プロローグ
私の名前は早川千草、21歳の社会人。出社時にはいつも早く自宅を出ている。仕事での実績は良く、上司からは男女問わず気に入られている。自分でもそう思えるほど私は努力してきた。そんな私にも欠点がある。それは
「グフッ......。」
歩いていた先にマンホールがあり落ちてしまった。蓋が何故か開いていた。スーツは何とか汚れずに済んだが、精神的にはもう帰って引きこもりたいぐらいのダメージだ。
『不運』それが私の欠点。不注意で起きているだけで運が悪いわけではないのではないかと認めたくない時期があった。しかし、注意して行動していても必ず何かが起きてしまう。社会人になってからほぼ毎日不運な事故にあう。1日無事に過ごせる日は奇跡だと思えるほどだ。
「家に居ればこんな目にあわないんだけどなぁ...。」
自宅にいるときだけは不運なことはなくなる。休日は家から出ない、というか会社も休んで家に居たい。それでも私は1日たりとも休まずに出社する。
「おはよう」
私の肩を軽く叩き、挨拶を交わすこの男性は坂倉真斗、25歳で私の先輩である。
「おはようございます、坂倉先輩」
坂倉先輩は私にとってただの先輩ではない、私の想い人だ。