戦いの儀
あの日から二年後。私は騎士学校に入っていた。
「ミナ、なにしてるんだい。さっさとおきな!」
のんびりと睡眠をむさぼっていたら、慌てて部屋に飛び込んでくる人の影。
「ハナマさん・・・?どうしたんですか?そんなに慌てて・・・ふぁ~」
「今日は戦いの儀なんじゃないのかい?」
完全に呆れた声音。今日?なんかあったかな・・・?
戦いの儀、戦いの儀・・・・・あ、
「あー!」
ベッドから跳ね起き、即座に着替えを引っ張り出す。
「じゃあ、あとで」
ハナマが私のへやから出て行く。ハナマさんはこの騎士学校校長だ。
私は大急ぎで着替え、寮のそとへ飛び出す。時間は・・・まだ大丈夫だ。
「えっと、行く前にっと」
広場によっとこ。今日はマーケットがでてるはず。
「今日はどうかな~?」
戦いの儀が終われば、騎士に認められ旅に出ることが出来るから、剣なども通常よりも安く手に入るフリーマーケットでいいものがないかチェックするんだ。
「お、ミナちゃん。ちょいちょい」
「あ、骨董屋のおっちゃん」
「これこれ、どうだい?」
「え?なになに?」
骨董屋のおっちゃんに呼ばれ私は骨董屋の主人の居る武器屋に入った。
「これなんだけどさ」
一振りの剣を指差している。柄の真ん中にきれいな青いサファイアがはめてある。
「わぁ、これいい!かおうっと。すみませーん」
「相変わらず決めるのがはやいね」
店員さんを呼ぶ。と、勢いで呼んだけどお金足りるのかな?
「あいよ、なんだい?ミナちゃん」
「私そんなに有名じゃないはずなんだけどな・・・」
「ミナちゃんが有名じゃなかったらだれがゆうめいなんだい」
あははと笑う武器屋のおっちゃん。
「そうかなぁ・・・?まぁ、いいや。この剣ちょうだい」
「え?これ、一万五千クルするよ?」
「うぇ!!」
わたくし、ミナのただ今の所持金一万クル。カエナイ。昨日は一万五千クルあったのにな~。記憶違い?
「俺が払うよ」
「マルク!」
騎士学校の友達①マルク。騎士学校での大親友。実力はいつもマルクと二位争い。どうにか蹴落としたいんだけど・・・。
「てか、どしたの?」
「お前がなかなかこないから見てこいって言われたんだよ。こんなところで道草くってやがるし・・・」
「じゃあ、五千クルちょうだい」
「そこが『貸して』じゃないのが、お前らしいわ」
マルクが苦笑しながら五千クルだしてくれる。こういうところがすきだー!
「マルクー。ミナちゃんおったー?」
この声は!
「お、ミナちゃん発見」
騎士学校の友達②カリク。よく話しかけてくれるから、喋りやすい。話し方が違うのは西部のなまりらしい。
「えーっと、マルク五千クル」
「はいよ」
「ありがと。これでお願いしまーす」
マルクの五千に自分の一万を足し、店員さんに渡す。
「まいど。持っていきな」
「やったー!」
剣を持つ。ちょうどいい重さで、持ちやすい。
「でもそれ、鞘がないんじゃないか?」
「いま、使ってるやつでいいんじゃないの?」
「大きさがあわないだろう」
「あ、ほんとだ。まあ、なにかでつくるさ」
とりあえず、三人は騎士学校に戻ることにした。
「遅れてすいませんって、先生きてないじゃん」
「おうおうおうおうおう」
なぜか、チンピラ風に迫ってくる変な髪形の男。ウルフカットというらしい(本人談)
「なによ」
「お前が遅いせいで、今朝から整えたコンディションがガタガタだぜ」
どこかで聞いたことのある台詞。あーあれだ。○ルダ。なんちゃらソード。
「なに言うとんねん。ダルマン。お前がミナの財布から五千クルとったん知ってんねんぞ!」
「えぇ!」
五千クル無くなってたのはコイツのせいか・・・・・。
「なら、お前が五千クルとって無かったら、こんな遅くならなかったってことだね」
ぼそっと、つぶやいてみる。うっ、と反応を見せるダルマン。おもしろーい。
てか、なんで今までそのこと言わなかったの?カリク?そっちのが聞きたいんだけど?
「ちょ、ミナちゃん。ちょっと怖いで?無言の威圧やめてくれん?」
「遅くなってすまない」
先生のご登場。ちっ。
「舌打ちするな」
マルクにおこられたー。
「では、戦いの儀を始めようと思う。トーナメント戦で、一位と二位の者は騎士として認め、ここを卒業できる。」
『はい!』
「では、一回戦。ミナとダルマンだ」
「「えー!」」
二人同時に叫ぶ。
「向こうの闘技場でおこなう」
淡々と進められる。仕方ないので移動。
「二人ともかまえ!」
チャキ
構える。
「はじめ!」
「へへへ、一回戦で俺に当たった」
ダルマンが何か言ってるけど・・・
ダンッ
「勝者、ミナ!」
あっけなー。
まあ、その後も続き・・・・。
「決勝戦。マルクVSミナ!」
「よろしく。手は抜かないから☆」
「こっちの台詞だぜ」
「構え!」
チャキ
「はじめ!」