フェアリー・マザー
「ここが、女神の神殿・・」
カリクが女神の神殿を見上げて呟く。
「入るぞ」
ギィィイ
女神の神殿の重々しい扉が音を立てて開く。
「いつでも夜だな。ここは」
「それが私に与えられた罰でございますから」
マダム・ルーカスが話しかけてきた。カリクとマルクは身構える。
「こんばんわ。マダム・ルーカス」
「こんばんわ。勇者シャラル・ユウ。ここに来たのは全てを知るためですね?」
「はい。あなたの知り全てをおしえていただければ。と」
「分かりました。私の使命は全てを告げることでございますから。ですが、お教えする前に」
椅子が三つ横に並び、その前に一つ置かれた場所を指差す。
「椅子にお座りになってください。私の話は長くなりますから・・・」
三人は黙っていう事を聞いた。ルーカスも座る。
「さて、何からお話しましょうか・・・・。カルミナの物語はご存知ですか?」
「えぇ」
「あ、俺知らねぇ」
「ならば、お話しておきましょうか」
ルーカスはカルミナの物語を語った。ゆっくりと丁寧に。
「という所でしょうか。この物語はまだ、終わってはいません」
「魔王を倒す所、ですか?」
「それはわかりません。ただ、まだ続きが紡がれていないのです」
ルーカスは話す。
「次はなにをお話すればいいですか?」
「ミナはどうしてああなったんですか?」
「ああってどうなったんだよ」
カリクが聞いてきた。
「それは、奥の間で後に確認できます。ミナさんは時間を稼ぐために眠られました」
「時間?」
「ミナさんが何もせずにあなた達が封印を施そうとすれば施す前に魔王が復活してしまいますから。
ですが、その一時的な封印も長く続くわけではありません」
「時間は無いのか」
「はい。今や一刻の猶予もありません」
「俺達は、これからどうすればいいんだ?」
カリクがルーカスに聞いた。
「魔王の封印を施してもらうんですが・・・・」
「ですが?」
「精霊が一人足りていませんね。全員で四人です」
「え?精霊が四人?」
ユウは精霊の数を数える。
「どう数えたて二人しか居ませんが?」
「ミナさんの前に一人います」
ルーカスは立ち上がる。
「行きましょう。ミナさんのところへ」
ギィィィイ
重々しい音を立てて大部屋の大きな扉が開く。
「ミナ・・・」
「え?」
「あれが・・・」
目の前には青い半透明な結晶に包み込まれたミナ。その前には一振りの剣が置いてあった。
「あ!これ」
ヒュン
『こんばんは。ユウさん。カリクさん。マルクさん』
にっこり微笑むソフィー。
「え?俺の名前呼んだ?」
マルクがカリクに向かって聞く。
「は?よんでねぇけど?」
「あれ?おかしいな?」
『私の声は聞こえてるんですね。なら、メアルに選ばれるかも・・・』
「?何処から聞こえてるんだ?」
マルクはあたりを見回す。その行動にカリクはククッと笑った。
「なに笑ってんだよ」
「いや、すぐ分かるとおもうぜ」
「てか、ずっとそのモードだな。あの気楽な感じはどうしたんだよ」
「ミナがいなくなったからな。いつでも警戒しとかねぇと」
カリクはどこか遠くを睨む。
「これで、三人です。カルミナ様に選ばれた精霊は四人ですから、あと」
「一人。精霊に選ばれし者を連れて」
「精霊に選ばれるかは行かなければ分かりませんが」
ルーカスは微笑んだ。
『最後の一人はエメラルドの精霊です。フェアルの森のどこかに居るはずなので行きましょう』
「おい、ソフィーは誰が連れとくんだ?」
『え?サファイアをはずして誰かが持っていてくれればいいんですが・・・』
「じゃあ、俺が持っとくわ」
カリクがサファイアをはずしポケットに入れる。
「フェアルの森って?」
『はい』
ルーカスはお辞儀をして言った。
「いってらっしゃいませ」
三人は女神の神殿を後にした。
「フェアルの森って何処にあるんだ?」
「この先だよ」
真っ直ぐ歩いていると大きな森が見えてきた。緑が目に鮮やかだ。
「大きい木だな」
森の真ん中に生えている木を見てマルクが呟く。
「あぁ、ご神木って言うんじゃないか?」
「森の守り木みたいなもんだろうな」
カリクとユウは森に入っていく。
「あ、ちょ、まってくれよ」
ユウとカリクをおいかけた。
「あ、四葉ウサギじゃん」
四葉をつけたウサギを指差しユウが言った。
「あ、これ四葉ウサギって言うんだ」
マルクが近づく。
「おい、マルク・・・」
カリクが注意しようと声をかけたが虚しく、
「いってぇ!」
噛まれた。
「はぁ」
カリクは額に手を当て呆れる。ユウは「はははっ」と笑っていた。
「お前、学校で習わなかったか?」
「ならたっけ?」
「習ったよ。お前居眠りしてた記憶あるけど」
奥へと進む。
「この辺りがプルー族のむらだったはず・・・」
ユウはあたりを見回す。
[あ、ユウ!]
「おぉ!プー。よぉ!」
[また、村を荒らしに来たプキ?]
「んなわけねぇだろ」
[冗談プキ。後ろの人たちは?]
「あぁ、ミナの仲間だ」
[あぁ、あのお姉ちゃんの。僕はプーよろしくプキ]
「俺は、カリク。でこいつがマルク。よろしくな」
「なぁ、プー。長老様いるか?」
[長老様なら朝早くに出かけたプキ]
「どこに行くとか聞いたか?」
[聞いてないプキ]
「そうか」
「長老様?」
カリクが聞いた。
「プルー族の長老だよ。フェアルの森について詳しいはずなんだが・・・。今は居ないらしい」
「てか、俺らって最後の精霊を見つけるためにここにきたんだよな」
「あぁ」
「あの、精霊に選ばれし者がマルクならマルクが場所分かるんじゃないか?」
マルクを二人で見る。
「え?なに?」
「分からないみたいだな」
「ちっ」
二人でどうするか話し合う。
『あの、すみませんが・・・』
ソフィーがその話し合いに割り込む。
『多分フェアリー・マザーの近くにあると思うんですけど』
「何が?」
『フェアルの森の精霊の住処です』
『あぁ、フェアリー・マザーの近くは有り得るけど、フェアリー・マザーが何処にあるのか・・・』
『それが、問題なんですよね』
ルイとソフィーであーだこーだ話し始める。
「おい、フェアリー・マザーって誰なんだ?」
『フェアリー・マザーは私達精霊を生み出す聖なる池です』
『池って言っていいのかわからんけどな』
いつの間にか出てきたハクが言った。
「なら、そのフェアリー・マザーを探し出せば最後の精霊を見つけることが出来るって事だな」
『そうなりますけど・・・・』
「よし!マルク!行こうぜ」
「あぁ分かった」
三人はソフィーの言おうとした言葉を完全に無視してフェアリー・マザーを探しに行った。
《フェアリー・マザーは私にしか見えないんですけどね・・・。しかも助言はあまりするなって言われてるし・・・。どうしましょうか?》




