも出たくない。。


 「紅葉(もみじ)ちゃん、返してよー」


 「イヤーっ♪ アリスも裸になろっ?」


 バシャバシャ!


 「ん、アリアが裸になるって?」

 寝落ちしかけていたが、一気に目が覚めた。

 ただ動きたくない一心なのは変わらず、口で注意しておいた。


 「こらー暴れまわらないっ! 静かにっ! うわっ、いってぇ・・・」

 注意したが遅かったようだ。。 アリアに足を踏まれた。。


 「え、ごめんなさい。 あっ、あぁぁぁーっ」


 バシャンッ


 「ぐふぅっ・・・」

 俺を踏んづけて、足を滑らせただろうアリアが、腹に倒れ込んできた・・・。 運よく、手を枕代わりにしていたので、頭を岩で打ち付ける事は免れたがかなり痛い。 アリアの方は大丈夫だろうか・・・。


 上体を起こそうとすると、アリアが乗ったままなので諦めた。 頭だけ上げて確認すると、全身で俺に倒れ込んできたようだったので、アリアの方も無事に見えた。

 「アリア・・・大丈夫か・・・?」


 「・・・ごめんなさい・・・」


 「大丈夫なら良いよ。 でも、暴れないでね?」


 「えぇ、静かにしてるわ・・・」


 「ふふふ・・・こっちも、ひょいっと♪」


 「あー・・・」

 アリアのブラとショーツが、プカプカと露天風呂に浮かんできた。。 痛みで意識していなかったが、今アリアがくっ付いているこの感触は・・・。


 「あわわわわ・・・・」


 「ア、アリア、落ち着け大丈夫だ・・・」

 役得役得って事でついでに抱きしめて離さないようにして、頭や背中を撫でていく。 実際もう諦めて落ち着いて欲しい状況でもあった。 邪な理由だけでは断じてない! そう、自分の心に言い訳を叫んでいる。 そしてガッチリホールドした。(キリッ


 「アリス、諦めなよ~ これでみんな一緒っ♪」


 「紅葉(もみじ)、無理やりすぎるだろ? もっと・・・ゆっくり時間をかけて落ち着いてから脱がせればという俺の計k・・・」


 「あなた達、当の本人を前に勝手に話進めて・・・っ!」


 あ、ダメだ。 結構ご立腹のようだ・・・静かにしておこう。。。


 紅葉(もみじ)と一緒にアリアの説教を受け続けた・・・

 何故か、そのままの体勢だったので何にも頭には入って来ない。 柔らかさとか吸い付くような滑らかさとか、そんな物の感触に全神経が集中しちゃったよ。。。

 紅葉(もみじ)の方も、湯船から出て魔法で毛を乾かしてさっぱりした状態で説教を・・・あっちも、あまり頭には入って無さそうだった。


 アリアが落ち着いたところで、紅葉(もみじ)は部屋に戻ってるねって事で、先に別荘に戻ってしまった。

 石段の周りにポツポツと明かりが灯っていったので、紅葉(もみじ)が魔法を使ったのだろう。 足元に気を使ってくれたようだ。


 「アリア・・・」


 「何よ・・・さっきから。。」


 ずっと抱きしめたまま湯船に浸かっていたから、色々結構ふやけてフニャフニャだ。 一部を除いて。。


 「・・・もしかして、紅葉(もみじ)は気を使ってくれたのか・・・?」


 「そうかも知れないわね。 まんまとハマったって訳ね・・・」


 「・・・良いか?」


 「何を・・・とは言えない状況かしら。。」


 「嫌なr・・・」

 「嫌では無いわよ。 そうじゃなきゃ、このままずっと居る訳ないでしょ。」


 アリアから言葉を被せられた。

 「そうか・・・ありがとうな?」

 これで合っているだろうか、謝るべきところかも知れないが受け入れてくれる事は変わらず、感謝するべきと思ったのだ。


 ・・・

 ・・・・・・


 「何か、こういうのも久々な気がするわね・・・」

 

