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ミナの冒険  作者: おおさんしょう魚
第四章ライディン砂漠
37/51

眠り

「俺は、」

 もったいぶって一度切る。

「コハクは渡さない。コハクを渡すことは家を捨てることと同じ。ハクは誰にも渡さない」

 そして、小さく呟いた。

「あんな家でもな・・・」

「貴様・・・、今、何を言ったか分かっているのか?」

「分かってるさ。ただ、お前が俺を殺せるか?」

 わざと挑発する。

「私がお前を殺せないとでも?」

「さぁな。お前次第じゃないか?」

 喋って時間を稼ぐ。俺の推理が正しければコイツはマルクが来れば逃げるはず。

「渡し次第だと?」

「そうだ。お前次第で俺の言葉の意味が変わるんじゃないか?」

 剣を構えなおす。ユウも構えなおしたようで後ろで音が聞こえた。

「ふん、時間を稼いでいるな」

 あ、ばれた。

「そうだが。なにか文句があるのか?」

「時間を稼がれると困るのでな。こちらから行くぞ」

「っ!!」


キィンッ


 ギランの剣をギリギリ弾く。早い。あの時よりも。

「四割くらいか?」

「残念だが、六割だ。貴様らなんぞに力を使うとはな」

 六割ぐらいなら何とかなるか・・・?

