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ミナの冒険  作者: おおさんしょう魚
第五章打倒魔王
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旅の終わり

 神殿の中に入るとマルクとルーカスが居た。

「ミナ!大丈夫か!?」

 マルクはミナに駆け寄って聞いた。

「大丈夫」

 深くうなずいて見せた。

「なら、いいが・・。なんかあったら言えよ?」

「だいじょうぶだって」

 手をひらひら振る。

「マダム・ルーカス。魔王は倒しました。これで私達の役目は終わりですね?」

「えぇ。ここまでありがとうございました。心から礼を言わせていただきます」

「いえ、それが当然のことですから。それよりも私宛に何か届いていますか?」

「はい。きっとアレのことでしょう。地獄耳ですから聞きつけるのはかなり早いですわね」

「そうですね。ですが、これはあの人の計画のうちでしょう?あなたが居るのだから」

「えぇ。そうでしょうね」

 ルーカスとミナで何か話している。

「では、私達はこれで」

「本当にありがとうございました」

 神殿を出るとミナが提案した。

「とりあえず、騎士学校に戻ろうか」

「あ!俺仮免だから旅はこれでおわりかぁ」

「残念。でも戻るのはいい案だな。いこうぜ。ユウもいいよな?」

「あぁ」

 四人で騎士学校へ向かった。



 早朝。

「ハナマさん!」

 頬まで土で汚したミナが水やり宙のハナマに手を振る。

「ミナ!」

「ただいまです」

「お帰り。もう帰ってこないかと思ったよ」

「ちゃんと帰ってきますよ。私の第二の故郷ですから」

「よかった。カリクたちもお帰り。後ろの人は・・・確かユウだったかな?」

「え?ユウを知ってるのか?」

「あぁ、ミナの行方を捜してるって聞きに来たよ」

「あの時はありがとうございました」

 ユウはぺこりと頭を下げる。

「まぁ、会えたんだね良かったよ。そうだ、今夜はパーティー開いてやろうか?無事に帰ってきた祝いにさ」

「えぇ!おねがいします!」

 ミナが喜んでねがう。

 その後、サテラやダルマン、騎士学校の面々やお世話になっていた人たちに帰ってきた挨拶をしていった。挨拶を終えると一度解散した。ユウは客間で泊まるらしい。

「私の部屋・・・。久しぶりだなぁ本当に」

 まだ残されていた自分の部屋でくつろぐミナ。

 そのうちにウトウトしてきて眠ってしまったらしい。


 ミナは不思議な夢を見た。

「お父さん?」

 何も無い真っ白な空間に自分と父だけが居た。

「ミナ。よかった。もうお前には俺は必要ないな」

「お父さん・・・」

「いい仲間じゃないか。お前のことを考えてくれていた。たいせつにしなさい」

「ごめんなさい・・。何か方法があったかも知れないのに」

「いや、いいんだよ。確かにあの時俺が殺されなければさまざまな人が被害にあった。俺は死んでよかったんだよ。おっと、長話してしまったな。もう行くよ」

「何処に・・・、いくの?」

「分っているだろう。お前ほど賢い子をもって俺は幸せだよ」

 父親は背を向けて歩いていった。引き止めなければ、そう思ったが、脚も口も動かなかった。

「大丈夫だ。そんなに心配しなくても寂しいなら俺達が居るだろう?」

