用意
「はじめ!」
「てやぁ!」
先手必勝!
キン
ちっ、流されたか。
「コッチからも行く」
っく、
キン
ぎりぎり、流す。早すぎでしょ!
キンカンギリギリパーン
ビシュ
私の剣が、マルクの腕をかすり、血を噴出させる。
「やるな」
「うわ!」
いきなり、マルクの攻撃が激しくなる。
「負けてられるか!」
私も応戦する。
「っく、まだまだ」
「痛!」
マルクの剣が私をかする。
「はぁ!」
こっちから、かいしんの一撃!
スカッ
え?すかした?
「もらい!」
すかして出来た隙にマルクか付け込む。
「しまった!」
なんてね。
パァーン
「え?」
マルクが、驚いた顔をする。まぁそりゃそうだよね。今やったことを説明すると、
マルクが剣をコッチにやる。→私が剣をもどし、その勢いでマルクの剣を飛ばす。→マルクの首に剣を寸止めする。
といったところかな。これで私の勝ちなんだけど・・・
「勝者、ミナ!よって、今年の優勝者はミナ・クルーレ!」
パチパチパチ
拍手が起きる。少し小さいのは、この戦いの儀に参加している人だけだからだろう。
「ミナちゃん、ようやった!」
あ、カリクだ。叫ばなくても。ほら、注目集めてるし。
「すげぇな、ミナ」
剣を拾って戻ってきたマルク。
「いや、それほどでも」
ホントにそれほどでもない。ただの作戦勝ちだ。
「俺も、精進しねぇと」
「がんばりなよ」
「ミナー!」
は?だれ?声のした方を見る。
「サテラさん!」
私が今お世話になってる家の人だ。ま、寝泊りは宿舎でしてるんだけど。
「サテラさんどうしたんですか?」
「どうせ、優勝するだろうから、優勝したら声かけて旅の用意でも買いにって」
「そうですか」
気が早い。
「戦いの儀は終わったから、行ってもいいぞ」
「あ、じゃあ行って来ます」
私はサテラさんと一緒に店の商店街(?)に向かった。
「何が必要かなぁ」
「剣は持ってるんでしょ?」
「鞘が無いんですけどね」
「まずは、鞘ね」
と言って、武器屋に入っていった。サテラさん、行動が早い!
「どれがいいかしら」
「どれでもいいですよ。でも、強いていうなら・・・」
一番地味そうなやつを選ぶ。
「これですかね」
「これ?こっちの方がいいんじゃない?」
「そんな、合成じゃなくていいです」
すっごいデコってある、鞘。こんなのは本当にイヤだ。地味なもので良い。
「そう。じゃあこれ下さーい」
私の指差した、鞘を買う。大きさもちょうどいい。
「あとは、服ね」
「服は、大丈夫です。戦いの儀をクリアした人には、騎士の服が支給されるんです」
「そう・・」
なぜか、残念そうだ。もとから世話好きだからなぁ。
「あとは、ポーチぐらいですかね?」
「ポーチ?」
「はい、色々道具を持って行きたいんで」
「何処で売ってるかしら?」
「それは・・、知りませんけど」
「とりあえず、道具屋に入りましょうか」
「あ、はい」
近くにあった道具屋に入る。店の中を見渡すけど、欲しいポーチは見当たらないな。
「ない、ですねー」
「参ったわね。明日にでも出て行くでしょう?」
「はい」
「むー」
サテラさんが悩む。別に無くてもいいんだけどね。っておっと。
「サテラさん、あのそろそろ戻らないといけないんで」
「そうなの?じゃあ後でね」
「はい」
わたしは、騎士学校に向かって走り出す。
「やばい!時間気にしてなかった!」
何かいやな予感がしたけど、私の予感は良く外れる。
やっぱり、展開が速い気がするんですよね。
2013年一月二日に編集しました