「六割なら何とかなるか・・・?とか思っているだろう」

「だからなんだ」

「貴様の考えは丸分かりだということだ!」


キンッ


「くっ」

 剣で防ぐのが精一杯。


キンッ

キンッ


「防いでばかりだな!」

「るっせぇ!」

 右からの攻撃を避け、左からの攻撃を弾く。ただ、後ろに飛んで避けるということはしなかった。

「左右からだけだと思うな!」

 目の前からのギランの突き。右に飛んで避ける。

「っく」

 避けきれずに左腕を切られる。左腕からは血が滴り落ちた。


ピチャピチャ


 血は止まらない。

「はぁはぁ」

 チラリとユウのほうを見る。ユウは、

「!」

捕まっていた。光り輝く縄で。最近これを見たことがある。

「守護の・・縄!?」

「ご名答。私がこの神殿から離れれば消えるがね」

 ユウは縄からどうにか抜け出そうと身をねじらせながらギランをきつく睨み付けている。

「おぉ、怖い」

 軽く言うギラン。

「おまえ、本当にむかつくな」

「貴様にむかつかれても気に障らぬわ」

 俺は、姿勢を正す。

「そろそろ時間が迫っているな。終わらせてもらうぞ」

 早い!一瞬で目の前に来たギラン。コイツは剣を横に一閃。それをジャンプして避け、俺は上から下へ剣を振り下ろした。

「ちっ、逃がしたか」

 虚しく空を切った剣を持ち上げる。ギランは後ろに飛んで避けたようだ。それを俺は、

「なかなかやる、なっ!」

追従。剣をギランに向かって投げつけた。

「おいおい、どうした?」

 動きが鈍るギランに不敵な笑みを浮かべつつ声をかける。俺の投げた剣はギランを貫いていた。

「くっ、まぁいい。もう時間なようだ」

「カリクー!ユウ!」

 マルクの声が聞こえた。

「では、またあうことを・・」

 その声を聞き終わるとギランの姿は霧のように消えた。

「ユウ!今ほどくからな」

 輝く縄に手をかけて縄をほどこうとするマルク。

「あ、それほっといていいぞ」

「ほっといていいって・・・」

 数秒すると輝く縄は消えた。もとから何も無かったかのように。

「ふぅ。あ!ミナ!ミナはどこ!」

 あたりを見回す。

「さっき魔方陣の中に入っていくの見ただろ。ここにはいねぇよ」

「・・・」

 悔しそうに顔を俯けるユウ。

「無事なのは分かってるから大丈夫だろう」

 ギランが消えて地面に落ちた剣を拾いながらいう。

『おいおい、俺を投げるなよな!お前の足ならたどり着くだろ!!』

 ハクからの文句がいきなり飛んでくる。がスルー。

「それよりもこれからどうするか・・・」

「俺もしらねぇぜ。あ!そうだ!」

 ユウがカルミナの像に走っていき、剣にはめ込まれていたルビーを取り出す。

 また、綺麗な声が聞こえてくる。

「・・・・・」

 黙って聞く。何を言っているか分からないがユウは分かっているんだろう。

「はぁ」

 ユウはこっちにまで聞こえてくるため息をついて戻ってきた。

「何にも分からなかった。ねぎらいの言葉だけだった」

「そうか」

『なぁ、ハク』

 ルイがハクに声をかける。

『なんや?ルイ』

『ここに居てくれるか?』

『え?別にエエけど?』

『女神様からの使命があるから。術式の弐渡り鳥』

 ユウとルイの姿が消えた。

「え?おいユウ!?」

『大丈夫や。さっきルイが連れてっただけやから』

「あ、そうなのか。なら無事なんだろうが・・・」




「え?おい、ここ何処だよ」

『昔の女神の神殿。この先にミナさんが居るはずだ』

「ミナが!?」

 悩むことなく女神の神殿に入っていく。

「ミナ!」

 扉を開けた先には、ミナがいた。


♪~♪~


 フルートの音が神殿内に響く。その音にあわせてミナが舞う。

 その時やっと理解した。本当にミナは神の生まれかわりだと。舞っているミナの神々しさは凄かった。


♪~

 

 フルートの音が止む。

「はぁはぁ。あ・・・・」

 息切れしたミナがこちらを向いた。

 その顔が一瞬満面の笑顔になったが、すぐにつらそうな悲しそうな顔になった。

「ミナ・・」

 声をかけようとしたがミナは後ろを向き一気に走っていった。

「お、おい!」

 ミナはおくの大部屋に入っていった。

「ミナ!」

 大部屋の一番端にある台座の上でミナは振り返った。

「ユウ・・・」

 悲しそうに呟き、両腕を左右に出す。その腕を何処から生えたのかツタが絡め取っていく。

「ミナ!」

 ツタはミナの腕だけでなく体にも巻きついていく。

「来ないで!!」

 ユウは立ち止まる。

「ユウ、ごめんね。私は今から眠らないといけないの。それが、女神としての使命だから。

最後にあなたに触れたい。一人で眠りたくない。」

 ユウに向かって手を伸ばす。

「だけど、あなたに触れてはいけないし、一人で眠らないといけないの」

 伸ばした手をツタが絡め取る。

 ミナは一呼吸おいて言葉を紡ぐ。

「ユウ。全てを知りたいのなら、現代の女神の神殿へ行きなさい。私が何故眠らないといけないのか、私はどうなるのか、これから何をすればいいのか。全てを知りたいのなら、ルーカスに聞きなさい。いいわね?」

 ミナの言葉が消える。ユウは全力で駆け寄るが間に合わない。

「絶対に、使命を、はたして・・・」

「ミナ!まってろ、いまツタを切るから・・・」

 剣は動かない。ルイが遠くに居るのだ。

「ルイ!」

『ダメだ!そのツタを切るな!』

「でも・・」

 ミナの場所から強烈な光が放たれる。

「うわっ」

 思わず目を閉じた。

「あ・・・・、ミナ・・・・」

 ミナは、水色の半透明な結晶に包みこまれていた。

 結晶に触れる。

「ミナ・・・」

 ユウはそのばにしゃがみこんだ。

「おい、うそだろ」

 結晶の中のミナは悲しそうな顔で目を閉じている。

 ユウはその場から暫く動かなかった。



『ユウ?』

「あ、ルイ・・」

 ユウはいきなり立ち上がった。

「そうだ、いつまでもここでウジウジしてたってミナが戻ってくるわけじゃない。ミナの言ったように女神の神殿に行かないと」

 そして、大部屋から出ると。

「こんばんわ。勇者様」

 若い女の人が立っていた。

「お前は?」

「私の名はルーカス。女神の神殿の守り人ですわ」

 目を閉じている。

「ルーカス。ここから現代みらいへいく方法は分かるか?」

「私は存じません。今の私は未熟者でございますから。まだ何も知らぬものでございます」

『おれが連れて帰るから大丈夫だよ』

「あ、ルイが?」

『ちゃんと帰れるっての』

 ルイが呪文を唱える。

『術式の弐時渡り』



「ユウが帰ってきた!」

「あたりまえだろ」

 疲れたように言うカリク。

「なんでそんなに疲れてるんだ?」

「いや、説明するのが・・・」

 額に手をあて俯く。

「はは・・・」

 ユウは苦笑い。

「で?なにか収穫あったか?」

 顔を上げて聞く。

「あぁ、女神の神殿に行けばいいらしい」

「よし、マルク!行くぞ!」

「あぁ」

 ユウ、カリク、マルクの三人は女神の神殿に向かった。

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