「え・・・。だれ?」

 顔がぼやけてよく見えない。夢だからか。



「ユウ?」

 ミナはまた涙を流していた。

「おい、起きろ。おい」

 涙でぬれた頬をつついておこす。

「ん・・・。カリク?何で部屋に?てか何の用?」

「サテラさんが呼んでる。かぎかかってなかったぞ」

「わかった。すぐ行く」

 ベッドからはなれ、部屋を出る。

「夢にまで見るほどなんだな」

 ミナが寝言でユウの名前を言った時少し物悲しかった。




 カリクがおこしてくれてから、頬についたよだれのあとをふいて外に出た。

 早く行かないとあのサテラさんが鬼のように・・・。考えるだに恐ろしい。

「あ、ミナ」

 部屋から出るとユウに出会った。

「あれ?客間に居るんじゃなかったの?」

「あ、あぁ」

 すこし悩むように言った。

「まぁいいや。サテラさんに呼ばれてるからいくね」

「あ、あぁ」

 少しだけ悲しそうにユウは言った。

「サテラさん!」

「あぁ、ミナちゃん。やっときたわね」

 にっこり笑顔のサテラさん。

「今夜のパーティーは何着ていくの?」

「え?あ、決めてませんけど・・」

 すこし嫌な予感がした。

「やっぱりね。ほら、こっちにきなさい」

 そこからパーティーが始まるまでサテラさんに振り回された。



 金色の髪を揺らしながら、少女が通路の真ん中を通る。

 真っ白なドレスが良く似合っている。

 少女が通れば老若男女問わず誰しも少女の後ろ姿を目で追ってしまう。

 少女が向かう先は今回のパーティーの主役達。主役三人はこの村の女子に囲まれてとても困り果てている。

「あ、ミナちゃん!」

 普段どおりに戻ったカリクが少女に手を振る。

「カリク!」

 手を振り返し小走りに駆け寄る。

 ところどころで女子達がざわめいた。

(あれ、ミナちゃんよね)

(親しそうに喋ってるし・・・。まさか)

(えー。勝ち目ないよー)

 ヒソヒソ

「そうえばカリクもどったんだ」

「別に警戒する必要もないからな」

「私、あっちの方が好きだけどな」

「んな事言ってもなんもでてこんで」

「ははは」

 カリクたちを取り巻いていた女子達は散らばっていった。

「そうえば、このドレスどうかな?」

「似合ってる、似合ってる」

「綺麗やで」

 マルクとカリクが褒めている影でユウがボソっといった。

「化けたな」

「うっさい!」

 ミナがユウにまわし蹴りを放つ。ユウは軽く避けてこちらもけりを返す。

 すぐに収まるだろうと、カリクたちはほうっておいたのだが。

「てやぁ!」

「おっと!あぶねぇ、な!」

 段々と本格化してきた。

「ちょっとストーップ!ここ、いちおうパーティー会場やから!喧嘩なら外でやってや」

「あぁ、ごめん」

「すまん」

 その後、四人で少し話をすると

「ま、あとでね」

とミナはカリクたちと別れてハナマやサテラの居る所へ行った。

 行く途中で男子に取り巻かれた。

「邪魔」

 その一言で男子はいっせいに散らばった。

「やっぱすげぇなぁミナちゃんは」

「一言で相手を黙らすことができるのは俺が知る限りではミナとハナマさんぐらいだな」

「あの人もできんのか」

 フォークを口に入れて言う。一応立食パーティーだ。

「食べ始めるの早いな」

「うまいぞ」

「知ってる」

 暫く四人とも自由にしていた。

 


