フェアルの森へ
「うーん、勢いで出てきちゃったけど、何処に行けばいいんだろう?」
『フェアルの森はどうでしょう?』
「まぁ行く所もないしそうしようかな?って、だからあんた誰よ」
いつの間にか出てきていた精霊。
『申し遅れました。わたくし、その剣にはめ込まれているサファイアの精霊。「ソフィー」といいます』
ソフィーは、着ているワンピース(?)のすそを持ち上げ小さくお辞儀をする。
「私はミナ」
自分も自己紹介をしておく。
『そうと決まれば、善は急げです!』
ソフィーが、さきさき行くと、
「おっと、」
剣がソフィーの居る方に引っ張られた。
「いくから、待って!」
『あ、すみません』
剣が止まる。
「首絞まるって」
歩きながら言う。
『えーっと、そのヘアピン素敵ですね』
なんとか取り繕おうと話題を変えるソフィー。
「ん?これ?」
カリクに渡されたヘアピンを触る。黄色い星がついている。
「いいでしょ。私の友達にもらったの」
『そうなんですか、良いお友達ですね』
「でも、ギランが来て、私は飛び出した。それからどうなったのかは分からない」
『そういえば、この旅の目的は?』
「え?目的?」
『目的が無いわけじゃないでしょう?』
「あるにきまってるじゃない!私の幼馴染ユウを助ける旅よ!」
『ユウさんですか・・・』
「?」
『なんでもないですよ。早く行きましょう!』
その後もソフィーと喋りながらフェアルの森を目指した。
フェアルの森入り口付近。
「ん?あの建物何?」
『あ、あれは女神の神殿』
「女神の神殿?」
『女神様が立てた神殿です』
「ふーん」
グーグギュルルルー
「あ、ごめん」
ミナのおなかがなった。
「朝どたばたしてたからなぁ」
『この辺りの果物を食べたらどうですか?この辺りの果物は美味しいですよ』
「食べたことあるの?」
『いえ。分析の結果ですよ』
「え?分析とかできるの!?」
『あたりまえです』
自慢のように胸をはり、言うソフィー。いや、あたりまえじゃないから。
「んじゃ、いただきますっと」
近くにあった果物を一つとり、食べる。
「おいしい」
おなかがいっぱいになるまで食べた。
「ふぅ、おいしかった」
『食べすぎじゃないですか?どこにはいってるんですかあの果物』
こ、こしょばい
「おなかをつつくな」
『すいません』
私達は、女神の神殿に入った。
「こんにちはー」
恐る恐る声をかける。
「こんばんは。ですよ女神様」
入った瞬間に声をかけられた。
「!!」
『お久しぶりです。マダム・ルーカス。月が綺麗な晩ですね』
「そうね。ソフィー。本当に月が綺麗だわ。して、あなたは?」
「え?私はミナです」
ミナはさっきのソフィーとマダム・ルーカスの会話に疑問を覚えた。
(ソフィー、今昼だけど?)
《ここは、夜ですよ。上を見てください》
言われたとおりに上を見る。
「うわぁ」
上には、月が綺麗で宝石箱をひっくり返したがごとく星が大量に瞬く夜空が広がっていた。
『ここは、ずっと夜なんです』
「そう、ここは夜で、それが私に与えられた罰」
「罰・・・」
静かに繰り返す。
「で、こちらには何の用ですか?」
『マダム・ルーカス旅に必要なものがあればいただきたいのですが』
「盾が、それではダメですね」
よく見れば、ルーカスはめを閉じている。
「マシな物を持ってきましょう。待っていて」
ルーカスは奥の部屋(?)にはいっていった。
「木の盾じゃ、だめなの?」
『フェアルの森の探索ぐらいは大丈夫でしょうが、カザルム山は無理でしょう』
「ふーん」
これ、愛着あるのになぁ。
「これはいかがですか」
カルミナの模様が入った盾だった。
「すごい。綺麗にカルミナ様の模様が入ってる。しかも細かく」
ミナはとても気に入った。
「これ、もらっていいんですか?」
「どうぞ」
ルーカスはにっこり微笑む。
「ありがとうございます」
ミナは早速装備する。軽い。
「軽いですけど、大丈夫なんですか?」
ルーカスはまたにっこり微笑むと
「いいえ」
と言った。
『「えぇ!!』」
ソフィーと声が重なった。
「耐久力が無いってだけです」
「いや、それダメじゃないですか!」
「自然回復してくれますよ」
「自然回復?傷が言っても大分したら直るってことですか?」
「そうですよ。ですが、さっきも行ったとおり耐久力が無いので、一度に大きい傷を負うと壊れてしまいますので。そこは注意して使ってください」
「はーい!じゃ行きますか」
『はい!』
ミナがソフィーに声をかけていこうとする。
「お気をつけて」
ルーカスの声を背に受け、ミナは女神の神殿を出た。