勇気の試練~第二試練~
『こちらです』
半分だけかかった橋のような場所の端に立たされる。
「え?あの、ソフィーさん?ここで何をしろと?」
『お察しの通り、飛び込んでもらいます』
「あ、やっぱり?」
眼下に広がるのはマグマの海。落ちたらもちろん死ぬ。
「でも、どこに飛び込むんだ?下には何もないけど…」
『そこの石碑に書いてありますよ』
ソフィーの指差す石碑を見てみる。
「えっと、『眠れる石の窪みへとびこめ。間違えば待ち受けているのは死のみだ』て、眠れる石?なんだそれ?」
『さぁ?』
ソフィーも首を傾げる。
「何かヒントは・・・」
周りを見渡す。確かにマグマの海の端の方に岩がいくつか並んでいる。
「ん?」
その岩にかろうじて確認できるほどの小ささの文字が書かれていた。普通の人なら何が書いてあるかなんて全く分らない。
だが、ユウは。
「えーっと、右から・・。って、全部「開」じゃねーか」
『えっ・・・』
「どうした?」
『あれが読めるんですか?』
「あぁ、とうぜんだろ?今は眼鏡ないし」
『眼鏡が無いから、見えないんじゃないんですか?』
「俺の場合は目が良すぎるから。でも、ぜんぶ開とはな。一つでも閉があればなぁ」
周りを見渡して上を見上げる。
「ん?」
『どうかしましたか?』
悩むようにあごに手を当て俯く。そして「はぁ」と大きくため息をついた。
(全く、女神様も嫌なことさせてくれるぜ)
『どうしました?』
その問いかけを無視して、走り出す。
『ユウさん!!』
ユウはマグマの海に向かって飛び込んだ。岩も何も無い所へ。
スタンッ
『ふぇ?』
思わずマヌケな声が出る。ユウは確かにマグマの海に飛び込んだ。が、マグマの上に
『立ってる?』
そう、マグマの上で浮いているとは言いがたい高さで着地したのだ。
「これみてくれ」
しゃがんで何かを剥がすしぐさをする。その下には、
『あ!』
岩があった。近づいてみると小さく「閉」と彫ってある。
「こういうこと。しかも、この閉って書いてある場所だけこのシート無かった。この文字を見つけてもシートがかぶせてあるから岩があるなんて誰も思わないよな」
『じゃあ、間違ってたらどうするつもりだったんですか!』
「え?『間違えば待ち受けているのは死のみだ』って書いてあっただろ?」
ソフィーは唖然とした様子で勇者を見つめた。
《この人は、何の根拠も無い推測だけで命をかけて飛び込んだのか・・・。勇者の名は伊達ではないのね。恐れなければいけないものを恐れないのはただの馬鹿というけれど・・・》
「どうした?」
『いえ、ではこちらへ』
ソフィーにつれられるまま岩の一部を開けて地下へと。
『これですね』
厳重に封印された青く輝く何か。ソフィーが呪文を唱えると封印は解かれた。
『お手を』
ユウはそれに向かって手を伸ばす。
「!!」
一気に強大な力が体に流れ込んでくる。常人なら耐え切れずに死んでしまう。
ユウはそれに耐え切った。肩で息をしている。
『大丈夫ですか?』
「あぁ、だけど休ましてくれる?」
壁に寄りかかって座る。「はぁはぁ」と息を整えていく。
「はぁ・・。もうだいじょうぶだ」
『では戻りましょうか』
「あぁ」
ソフィーの術でルイたちのもとへ。
『お!戻ってきた!』
『さっきよりもちゃんと強くなってるな。剣も』
『生きて帰ってきただけでも凄いことなんですけどね』
『そうですね。で次は誰が行きますか?なるべく疲れるものは早くしたほうがいいと思うんです』
メアルを適当にあしらいはなしを進める。
『疲れるのって』
精霊三人全員がいっせいにルイを見る。
『だろうな。んじゃ、ハク。手伝ってもらうぜ』
『はいはい。ユウくれぐれも投げんといてくれよ』
「って、事は戦うのか?」
『あぁ、途轍もなく、な』
苦笑いをする。
『まぁ、行くか。こっちだ』
ルイに続く。その先には、扉が。さっきは青かったが、今度は赤色だ。
『この先は「力」が試される場。勇気みたいに第一とか第二とかは無いけど、途轍もなく疲れるぜ。気をつけてないと大惨事になる』
「はいはい。ハク」
『了解』
ハクは剣になる。
『準備はいいか?扉開けるぜ』
「あぁ」
『それでは、地獄の連戦へご招待しましょう』
扉をゆっくり開いていった。
『無駄なことは考えない方がいい』
聞こえた周りの音はそれが最後だった。
試練の間は少し短くなると思います。




