スカイタウン
「え?」
「スカイタウン?」
「どこだ?それ」
横を見ると、ユウが思案顔で俯いていた。
「どうかしたのか?」
「スカイタウンは俺達の故郷だ」
思案顔のまま言った。思案顔というよりも・・・。
「戻るのが、嫌なのか?」
思ったことを口に出す。
「いや、嫌なわけじゃない。ただ、怖いんだ」
「怖い?」
「あぁ」
それ以上は何も言わなかった。ただ、黙っていた。
「なぁ、ミナたちの故郷っていったら空の上だろ?」
マルクが口を開いた。
「えぇ。そうなりますね」
いつもどおり目を閉じたまま答えるルーカス。
「どうやっていけばいいんだ?」
ごもっとも。これは俺達にはどうしようもないが・・・。
「私を誰とお思いで?」
何処も見ていないルーカスの瞳が俺達を見つめた。珍しく開いていて、その目の色は、
「紫」
昔から、目の色が紫の人は魔力を持っているといわれている。という事は?
「ルーカスが連れて行ってくれるのか」
今日は思ったことを口にしやすいな。気をつけないと。
「はい、私が連れて行かせていただきます」
にっこり笑う。
次の行き先を聞いたため、俺達は眠ることにした。
「おやすみ」
ただ一言、皆黙って眠った。
次の日。
「ふぁ」
情けなく大きく口を開けてあくびする。
「無理すんなよ」
「大丈夫にきまってるだろ」
ルーカスが魔法陣を書き終えた。
「ソフィーさんたちは宝石に入っていてください」
『わかりました』
精霊達は自分の宝石へと戻った。
ルーカスは目を開く。紫色のその目には、赤い炎が揺らめいている。
「ものすごい量の魔力だな。目が見えていないのはこれのせいか」
「魔力で見えなくなるのか?」
「ルーカスの場合魔力を溜めているところが目だからな。たまっている魔力を全部使い切れば見えるようになるんだろうけど」
「物質移動魔法って魔力を大量に使うんじゃなかったっけ?」
「そうだけど、ルーカスの目にたまっている魔力を使い切るほどはいらないよ」
「黙っていてください」
小声で喋っていたのだがルーカスには聞こえていたらしい。
「行きます。このものたちを我が指し示す空の大地へ」
呪文を唱えると、魔法陣が光り、まわりだす。光りはカリクたちを包み込み空へと上がった。
「お気をつけて」
あまりのまぶしさに目がくらみ、閉じる。閉じた目を開くとそこは。
「広場?」
「人っ子一人いねぇな」
周りを見渡す。
「おかしいな。いつもなら朝市が立ってるはずなんだけど・・・」
朝市など何処にもない。三人で首を傾げる。
「というか、スカイタウンに来たはいいけど、どこにいけばいいんだ?」
「それ、聞いてなかったな」
「ソフィー?」
ソフィーに声をかけてみる。
『なんか、出られないです』
『こっちも』
『暫く出られませんねこれじゃ』
精霊達は出てこられないようだ。
『出られるようになったら出ますのでそれまでの間なにかしといてください』
ソフィーがそういい終わったとき。
「ユウ?」
「父さん」
目の前に背の高い男の人が現れた。
「よかった・・・。無事だったのか・・・」
近づいてきてユウを抱きしめた。
「心配かけてごめん。でも急なことだったから・・」
「後ろの方達は?」
「えっと、友達。別に怪しい人じゃない」
「そうか、いつも息子が世話になってます」
「え?あ、いえ」
「そうだ、ミナちゃんは?ミナちゃんはどうした?」
「ミナは・・・」
言葉に詰まる。どう説明しようか、説明して信じてくれるのか。
カリクがユウの一歩まえにでて説明する。
「ここの下に落ちた時にはぐれたらしくて、いま、さがしているんです」
「そうか・・・」
「そうだ、おばさん。おばさんは?」
「教会に居るよ。今日は月命日だからな」
「そう」
ユウの父親と別れ教会に向かう。
「おばさんってミナのお母さんか?」
「血は繋がってないけどね」
「じゃあ、ミナは捨て子?」
「いや、ちがう。うーん。複雑なんだよミナの家族事情」
「ふーん」
教会にたどり着く。
「おばさん!」
「あら、ユウくん?」
「お久しぶりです」
ぺこりと一礼する。それに習ってカリクたちも「こんにちは」と一礼した。
「久しぶりね。無事だったのね」
「えぇ、運よく森に落ちたものですから」
「ミナは?」
「落ちる場所はバラバラだったので。今探していて必要なものを取りに来ました」
さっきのカリクの受け売りでサラリと嘘をつく。
「必要なものって何か、聞いてもいいかしら?」
ユウは首を横に振る。
「大切なものですから」
「そう・・・」
『お待たせしました!』
ソフィー、ルイといった精霊達が出てくる。
『次は、このスカイタウンの一番おおきいカルミナ様の像に行くんですよ』
「わかった。それではおばさん、次あう時にはミナをなんとかつれてきます」
「えぇ、でもあまり期待しないでおくわ。あのこ、死んでるかも知れないでしょ?一番最悪のパターンを想像しておかないと、私の心が持たない」
「おばさん・・・」
ミナは死んでない。そういおうとしたユウをカリクが手で制した。
「いくぞ」
ユウはコクリとうなずき、もう一度ミナの母親に一礼してから教会から出た。
「スカイタウンで一番でかいカルミナの像は?」
「この教会の後ろ」
教会の方へ振り向く。と、カルミナ像の頭らしきものが見えた。
「いくか」
「「あぁ」」
教会の後ろへと回り込み、カルミナ像の下へ行った。
何か、いらないものまで詰め込んだような気がします。




