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7-4.深夜の出来事(7日目)

昨日投稿した17話にも追記してありますので、そっちから読み直す事をおススメします。

というか、昨日中途半端に投稿してすみませんorz

 再びベッドから身を起こし布団を出た。 洗面台に向かう途中、ポリタンクで足の小指を打って痛みに屈んだが、好都合とばかりにポリタンクを持っていき、手探りで洗面器に水を注ぎ顔を洗った。


 冷たい・・・だが、目は覚めた。


 改めてベッドへ戻ると、どうしたの?と聞かれた。

 ここには、俺と紅葉(もみじ)しか見当たらない。

 ベッドには割れた卵から発せられた青白い光によって、紅葉(もみじ)が見える。 口が開き、どうしたの?と声を発しているのが見えた。 どう見ても幻とは思えなかった。


 冷たい水で顔を洗って十分目は覚めていると思われる。 何より、足の小指をぶつけて痛みで涙目にすらなった。 夢では無さそうだ・・・。


 「改めて・・・確認するが、紅葉(もみじ)が喋ってるんだよな・・・?」


 「そうだよ♪ やっと分かってくれた? すごいでしょ!」


 尻尾をぶんぶんと振って、目も三日月状になっていて表情からすら嬉しそうなのが分かった。 流暢な日本語を話している。 間違い無いと流石に理解した。


 「どうして急に喋れるようになったか分かるか・・・?」


 「何か卵から出てきて私に当たったの。 そしたら喋れたんだよ!」


 何が何だか分からん・・・。 いくつか質問して、統合するとこんな感じだったようだ。

 

 --------------------------------------------------------------------

 昼間寝すぎて中々寝付けないまま、卵を温め続けていたら卵から発せられていた光が急に強くなった。 驚いて俺の胸の上に卵を残したまま飛び退いたら、卵の光だけが布団をすり抜けて丸い光となって浮かんでいた。 俺を起こそうと、近づいたら謎の光の玉は紅葉(もみじ)に向かってきて避ける間もなく光に包まれてしまったそうだ。


 強い光によって目が眩み、「眩しいっ!」と聞いた事の無い声が聞こえて驚いたが強い光や止んだ後、恐る恐る確認してみると自分の声だった事に気づいたとのこと。


 今まで考えても表現できなかった事が声として表現できるようになった事が分かり、嬉しさのあまり俺を揺すり起こした模様。

----------------------------------------------------------------------


 やっぱり理解は出来なかった。

 事実を並べる事は出来たが、意味不明である。 そもそも声帯は・・・

 考えても無駄だろうと今までの事を思い出し、全て受け入れる事にした。


 紅葉(もみじ)は表情に関しては気づいておらず、懐中電灯を持って鏡の前に立つ事で気づかせる事が出来た。

 元々賢いとは思っていたが、本当に思考していた事に驚いた。 声を発し、表情まで獲得しており一人の女の子として扱うべきだと分かった。


 そうそう、重要なことだったが紅葉(もみじ)(メス)だったようだ。

 より可愛く見えてくる。 実の子供ではないが父性に目覚めそうである。


 そして、この世界に来てから初の会話である。

 独り身が長かったので、会話は少ない方だったが1週間全く会話が無いと言う経験は初めてだった。 流石に寂しかったのだなと、紅葉(もみじ)とのただの一言交わすだけでも嬉しかった。

 

 紅葉(もみじ)はさっきから、サトシ、サトシ!と胸に顔を擦り付けている。

 俺達は色々と落ち着いたので、再び寝る事にしたのだ。 今はベッドで横になり、布団の中でワイワイしている。


 「紅葉(もみじ)はほんと可愛いなぁ」


 何度も言っている言葉ではあったが、えへへ・・・と嬉しそうな表情と若干赤くなった頬、そして恥ずかしそうな仕草や声が・・・

 (可愛すぎるだろ! 俺を萌え殺す気かっ!?)

 何だか今まで以上に甘えてくるし、俺の胸の上という今までの定位置から左肩から首元にかけて伸びをするように寝転がっている。 さっきからくすぐったいが、それ以上に楽しく嬉しいので良しとする。


 「それじゃ、俺はやっぱり疲れてて眠いから寝るね。 おやすみ、紅葉(もみじ)


 「うん! おやすみなさい」


 紅葉(もみじ)の背中を撫でながら、おやすみと返された言葉で心が温かくなるのを感じた。

 今日は大きな変化があった。

 これからの生活は、きっともっと楽しい物になる。 朝が来るのがワクワクする。

 ワクワクから興奮もしていたが、身体疲労からくる眠気には勝てず俺は眠りに着いた。


 暗い部屋の中、幸せそうに1人の男と1匹の狐が眠りについている。

 ベッドの隅には、砕けた卵の破片が淡く明滅し続けていた。

おやすみぃーん、みん

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