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ミナの冒険  作者: おおさんしょう魚
第四章ライディン砂漠
36/51

決断

「ふぅ、助っ人参上!!」

 サファイアのはめ込まれた剣を右手に持つ、金髪少女。

「「ミナ!」」

『ミナさん!』

 ソフィーがミナに寄る。

「いくら番人といえど、俺を閉じ込め仲間を傷つけた罪は重いぞ」

 ゾッとするような低い声。完全にキレてる。

{ですが、これは・・}

「おれは、」

 剣先を番人に向ける。

「あいつと同じじゃない。仲間を傷つけられれば怒るんだよ!」



「おいおい・・・」

「うそだろ・・」

 視線の先には、ミナ。そのミナが立っている場所は、

{うぅ}

「黙れ」

崩れた番人の上。ミナは番人を倒したのだが・・・。

「ユウ!カリク!大丈夫か!?」

無傷。ユウとカリクがボロボロになって苦戦したあの敵を無傷で倒したのだ。

(そういえば昔からこうだったな)

 ミナは、仲間思いで優しく味方をとても大切にした。だが、仲間のためならばどんなに汚いことでも引き受けたし、なんでも利用した。それが何であろうとも。

 そして、仲間思いなのだが、逆に敵には容赦なかった。


元々は味方だったとしても。


「敵になればそれまで、か」

 ひざの土を払って起き上がる。ソフィーのおかげで傷は大分癒えている。

「お、懐かしいなそれ。いつ言ったんだっけ?」

「一年位前じゃなかったか?」

「そうそう!ハザル倒す時にな。カリクはハザルと仲良かったからな。」

「ミナもやろ」

「まぁな」

 ミナはカリクたちに駆け寄る。

「で、大丈夫なのか?」

「俺は大丈夫だ」

「俺も」

 ユウも起き上がる。

「なら、いこっか」

 いつもの調子に戻る。

「キレたときと調子かわりすぎやろ」

「それならカリクもでしょ」

 ミナとカリクは歩いていく。その後ろをユウは寂しそうにみてから追いかけた。

「っと、後ろ向いて」

「はいはい」

 暫くして唄が聞こえてきた。前のように綺麗な声で。

「女神様の言葉か」

「カルミナ様のことだからユウがミナちゃんに会うのも想定内なんじゃない?」



『ミナさん。翻訳しますか?』

「うん。お願い」

『では、『良くここまで来てくれましたね。本当にありがとうございます。あなたがここにくるまでどれだけの危険に晒されたか・・・。お礼と同時に深くお詫び申し上げます。

最後の清めの場、ライディンを終わらせれば次はあなたの最終目標。


【魔王の封印】です。


今、ここで封印の舞をお教えするべきなのでしょう。ですが私の力はすでに弱まっています。

ソフィー。あなたにこの舞は託します。そして私の生まれ変わりよ。』

 ソフィーは一度言葉を切った。

『世界の命運はあなたにかかっています。絶対にお願いしますね』

 唄が消えた。綺麗な声も。

「・・・。」

『これは、ミナさんにしか分からない言葉。次行くべき場所を指し示しています』

「はぁ、分かったわ。ただ・・・」

 後ろを振り返る。その視線の先にはカリクとユウ。カリクは急いでこっちに走ってきている。

「邪魔者が来たようね」

「ミナちゃん!!」

 カリクはミナを抱きかかえて転がる。

「ギラン。あなたは何処まで邪魔してくるの?」

 カリクの肩越しにギランを見据える。

「何処までも、ですよ。あなたの邪魔をしなければ魔王様の復活は遠のいてしまう。

まぁ、いずれは復活しますがねぇ」

『黙りなさい!!』

 ソフィーが叫ぶ。

『あなたは、魔王の名をかたるべき人ではないはずでしょう!』

「そういうソフィーはどうなんだ。お前もカルミナの名をかたれる精霊ではないだろう」

『そ、それは・・』

「ふんっ」

 ギランが腕を振った。黒い炎がたちまち上がる。ユウとカリク、ミナで分けられてしまった。

「ミナ!あっつ!」

「ユウ!これ!」

 ミナがユウに向かって何かを投げる。