 露天風呂の外の川で体を流し、火照った体が冷えてきた頃に再び露天風呂に2人で浸かっている。 隣で持たれかかって来ているアリアは、最初の恥じらいなど川に流してきたようだった。


 「そうか? 今朝もこうやってくっ付いて一緒に朝食食べたりしただろ?」


 「そういうのじゃなくて・・・っ」


 くっ付いたままではあったが、そっぽを向いてしまった。 体を重ねるって方の意味だったようだ。 中々難しいな・・・

 「ん~・・・、今朝も確かにくっ付いてたけど、俺が欲求貯まってたみたいでごめんな・・・?」


 「・・・っ! も、もう少し優しくしてよねっ?」


 「あぁ、気を付けるよ」


 「絶対だからね?」


 「あぁ」


 2人の間に暫く言葉が途切れた。

 濡れた髪から零れ落ちた雫が、背中を流れていく。 もたれ掛かるアリアは、まだ動こうとはしないようだ。

 2人で星を眺めながら、もう少し露天風呂を楽しんだ。



 「そろそろ出るか?」


 「ちょっと待って、下着洗ってくるわ」


 「あはは、俺もその事完全に忘れてたな・・・」 

 あ・・・アリスのセーラー服めちゃくちゃ濡れてる。。 紅葉(もみじ)居ないから乾かす方法が無くないか・・・? 面白そうだったので、気づいたが口には出さなかった。


 バスタオルで体を拭いて、少し湿ってはいるが服を着てアリアを待った。


 う~ん、見事にすっぽんぽんで洗濯している光景は・・・あまりエロくないな。 後ろから襲いたくなる衝動は確かにあるが、やはり着衣の方が萌えるな。

 俺の頭の中は花畑がまだ続いていた。


 「お待たせ・・・っ!?」


 「どうしたー? 着替えたら戻るぞ?」

 何食わぬ顔で言えているだろうか? ゲスな顔をしていないだろうかが心配だった。


 「・・・服濡れてて着れないわ。。。」


 濡れたセーラー服こそ着衣して、その透け感をっと心の声が叫んでいるが、これ以上虐めると泣き出しそうなので、俺の使いかけだがバスタオルとTシャツを脱いで渡した。

 「体拭いて、これしかないけど着なよ」


 「ありがと・・・」


 いいねっ! 裸Tシャツ! これだよ、これ! 求めていたのはこういうやつ!!

 久々に俺の変態紳士な部分が目覚めようとしていた。 賢者タイムは既に終わってしまったようだった。 今夜は何とかしないとマズいかも知れないな。。


 「足元気を付けなね?」


 手を差し出すと、素直に手を取って2人で別荘へと戻るのだった。



 「ただいま。 紅葉(もみじ)ー、服乾かしてくれないか?」

 別荘に入る前から、ガラス窓から光が漏れていたので分かっていたが、やはり照明があるってのは落ち着くな。 明かりに感謝していると足音が聞こえてきた。


 タタタッ


 「はーい、二人とも乾かせばいいの?」


 「アリアの方はセーラー服や、下着も頼む」


 「任せてっ」


 ブワッと熱風が体をつつ・・・っ!? 裸Tシャツにこの暴風は防御力不足だったようだ・・・

 アリアの方を見ると、球体の風に舞うセーラー服や下着と共に、Tシャツが捲れ上がって、必死にアリアがそれを抑えている。 今日は、望んだとおりにラッキースケベが多いようだ。

 うんうん、中々の眺めだな・・・しっかり堪能させてもらった。


 アリアはぐったりしていたが、セーラー服を畳んでジャージに着替えてしまった。 まぁ、後は晩御飯食べて寝るだけだもんな。


 「アリア、紅葉(もみじ)、せっかくだからダイニングテーブルでご飯食べよっか」


 「うんっ♪」

 「すっかり忘れてたわね・・・」


 肉じゃがパンを配り終わると、紅葉(もみじ)から提案が入った。


 「温めると美味しいよね・・・? やってみようかな?」


 「良いね、焦げない様に気を付けてね」


 テーブルの上に置かれた3つのパンが、風に舞って浮かび上がった。 熱をかけているのかは分からないが、グルグルと空中で回るパンは不思議な光景だった。

 静かにテーブルにパンが降りてきたが、見た目は変わっていなかった。


 「できたよ、どうぞっ♪」


 「それじゃあ・・・ あつっ、良い感じだねっ」

 しっかりと熱々のパンに代わっていた。 熱いので指先で持ち替えながら口にパンを運んだ。


 「うんっ、美味しいなこれ」

 2人とも俺が食べるのを待っていたようだ。 昼に俺が食べていなかった事を気にしていたのだろうか?


