跳躍のキス
「ねぇねぇ」
2つ下の後輩が話しかけてくる。
無視。
「ねぇってば〜」
袖をクイクイと引っ張ってくる。
無視。
「先輩〜」
背後から抱きついてきた。
無視。
「ガブガブ」
俺の指を噛んでくる。
無視。
「チュー♡」
キスしようとしてくる。
ちょい。
「こら」
ぺしと頭を叩く。
「ぁ痛いぃぃ。何すんのさ! 」
「こっちのセリフだ。バカ」
2度目のぺし。
「ぺ…ぺしったね……2度もぺしった。
親にもぺしられたことないのに!」
3度目のぺし。
「ちょ(//・_・//)カァ~ッ…」
4度目のぺし。
「……(〃ω〃)」
5度目のぺし。
「……んっ(〃ω〃)」
6度目はしない。
「……………(๑•﹏•๑*)ドキドキ」
しないよ。
「……………(๑•﹏•๑*)ドキドキ」
「いや、ごめん。もうしないから」
「えっ……。も、もうしない…の?」
「いや、お前は何で世界が終わった みたいな顔してんだよ」
「あ…いや、……別に」
再び静寂が訪れる。
「ねぇ」
「だから何?」
「……キスしたい」
子供のクセにませやがって。
「すれば?」
「いや…あの……だから……せ、先輩と…したいん…ですけど」
「嫌だよ」
「なんでですか!?」
いや、なんでですか?
「いや、何でって」
「学校一の美少女がキスしたいって言ってるんですよ? 普通は2秒でかぶりつきますよ!? 当然の範囲内でしょうが!! 」
逆ギレ!?
「学校一の美少女ごときが学年一のイケメンにキスなんて出来ると思うなよ」
「いや、それ桁下がってます」
1度ボケただけでテンションが下がる。これだから気分屋は──。
「じゃあジャンプして口まで届いたらいいよ」
「え、いいんですか? 」
「嫌ならいいぞ」
「します。100回します! 」
流石に100回はご遠慮願います。
2人で立ち上がる。
片や155cm~160cm。
片や175cm~180cm。
「ふっ、20cmくらい軽く跳んでみせますよ」
「寝言は寝てから言うんだな」
「行きますよ〜。とりゃあ!」
「ぐふっ」
顎に一発くらった。
「わわわ、ご…ごめんなさい」
こ、こいつ。殺す!
「あ、あの……ごめんなさい」
涙ぐんでいる。反省してんのかね。
「ったく。次はもうちょっと優しくな」
パァーっと明るい表情になる。
「はいっ! 」
2回戦開始。
「とりゃ」
跳躍が足りず甘い香りを放つ髪の毛がふわっと鼻をかすめる。
「あいゃ」
次は近づきすぎで、まだ大きくなるであろう胸がぷにっと当たる。
「ほいゃ」
惜しいところで止まりハァハァという吐息がかかる。
「うりゃ」
・・・・・・。
「えいゃ」
・・・・・・。
「とリっっっん∑(//°o°//)」
あ、やべ。キスしちった。
「んふっっ////」
あーもう駄目だこりゃ。収まんね。
「んふぅっっ(///>_>///)」
このまま、ベッドに押し倒す。
「んっ/// ひょっとまっれ///」
構わずキスし続ける。
「んんっっっ(///>_>///)」
5分後。
唇を離すと2人の唾液がたらんと垂れる。
「ふぅー、ごちそうさん」
「はひっ!」
緊張してる。やり過ぎたかね。
「可愛かったぞ」
頭を撫でる。なでなで。
「んっ(〃_〃)」
少女は顔を赤らめた。