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1-1.現状把握と不法侵入(0、1日目)

 「はっくしゅんっ! ずずっ・・・」


 秋といえど、流石に深夜は冷えるか。

 星は綺麗だけど呆けていても仕方ないしな。 まずは寝て、朝になってからまた考えよう。

 頭の中で現状把握仕切れておらず、正直まだ混乱している。

 だって考えてもみてくれ、ラノベで良くある異世界物のパターンそのまんまじゃね?


 ベッドで横になってはみたものの、正直このまま寝れる気はしない。

 寝れないなら、寝れないなりに考えるだけ考えて眠くなったら寝るで良いか。

 目を閉じたままで、今分かってる事やこれから考えるべきことを整理しよう。


 ①大地震が起きた。

   ・本当に地震か? ⇒ 緊急地震速報も出たし、地震で間違いないだろう。

   ・家族は無事か? ⇒ それどころじゃない、今は自分の事に集中するべき。


 ②玄関から見た限り森に囲まれていた。

   ・なぜ森に囲まれた? ⇒ 草木の超スピード成長 (ないない・・・)

                地殻変動で家が移動 (家無傷は無いだろ)

                家が瞬間移動 (出来たら大発明だなw)

                結論! 分からん!

   ・ここはどこだ?   ⇒ 不明、ネットで要調査(使えるのか?)


 ③生きていけるか

   ・24本入り箱買いでスポーツドリンクが残っている ⇒ 水分確保OK

   ・冷蔵庫の中や缶詰、乾麺等が残っている     ⇒ 食料確保OK

   ・火は使えるか?   ⇒ 明日、ガスコンロを要確認

   ・電気は使えるか?  ⇒ 明日確認・・・

                いや、冷蔵庫がヤバイかも


 っと、これはまずいと気づき、ベッドから飛び起きて冷蔵庫を確認したが、やはり電気は停電状態となっていた。 ついでに確認したガスコンロ、更には水道もダメだった。 薄々感じてはいたが、やはり電気も火も水も無いのは厳しいな。


 「はぁ―・・・」


 明日の希望が絶たれたようでため息が漏れてしまったが、やれる事をやって生き延びるしかないか。 現状貴重ではあるが懐中電灯を用いて手元を照らし、冷凍食品を少しでも守るためにクーラーボックスへまだカチカチに凍った保冷剤と冷凍食品等を隙間無く詰め込んだ。 更に少しでも冷凍状態が維持できるように願いをこめて布団で包んでおいた。


 布団の無くなったベッドで改めて横になり、さっきの続きを考え始めた。 というか、眠気また吹き飛んじゃったよ・・・。


 ④帰還方法

   ・情報無し。 ⇒ 要調査だが、大変そうだ・・・一旦忘れよう。

   ・果報は寝て待て。 ⇒ これだっ!


 そもそも夢の出来事でしたって可能性もまだありえるだろうし、果報は寝て待て作戦で行くかぁ。

 目を閉じると、先の出来事が本当に現実なのか分からなくなってくる。 夢だと言われた方が何百倍も納得できるというものだ。

 考えるのを止め、枕に顔を埋めて一呼吸。 汗臭さが漂う自分の枕は昨日と変わりない。 今は寝て明日朝考える事に決めた。


 「ふわぁ~・・・」


 やっと眠気が出てきたようだ。 布団は無いが寒くも無く、柔らかなベッドに包まれあくびを漏らした。 そして眠りが訪れた。


 ・・・・・・



 「・・・。 ん・・・」


 体内時計は正常なようだ。 小さい頃から6時に起きる習慣があった為、どうしても目が覚めてしまう。 流石に休日は2度寝するし、夜更かしすれば起きれない事もあるが今朝は起きる事が出来た。 目覚ましが鳴る前にベッドから起き上がり、身支度を済ませようと洗面所に向かった。


 「・・・。 水が出ないんですけど・・・」


 昨日あれほど色々と考えてたじゃないか!? しかし、水が出無い事を確認していたのに忘れていた・・・。 痴呆か寝ぼけかはこの際置いといて、身支度どうしよう。


 ピピピピッ

 目覚まし時計が鳴り響き、6時を告げていたのですかさず止めに入った。


 「身支度どうするかな・・・」

 悲しい事に、俺は1日頭を洗わないだけでベタベタになるような油性頭皮だ。 頭を洗わずに外に出るのは何か嫌だが、そんな事を言ってられないのも事実なので帽子をかぶる事を対策としよう。


 「朝・・・は来たんだな」


 部屋のロールカーテンから光が漏れており、もし日が出なかったらどうしようかと思っていたが安堵していた。


 ロールカーテンを巻き取ると、部屋に日差しが入って明るくなっていく。

 部屋が明るくなる当たり前の事が、昨夜は停電だった事によって暗闇生活を強いられていたので、陽の有難味が身に染みていくようだ。


 「あ― 灰になっちゃう~、って何言ってんだか」


 本当に何言ってるんだ俺は・・・。 染みる日差しから吸血鬼ネタをつい漏らしてしまった自分にセルフツッコミをして、発した言葉に後悔していた。


 「あっ! そう言えばスマホ使えるかな?」


 ベッドで充電しっぱなしのスマホを慌てて確認しに行ったが、電池残量が90%で電波はWi-Fiも4Gも不通だった。 スマホは電源OFFにしてベッドに戻しておく事にした。


 まぁ気を取り直して、周囲の調査と行きますか!