 日は暮れ落ちて、星がきらめく頃。ミナは庭のベンチに腰掛けていた。

 一人で空を見上げていた。どこか悲しそうな表情で。

「よ!外にいて寒くないのか?」

「カリク」

 ミナは首だけ振り返って見知った顔を見つける。

「横、座るぞ」

カリクはミナの返事も待たず座る。

 ミナの金色の髪の毛が月光に照らされ輝く。とても、綺麗だった。

 カルミナについての伝説は数多い。

 一つはあの御伽噺。あれは真実だ。

 二つ目は、神々でカルミナが一番美しかったという伝説。聞いたときには半信半疑だったが、いま、ミナを見てこの伝説が真実なのだと思った。

「うん」

「どうした?元気が無いけど?」

「もうすぐ・・・お別れだから」

「確かに、ミナ明日には向こうに帰るんだもんな」

「そういうことじゃない。もう二度と会えないかもしれない」

「え?」

「見ての通りだよ。私はもうすぐ消える」

 ミナのほうを向く。髪が輝いて見えたのは月光に照らされているから、というわけではなかった。

「・・・!」

 カリクは息を呑む。ミナ自信が淡く光っている。

「どうしたんだ?」

「私は罪を犯したから。その罰を受けなければならないの」

「罪って・・」

「・・・」

 大体察しがつく。

「なんで、俺なんだ?ユウに・・・」

「カリクだったら、泣かないで済むかなって」

「ないてるじゃねぇか」

 ミナの頬を涙が伝う。

「あ・・・。やだな。泣いてる所なんて見られたくなかったのに・・・。

ユウ、そこにいるんでしょ?」

 ミナは立ち上がって自分の近くにあった木に寄りかかる。

「出てこなくていいよ。そこにいて。泣いてる所なんてユウにだけは絶対に見られたくない」

 ミナの寄りかかる木が揺れた。

「二人とも、泣かないでね。特にカリクあなたはいつも明るく居るのがあなたの良さなんでしょ?」

 ミナを包む光はいっそう強くなった。

「ごめんね。ありがとう」

 目を開けていられないほどに光が強くなる。

 思わず目を閉じる。開いた時には、もう居なかった。

 カリクとユウ。静かに涙を流す二人に優しい月光が降り注いだ。



 翌日

「ミナちゃんの荷物まとめないとね」

「サテラさん。なんで俺がてつだっとん?」

「男手が欲しかったから」

「はぁ・・・」

 カリクとサテラでミナの荷物をまとめていた。

 ユウにスカイタウンに持って帰ってもらうためだ。

「引き出しのなかは?」

 カリクが引き出しを開ける。まだ色々なものがしまってあった。

「あ・・・。これは・・・」

 カリクが見つけたのは、ミナとミナの本当のお母さんが写った写真。

「これは、あいつにわたさねぇとな」

 カリクは微笑んで、自分の服のポケットにその写真をしまった。

「そっちはおわったー?」

「もう少しです。あ、これ。ユウに手紙?渡しとかんと」



「ユウー!これミナちゃんの荷物ー!」

「あぁ、サンキュ」

「あと、これ。荷物まとめとったら出てきた」

「?手紙?」



ユウへ。

この手紙を自分で渡せなくてごめんね。

一緒に入れてある手紙をお母さんに渡してくれる?私自身では渡せないから・・・。



最後にもう一度「ごめんなさい」




 手紙を読み終えると、ユウは俯いた。

「・・・・・とりあえず、俺は戻るよ。この手紙を届けないといけないから・・・」

 広場で指笛を吹く。青い鳥が舞い降りる。

「じゃあな。また会えたら・・・」

「じゃあな」

「またな」

 青い鳥は飛び立つ。

「さっきユウと何の話してたんだ?それに、ミナつれずに帰ったけど・・・」

「・・・」

 答えずに背を向けて寮に戻る。

 涙が出てしまいそうだったから。

 何も知らないマルクがうらやましかった。けれどきっと、マルクがこの事実を知ったとき一番ショックなんだろう。




「ユウ!」

 スカイタウンに降り立って一番初めに駆け寄ったのは俺の父親だった。

「ただいま。父さん」

「お帰り。よく無事に戻ってきてくれた」

 俺を抱きしめる。

「ミナは?」

 後ろから声がかかる。

「これを、預かってきました」

 ミナの母親に手紙を渡す。



お義母さんへ

急に居なくなって二度と帰ってこなくなった娘を許してください。

私は、女神の生まれ変わりというとても最悪な女の子でした。

女神の生まれ変わりだから、私の人生は最悪でした。

だけど、最悪な人生の中にも幸せはありました。

それはお義母さんに育てられたたことです。

お義母さん。「ありがとう」と「ごめんなさい」

私やお父さんの分まで幸せで居てね。


追伸

一緒に入れてある手紙をお母さんとお父さんに供えておいてください

                           

                            ミナ



「ミナ…ミナ…どうして…ミナ………」

 嗚咽しながらその場にうずくまる。手紙を大切にだきしめて。

 この世から消えた人を甦らすことは何にもできない。

 出来るとしたら、ハッピークローバーだけだろう。

 だが、そのハッピークローバーもあの日から精霊と共にどこへいったのやら…

 だけど、ソフィーとイアンは俺たちを見守ってくれているだろう。

 この、スカイタウンの精霊なのだから。





『この、女神カルミナの御伽噺は今、終わりを迎えました。

ですが、物語は終わりません。紡ぐ者がいる限り。紡がれる者がいる限り。

また、新たな物語が始まる……

全てが無くならない限り』

はい!これでミナの冒険は終わりとさせていただきます。

ここまで読んでくださりありがとうございます!

他のシリーズやこれからの作品もよろしくお願いします!

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