悲しい選択
「ん・・・」
目を覚ますと、見慣れた神殿の中だった。周りを見渡すと、
「カリク!マルク!」
二人が倒れていた。傷ついてソフィーとメアルがきずを一生懸命癒している。
「どうしたの!?その傷!」
二人に駆け寄り聞いた。
「ミナ・・、逃げろ・・」
「は?私はもう二度と仲間に背を向けたりしない!何があったの?いいなさい!」
叫ぶように責めたてるように聞いた。
「魔王が・・・、復活・・した・・」
「え・・・。うそ・・・でしょ」
頬をつめたいものが伝っていくのを感じた。
じゃあ、間に合わなかったの?私のやったことは意味が無かったの?
ダァン!
神殿の扉を破って入ってきたのは
「ユウ・・・」
傷だらけで、見ていられない。
私はすっくと立ち上がる。
「ミナ・・・?」
「ねぇ、私は今からあなた達が幻滅するようなことをする。それでも、仲間で居てくれる?友達でいてくれる?」
「あぁ」
「当たり前だ」
ユウも黙ってうなずいた。
私は泣き笑いをして「ありがとう」と小さく呟くと外に出た。
「ミナ!待て!」
ユウの制止を無視し、神殿を後にした。
「ミナ・・・」
ミナが神殿を出てからユウは嫌なよかんしかしなかった。
「ギャーーーーー!!」
魔王の叫び声。何事かと精一杯の力を使い外に出る。幸いにもすぐ近くで戦っていた。
いや、いじめていた。
こんなに一方的な戦い初めてみる。
「まだ、くたばらないでよ?お前には史上最高の苦しみを与えてから殺すんだから」
地獄絵図。
それは言い過ぎかもしれない。だが、それほどまでに酷い図だった。
「ひっ」
「なにおびえてるわけ?ばっかじゃない?」
「ぐはっ」
ヒーローが悪役をやっつけているシーンなどではなかった。
悪役がヒーローをやっつけているようなシーンだった。
「ミナ・・・・」
今まで見たこと無いほどに悪役の笑みを見せて魔王をボコボコにしているミナの姿。
『私、何でミナさんがカルミナさまの生まれ変わりになったのか分った気がします』
「どういうことだ?」
『ミナさんとカルミナ様は似すぎているんです。同じなほどに。
敵には容赦なく、仲間を傷つけられれば誰であろうと倒す。その冷酷さが』
ミナを見据えて言った。
「だから、逃げるなって。怯える必要性も無いよね。おまえ自身がしたことなんだから。それに、俺の仲間を傷つけてただで済むと思ってたの?ばっかじゃない?
ま、それだけの知能しかなかったて事か。もういい。死になよ」
魔王に剣を振りかざす。振り下ろそうとした時にピタリとその動きが止まった。
「何のつもり?それ」
魔王をかばうようにユウがミナと魔王の間に居た。
「さぁな。ただ、トドメをさせばお前がミナで無くなるような気がしたからな」
「へぇ、面白い事いうじゃん。じゃあ、それが誰かわかる?」
魔王を指差し言った。
「え?魔王だろ?」
「ちがうよ。お父さん」
有り得ないことを言った。
「は?おじさんは」
「行方不明になっただけ。一目見て分った」
「そんな事ありえない!」
「じゃあ、考えてみなよ。人の体が何千年ももつと思う?封印されてて」
「じゃ、魔王は」
「人の体をストックさせてたんじゃないかな。自分がこの世でも動けるように」
「それならなおさら!」
「それでも、敵は敵なんだよ。敵になればそれまで。ユウもコイツに殺されかけたんだよ?
いま殺しておかなければさらにさまざまな人が被害にあうだろうね。
俺が、殺さなければ。ユウが俺の親父だからって殺させなかったら、いつかはスカイタウンの人々も、この大地に居る人々も。みんな皆殺しになるかもしれないよ。
今の一時の感情で、ただの私情で未来を決めてはだめなんだよ」
もう一度剣を構える。
「邪魔するならユウごと貫く」
その頬に涙が一筋だけ伝っていた。その涙は夕陽に照らされてキラキラと輝いていた。何よりも綺麗に。
ユウはミナの目を見据えていた。何もかもを見透かしそうな綺麗な目で。
「そう、じゃあな。ユウ」
ミナは剣を振り下ろした。
「やめろ」
振り下ろしたその腕をユウに当たるギリギリで掴み止めた人が居た。
「カリク・・・」
カリクは手を離した。剣先はもう魔王には向いていない。地面に向いていた。
「私だって殺したくないよ!でも、殺さないと・・・」
「あぁ、こいつは殺す。だが、娘のお前がすることじゃない。俺がしてやるからお前は休んどけ。親を自分の手で殺すのは何よりも辛い」
優しさの意味で言ったのだろう。自分の親を自分で殺す辛さを彼は知っていた。
「いや、やっぱり私に殺らせて。魔王が復活したのは私の所為ですから・・・」
そこには先ほどまでの怒り狂ったミナではなく、カルミナとしてのミナが居た。
「私が起こしたことは私が決着をつけます」
剣を持ち、魔王に歩み寄る。
「まったく、あなたという人は。せっかく私が封印などと甘い処置をとり、チャンスを与えてやったのにもかかわらず・・・。私の生まれ変わりは私よりも冷酷なのよ。
死になさい」
剣を振り上げる。
「ミナ・・・」
「お前がその名を口にするな!!!」
勢いよく剣を振り下ろす。その剣先は迷うことなく真っ直ぐ魔王の左胸へ。
剣が刺さった魔王は砂のように崩れ去った。残った肉体は、やせこけてもう腐敗が始まっていた。
ミナはカリクのほうに振り向いた。そして、
「ミナ!」
倒れ掛かった。顔を手で覆い、嗚咽しながらないていた。
「お父さん・・・」
数分の間泣いていた、カリクの腕の中で。
収まってきた頃に、カリクが「大丈夫か?」と聞くと、
「うん。あ!ご、ゴメン!!」
そういってカリクから素早く離れた。
「とりあえず神殿に戻るか」
ユウとミナはコクリとうなずいた。
次話で終わりです!