 自分の置かれた状況は最悪ではあるが、仕事に行く必要が無く(というか行けない)仕事先へ連絡する事も出来ない、生活基盤が怪しい状態ではあるが住む家があるだけ何だか気落ちしておらず、仕事が無い事への開放感が勝っていた。


 「俺は自由だ!」


 右拳を握り締め、高らかと頭上へ突き上げた。 特に意味は無いが。


 下はストレッチデニム,上は長袖のTシャツとパーカーで帽子をかぶり、一応トレッキングシューズを履いてバックパックにはタオルとスポーツドリンク500cc2本と非常用の携帯食料のチョコ味等を入れて玄関に向かう。


 玄関を出て最も最初に確認するべき事を済ませておこう。

 家は1棟4部屋のアパートだ。 俺以外の3部屋も全て入居者がいるので、家があるくらいだから他の入居者も同様だろうと、時々会話もしている女性宅の呼び鈴を鳴らしてみた。


 「・・・」


 そうだった! 停電してるから呼び鈴も鳴らないじゃん・・・。 またも電気が無い事を失念していた。 現代生活はほんとに電気ありきの生活なんだなとしみじみ感じてしまった。


 「すみませーん、隣の結城ですが少々宜しいでしょうか」


 仕方なく声を掛け、軽く玄関扉をノックしてみた。

 しかし、特に足音や声も聞こえてこない。 そう言えば、いつもなら夜は2階の入居者の足音が聞こえてくるのに昨日はとても静かだった。


 まさか、と思い女性宅の玄関扉の取っ手に手を掛け、開ける暴挙に出てみた。

 (不審者じゃないので許してください)

 扉が開いてしまった。


 「えぇ・・・ 失礼します・・・」


 自分も含めどの入居者も出入りで直ぐに施錠していたはずなのに。

 (施錠音で気づいてるだけだよ!)

 自分に言い聞かせるように不審者じゃないアピールをしておかないとなぜか不安になる。


 女性宅に不法侵入している状態だが、目の前は不可解な事になっていた。


 「もぬけのカラ・・・? そんなバカな」


 俺の部屋は家具も何もかも残っていると思える。 全部調べた訳ではないが、大地震前と変化無いように感じていたのに。

 そこは家具が一切無く、まさに引っ越ししたてのような空間。 声がとても良く反響するそんな状態だ。 唯一残っているのは、靴箱の上に玄関扉の鍵がスペアキーも含めて5つ置いてあった。


 女性宅だったはずの部屋を名残惜しい事もやましい事も何も無く出て、他2宅も確認しに行ったが同様にもぬけのカラだった。


 「俺だけ、俺の部屋だけ・・・ でも、アパートごと・・・」


 あまりに不可解だ。 突然の森も変だが、俺と俺の部屋と共にアパートのみだなんて。 エロゲでよくあるご都合主義とかってレベルじゃねーぞこれは・・・。


 考えても仕方ないので、アパート周辺を確認してみる事にした。


 黒い屋根,茶色いレンガ風タイルの外装,白と黒で色分けされた1階と2階の玄関扉は何も変わっていない。 裏に回るとベランダから行ける庭があり、そこも何も変化が無い。 俺の作ったウッドデッキ等々がある程度だ。

 自慢じゃないが(自慢ですね)俺は1人で3m×2mのウッドデッキを作った。 カフェ風の茶白ストライプ柄のオーニングテントも取り付けてある。 柱を立てるのが本当に大変で、柱を立てた翌日は筋肉痛が酷くて寝込みたくなる状況だったなと楽しい思い出に浸っていた。


 ちょくちょく現実逃避してしまっていたが、起きている問題と現実に向き合わなきゃな。


 駐車場が無くなり俺の車も無くなった。 車の中のフィギュアも無くなっているが、所詮同じものが家のガラス棚にあるので大きな問題ではない。 そして共同のガスタンクも無くなっている。 家は悲しきかな未だにプロパンガスを使用している。 都市ガスが良いなとは思うが、それ以上に間取りや立地の方が優先度が高かったのだ。 プロパンガスは災害時の復旧が簡単で早いとは思うが、ガスタンクそのものが無くなったらどうしようもないわな。 しかし、なぜかガスタンク横の駐輪場は残っており、俺の自転車も同様に残っていた。 そこでも俺以外の入居者の自転車は残って無いという不思議状態。


 ここまでで一度状況把握しておくか。


 ある物

   ・俺の部屋や家具等

   ・1階の庭

   ・1棟4部屋のアパート

   ・駐輪場と俺の自転車


 ない物

   ・駐車場及び車

   ・俺の部屋以外の3室の入居者及びその持ち物

   ・共同プロパンガスタンク


 ある意味、1棟全てが俺の物になったみたいな感じはあるな。 これはこれでワクワクする。 

 最悪な状況ではあるが、それはそれとして諦めの境地の中で今をどう楽しく過ごすかを考える事とした。


 ぎゅるる~・・・ぐー


 「腹減ったな」


 もうすぐ12時だろうか? 朝ごはんを食べていないし、そう言えば何も飲んでいないな。 貴重ではあるがスポーツドリンクと携帯食料食べておくか。


 もぐもぐ・・・ごくっ・・・


 「足りないわなぁこれじゃ・・・」


 元々俺はそこそこ食べる方なのだ。 大食いと言う程ではないが2人前出されるなら食べたいくらいな感じである。 下手に食べると逆におなか空いちゃって我慢できなくなるパターンを懸念し、我慢できる限り食事は減らしていくか。


 今はまだ良い、だがこれからの事を考えると食料と特に水は問題となる。 スポーツドリンクは後23本しかない。 夏のような暑さでは無いので大量に必要ではないだろうが、森の探索は今後必須だろう。 


 午後からは森に入ろう。

 俺はアパートの日陰に座り込み、一休みして午後への英気を養うことにした。

注文水槽が届くの遅いなと思っていたら、今朝届いてしまいました。

水槽立ち上げてから、3話書いていたのでもう眠いです・・・明日は休日出勤か。。。

異世界行きたいですorz

おやすみなさい。

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