再会
「ギラン」
口にするのが少し怖かった。自分の友達を傷つけた奴が傍に居る。そして自分を狙っている。そんな奴が後ろに居る。そんなことを信じたくなかった。
ギランがここに来ているということはもう、捕まる可能性は十二分にある。
「おお!私の名を知っているなんてとても光栄です!」
うわべだけ、恭しく一礼する。ミナはそっと振り向いた。目の前には奴。
姿を見ただけで、冷や汗が止まらない。足が動かない。
「どうされました?手をお貸ししましょうか?」
ギランが、優しく手を差し伸べる。
『ミナさん』
ソフィーが声をかけてくる。
「なに?」
『私が時間を稼ぎます。逃げてください』
「でも・・」
足が動かない。
それを言えばギランに自分が動けないことが分かられてしまう。
『いいですね!』
ソフィーも必死だ。ミナがギランに捕まってしまえば全てが終わる。カルミナがした事も、何もかもが無駄になってしまう。
コクリ
ミナは小さくうなずく。
「さあ!」
ギランがミナの手を無理矢理とろうとした瞬間
『術式の十五!鳥籠!』
ソフィーが両手を前に出し叫んだ瞬間、ギランを光の棒が囲ってゆく。
数秒もすれば光の棒は、鳥かごのような形を作った。
『逃げて!早く!』
「え・・でも、ソフィーは」
『遠くまで逃げたら、私の名を呼んでください!そうしたら戻るから!早く!』
「うん、分かった!」
それを聞いた途端ミナは走り出す。坂を下る。全速力で。
「鳥籠か・・・。それだけ用心してくれてるってことか。だがこんなものいつかは破られるのは分かっているだろう」
『私は時間を稼ぐだけ。あなたと力比べする気はないの。それに幾らあなたでもこの鳥籠をものの数分ではやぶれないわ』
あたったでしょ?と聞くソフィー。だが手は、鳥籠を出した時の形のままだ。
「ふん、あなどるな」
コンと指で鳥籠を叩く。ソフィーの顔が険しくなる。
『やめてくれる?さっきもいったでしょ。私はあなたと力比べをする気はないって』
「しかたがない。さっきの速さではもう追いつけんだろう」
『物分りが良くて助かるわ』
冷や汗が落ちる。
「だが、魔王様の完全復活を諦めたわけではないからな!」
普通ならこれで戦意を喪失してしまうであろうものすごいプレッシャー。
ソフィーは下唇をかんでこらえる。
『そう、でも今回はこれでお終い。もうすぐ呼ばれるわ』
「はぁ、はぁ」
さっき剣を杖代わりにして登った坂を一気に下る。
「はぁ、はぁ、これぐらいで・・・」
「ミナちゃん!?」
ソフィーの名を呼ぼうとしたとき後ろから声がかかる。
「カリク!?なんでここに」
「マルクーー!!おったー!」
「聞け!」
カリクは遠くに居るマルクに手を振る。
「いたか!」
マルクがすぐに来た。
「あ、ちょっとまって」
マルクが近づいたので、あとずさる。
「ちょっとまってて」
山の上に向かって叫ぶ。
「ソフィーーーーーーーーーー!!!!」
ヒュン
『はい?』
「早!」
後ろから、ソフィーが肩越しに顔をみせる。
「ミナちゃん?」
「あ!そうそう、えーーっと事情を説明させて欲しい」
「事情を聞きたかったから言ってくれてええよ」
「えーーっと、あのひの後・・・・」
今までのいきさつとなぜここに居るのかを説明した。
「へぇー、そういうことやったん。大変やったな~」
「大変だったの」
「じゃあ、手伝うな」
「うんそうしてもらえると・・・・って!ダメよ!これは危険な道。カリクたちを巻き込むわけには・・・」
「いや、そんなん聞くと思うか?」
マルクを指差しながら苦笑い。
「聞きそうにないわね。マルクも、あなたも」
「そういうと思った」
「じゃあ、手伝って。といっても・・・」
ザシュッ
「いやー、あたし一人の時より大分楽だわー」
マルクとカリクがミナの横でゴブリンを倒している。
「俺ら、護衛かよ」
「偉大なる女神様のな♪」
カリクは楽しんでいるようだ。
「神殿があるのは、ここの山頂だからもう少し頑張ってねー」
「この調子で登るのか・・・」
マルクはもう、すぐやられるくせに何回も出てくるゴブリンにむかついていた。