 「一緒に食べよう、温かくなってより美味しいね」


 「上手くいって良かった♪」


 「あ、熱くて食べられないわ・・・」


 アリアは猫舌なようだ。。 迂闊にじゃがいもに噛みつくと、火傷しかけないので注意しておいた。


 三人ともパンを満喫したが、流石に一つでは満足しなかったので、ペアーチを一個ずつ剥いて食べた。 皿などの準備が無いので、テラスに出て、丸かじりだ。

 ポタポタと垂れ落ちる果汁を、落としながら食らいついた。 手摺に持たれ掛かりながら、川の流れを月明かりで見ている。 忘れていたが、ここには見えない壁は無いはずだ。 襲撃対策をしておくべきだったか・・・?

 ただ、すぐに対策は思いつかなかった。 今夜は一応警戒はしておこう・・・


 「寒くなってきたし、中へ戻ろうか」


 「ベッドいこ~」


 「もう寝るだけよね?」


 「あぁ、明日はエルフの村にも行く予定だから、早めに起きて出発しようね? 紅葉(もみじ)


 「・・・・・・」


 いつも元気な紅葉(もみじ)が反応を示さなかった。。。 ぐぬぬ・・・といった感じだろうか?

 「朝、起こすから頑張って起きてくれよ?」


 「はーい・・・。」


 目に見えて元気をなくしていたが、ベッドに入ると静かになって丸まっていた。

 すぐに寝入ったようで、背中が一定に上下し始めている。

 ・・・キングサイズのベッドだけど、くっ付いて寝る事になるんだろうな・・・


 「アリア、少しだけ外に行ってくるけど、すぐ戻って来るからね。 先寝てて良いよ」


 「すぐ戻って来るなら待ってるわ。 サトシの目じゃ、明かりを消したら見えないでしょ?」


 「あぁ、ありがとな。 行ってくるよ」



 玄関を出て淡い光を頼りに石段を下りて、川へ向かった。

 星の下で服を脱いでムラムラしていた物を解消し、汚れを洗い落としてから服を着てベッドに戻った。


 「おかえり、ほんとに早かったのね」


 「ただいま。 照明ありがとな」


 ベッド脇のスイッチで照明を消すと真っ暗な闇に包まれた。

 俺は、紅葉(もみじ)とアリアの間に寝転がっている。 紅葉(もみじ)はぐっすり眠っているようだ。 出る前と変わらず、丸まったままだった。

 俺も寝ようと目を閉じると、アリアが手を握ってきた。


 「・・・どうかしたか?」


 「言ってくれれば一人でしなくても良かったわよ・・・?」


 「今言うなよ。。。それに十分してもらってたよ。 俺が変に(たぎ)っちゃっただけだよ」


 「ふふっ 困った時は言えばいいわ」


 嬉しいんだが、何か複雑な気持ちだった。

 「露天風呂で恥ずかしがっていた、アリアの言葉とは思えないよ・・・」


 「そう? 私も変になってるのかしらね。 もう寝るわね・・・」


 アリアは俺の腕に抱きついて、そのまま寝るようだった。

 「おやすみ、アリア」


 紅葉(もみじ)の作ったベッドは、俺のベッドと同じようなクッション性で気持ち良い。

 生活拠点をこっちにほんと移したいもんだな。

 アリアが抱きついたままだが、賢者タイムの俺の敵では無く、そのまま眠りに落ちた。

 

ついでに、アリア入浴中の差分を作ってみました。

https://28633.mitemin.net/i412295/

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