不死身のごみ溜め
俺の右目が掃除ロボットに吸われた。
ここは、法も秩序もないいわば無法地帯だ。
そこで俺はバラバラに切り刻まれ殺された。
犯人は誰だかわからない。おそらくは近頃無法地帯で話題となっている連続バラバラ殺人犯だろう。
俺はいきなり後ろから殴られ気絶させられた。いくら不死身の体であっても気絶はする。
今度は俺の左目が掃除ロボットに吸われた。
掃除ロボットは、誰も掃除をしようとしないこの無法地帯を掃除する唯一のものであった。
こんな無法地帯に進んで掃除をしにくる人間などいない。
ロボットたちが吸ったものは一つのゴミ捨て場に集められるのだ。
この機能を使って犯人は連続殺人の証拠をもみ消しているのだろう。
俺の目を吸ったロボットはある程度ゴミを集めたらしくゴミ捨て場へ向かった。
ゴミ捨て場に到着するとロボットはごみ溜めに俺の目もろとも放る。
他のロボットも同じようにゴミを捨てているのが目に入った。おそらくあちこちに俺の体の一部があるのだろう。
ゴミ溜めに落ちるとベルトコンベアーによって前へ進み始めた。
そして、目の前にローラーがあるのに気付く。ここで、ゴミを潰すのだろう。
俺の目は潰された。視界がブラックアウトする。
目が復活した。身体も次々にくっ付いていき段々と身体の感覚も元に戻っていく。
そして、体が完成した。右、左と手足がちゃんと動くかを確認する。
「よお。アンタもここにきたのか」
いきなり話しかけられ驚く。こんな所に人がいるのか。
「お前もバラバラにされてここに来たクチか。おっと、歩かねえと焼却炉に真っ逆さまだぜ」
後ろを見ると焼却炉が赤々と燃え上がっている。ベルトコンベアーはそちらに向け流れていた。
ここにいては焼却炉で燃やされてしまう。俺はコンベアーを逆走し始めた。
そこには、何人もの人間が同じように歩いていた。その先頭には巨大な刃が上下に動いている。あそこを通ろうとすれば切り刻まれて此方に流されるに違いない。
「ようこそ新入り。ここは不死身のごみ溜めだ」
まずはお読みいただきありがとうございました。
無法地帯で閑散とした街並みにハイテクなお掃除ロボットが闊歩するそんな世界を書きたいと思いこの作品を書きました。
実際は、そんなに世界観が関係ない気もしますが…
不死身でも突破できない仕掛けはあるものです。