「おっと、てこれ!大事なものだろう!」

 ユウが投げ返す。

「ちょっ!」

『ミナさん。それは持っていてください!大事なものですから!』

「え?わかった」

 ギランとカリクはすでに戦闘を始めている。

「この間はどうも!」

「お礼を言われるようなことはしていないが?」

「そう意味じゃない!」

 カリクの猛攻。ギランは全て紙一重で避けている。いや、わざわざ紙一重に避けているようだ。

「まぁ、そちらからきてくれるのはありがたい。貴様も殺しておかなければならないからな」


ゾッ


 カリクは急に後ろに飛んだ。

「何しようとした?」

「殺そうとしただけだよ」

「ミナ。どこかへ行くなら早くしろ。コイツの足止めできるのは数分だ」

「分かった」

 ミナは走る。そしてカルミナの像の前で何処からか金色に輝く魔方陣を出した。ドーナツのように真ん中だけが何も書いていない。

 その魔方陣を床に置くと、その魔方陣が大きく広がる。何も書いていない真ん中は七色になりずっと見ていると気分が悪くなりそうだ。

「余所見している暇があるのかい?」

「うぉわ!!」

 カリクが避ける。黒い炎はまだ上がっている。

「カリク!!私、カリクのこと信じてるからね!絶対無事で居て!ユウも!絶対に無事に居てよ!!」

『ミナさん!閉じちゃいますよ!』

 ミナは魔方陣の七色になっている真ん中に飛び込んだ。その後を猛スピードでソフィーが追う。

 ソフィーが通り抜けてすぐに閉じてしまった。

「ふん、女神は逃がしたか・・・。まぁいい。貴様らを抹消すればいいだけだからな」

「言うこと言ってくれるじゃねぇか・・・」

 カリクはギランに向かって飛び込む。簡単に防御された。が、

「俺達は三人組だぜ」

「何を言うか。それなら私の炎、で・・・」

「お前の炎でなんだって?」

 ギランの左胸を貫いているのは赤味を帯びた剣。ユウの持つ剣だ。

「ばかな。炎で・・」

「お前の炎なら完全に鎮火してるぜ。焼け跡残さず。な」

 剣を抜いて後ろに飛ぶユウ。ギランが居る場所は神殿とカルミナの像を結ぶ廊下のような場所。

 カリクが居るのは、カルミナの像の下。ユウが居るのは神殿側。ギランは挟み撃ちにされて居る。

「ちっ。そんなに死にたいか」

「あぁ、お前を殺したいな」

 カリクとユウが同時に突っ込んでいく。

 ギランは上に跳んで避ける。そして、空中を蹴ってカリクに向かっていく。

 剣で弾く。

「さっきから、なんなんだよ俺ばっか!」

「勇者は生かしておかねばならんのでね」

「カリクばっか見てると痛い目みるよ」

 後ろからユウが襲う。ギランはそれを防御する。

「一人で二人相手にすんのは大変そうだな!」

 ユウの攻撃を防御した隙にカリクが付け込む。

「本気を出していいのか?」

「冗談。お前の本気なんか出してほしくねぇよ」

 ギランとカリクは向き合う。ギランは後ろ手にユウを引っつかむと、カリクに向かって投げた!

「うぉぉ!!」

「おわっ!」

 案の定カリクとユウはぶつかる。

「敵に隙を見せてはいけないよ」

『カリク!鳥篭!』

 ハクがカリクに鳥篭をかける。

「すまねぇ、ハク」

『前見ろ!』

 ハクの鳥篭はすぐに破れた。だが、破れるまでの数秒でカリクとユウは体制を建て直し後ろに飛んでいた。

「やはりな」

「何がだ」

「少し、相談があるのだが」

 ギランが攻撃をやめる。

「はぁ?今更何言ってんだ」

 カリクの当然の回答。

「お前の持っているコハクを渡してもらえばお前ら全員見逃してやろう。そしてもう邪魔もしない」

「はぁ?」

 顔をしかめる。

「だから、コハクを渡せ。ならばもう邪魔をしない」

「カリク。こんなに良い条件で裏が無いわけがない気をつけたほうがいいよ」

「裏なんてあるわけが無いだろう。さぁ、コハクを渡せ」

 胡散臭すぎる言葉。

「俺は」

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