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ミナの冒険  作者: おおさんしょう魚
第四章ライディン砂漠
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悪魔の鐘

カリク目線とミナ目線で行き来します

「うそでしょ」

 私は呆然と呟く。私が見たのは、十歳にも満たない男の子が上を見上げ、必死に鐘を鳴らしている姿だった。

「君!そこでなにしてるの?」

「・・・・・・」

 声をかけてもただ黙って鐘を鳴らし続ける。私は近づき、その男の子を鐘から遠ざけた。

いや、遠ざけようとした。だけど、無理だった。

「!」

『時の狭間ですね。この男の子は、時の狭間のおかげで生きているんですね』

 ソフィーに言われなくても分かった。この子は・・・この鐘から離れられない。離れてはいけない。離れれば、死んでしまうから。だけど、ならし続ける意味があるのだろうか?

 考えていると、男の子から声をかけてきた。

「おねぇちゃん?」

「?なにかな?」

「お姉ちゃんの名前って」

 その後、男の子は信じられないことを口にした。

「ミナ?」

「え・・・・」

 私は言葉を失った。そりゃぁ、空から落ちてきたからあの村では有名人だ。だが、ライディン砂漠の近くまではそんな話はきていない。実際、大図書館の宿の人は私のことを知らなかった。ましてやこんな時の狭間によって生きていられる男の子が知るはずも無い。

「なんで、私の名前を?」

「やっぱり!」

 いきなり男の子の顔が輝く。

「これで、これで、お母さん達のところへいける。良かったぁ」

「ねぇ、お母さん達の所へいけるってどういう意味?」

「おかあさんね、悪いやつに捕まって、その悪いやつはね・・・」


 この男の子の話をまとめるとこうだ。

両親が、悪いやつに連れ去られてしまい、返してもらおうとその悪い奴のとこまで行って、交渉した。が、悪いやつは了承してくれなかった。だが、悪いやつは

「この鐘をずっと鳴らせ。そして、『ミナ』という女の子が来たらおかあさん達とあわせてやろう」

と言った。男の子は快く了承した。だが、鐘を鳴らそうといざ立つと、体が見る見る小さくなり今のようになってしまったのだという。

「だけど、お母さん達が心配だったから」

「ならし続けたんだね?」

 男の子(少年?)はコクリとうなずく。

「聞くけど、その悪いやつって・・・」

「こんにちは。カルミナさん」

 ミナは反射的に上を見上げる。案の定その目線の先にはギランがいた。

「あ!ミナさん来たからお母さん返してよ!」

 男の子は叫ぶ。

「あぁいいよ」

 ギランはにっこり微笑む。

「あぶない!!」

 私は男の子を腕に抱え伏せようとした。

「いっつぅ」

 男の子がここから離れると死んでしまうのを思い出し、自分が盾になった。

「え?」

 男の子は何が起きたのか分からないという表情で私に声をかけた。

「ねえ何が起きたの?」

「ん?大丈夫だよ。そこから動かないでね」

 笑顔を作り男の子に優しく笑いかける。

「やっぱり悪いやつだったんだ!お母さんも返してくれない・・・。待ってて!今助けを・・・」

「あ!!」

 よんでくる!といおうとしたんだろうな。けど私にはその言葉は届かなかった。

「あ・・・」

 男の子は跡形も無く消え去った。骨も無い。そこにはただ、砂があるだけだった。

「ハハッ!あなたが守ろうとした少年はこのざまですよ!少年の一人も守れない人に魔王様が止められるとでも?」

 むかつく態度で言ってくる。

「っ!このっ!!」

「まてや!!」

 小さくそんな声が聞こえてきた。ギランは・・・気づいてないみたい。

「ですので、おとなしく私達のほうへ来てください」

「そうね。分かったわ。私はあなたのところへ行くべきみたいね?」

 私はおとなしく返事をする。



「そうね分かったわ。私はあなたのところへ行くべきみたいね?」

 ミナはおとなしく返事をした。

(おい!あいつあんな事いってるぞ!!)

(シッ!黙っとけや。待つこともできへんのか?)

 俺達がもめている間にも話は進んでいく。

「ほう、これは以外ですね。あなたがおとなしくこちら側に来るとは」

「ふふっ」

 ミナは意味ありげに笑う。目が全く笑っていない。

「誰がそっち側に行くっつった?クソ野朗」

 ?ミナさん?

 一瞬俺は目の前にいるのが本当にミナか疑った。

「あたしが言ったのはそういみじゃねぇよ」

 ミナはまだ笑っている。

 !!ミナが俺の視界から消えた。

「お前を殺すためだよ」


ゾクッ


 俺は寒気がした。今の声、本当にミナか?低く、強く、唸るようなおぞましい声。ミナが言ったとは思えない。

 当の本人は一瞬でギランの前まで跳び、ギランにきりつけていた。

「ぐはっ」

 ギランがやられた。よしっ!だがミナの顔は怖いままだ。

「ふんっお前わざとだな。そんなにあたしが怖いか」

「えぇ、私はあなたが怖いですよ。なんてったってあの女神の力をお持ちになっている。あなた以上に怖いのは間王様しかいらっしゃいませんね」

 その瞬間、俺はミナからはっせられるものすごい殺気にへたり込んでしまった。

(な、なんだよこれ・・・)

「くっ」

 ミナは上から落ちてくる。

「ミナッ!!」



「ミナッ!」

 頭が、痛い。カリクの声が聞こえたけど、返事をする余裕なんて無い。耳鳴りが酷い。

私は、まっさかさまに落ちていく。

(くるな)

 私は駆けつけようとしたカリクに向かって警告する。

「!」

 カリクはそれが分かったらしく立ち止まる。

「っくぅ、テメェ何をした」

 頭を抑えながらギランに向かって怒鳴る。

「悪魔の鐘ですよ」

「悪魔の鐘・・・。クソッ。気づくのが遅かった」

 私は頭を抱えてうずくまる。そしてまた、駆けつけようとしたカリクに

(にげろ)

と睨みつけてさらに警告する。

 だけど私の警告も虚しく。

「!何やってんの!?逃げろって今!」

「黙れ、俺はお前を守るために来てるんだ。自分の安全のために辛そうにしているヤツを見捨てたりしない」

 カリクに怒鳴りつけられた。

「あ、ごめん」

 我を失っていたわけじゃない。けれど、我に返ったというのが一番表現としては適しているんだろう。

「お前・・・」

「大丈夫。心配かけてごめん」

「いいや、絶対大丈夫じゃないね。無理しすぎだ」

 私はむっとして言い返す。

「無理なんてしてない」

「絶対してたね」

『ミナさん!!』

 ソフィーが私に抱きつく。ビックリしたぁ。

「な、なに?」

『あのまま、イアンの思い通りになるって居たかと思うと・・』

「イアン?」

『あ、すみません。昔の癖で・・・』

 私はソフィーに詰め寄ろうとしたが、カリクが行動を起こすほうが早かった。

「ハク!」

『おうよ!』

 ハクが出てくる。

『術式の三十八!砂嵐!』

 たちまち砂嵐が起きる。目くらまし目的だろう。

(きゃっ)

 砂嵐が起きたとたんにカリクが走りだす。すごっ。さすが騎士学校一。

「隠れて、やり過ごすぞ」

 カリクがささやく。私はそれにうなずいた。


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