脱出、剣奪還
「う、うぅ」
気づいたら、ミナが居たのは牢の中だった。
「ここは?」
聞いても誰も答えない。いつもならソフィーが答えてくれるはずだ。
「ソフィー?あ!」
ソフィーが答えなくてやっと気づく。
「剣も、たても、何も無い・・・。それに縛られてる」
周りを見渡すがあるはずも無く。牢の前にはゴブリンが立っていて、出られそうに無い。
(ギランが来てない。まだチャンスはある)
すると、ミナの近くで土煙がおこり始めた。
<よう!大丈夫かい?>
カンだ。お気楽そうに声をかけてくる。
「大丈夫なように見える?」
<いんや、見えない。ロープぐらいはほどいてやるよ>
カンがミナの後ろに回り、ごそごそと何かする。
<ほい>
ミナは手足動くか確認する。たって、周りを改めて見回す。
「ふう、ここからどうするか・・・」
<ここから出たいのかい?>
にやりと笑い、聞いてくるカン。
「当たり前でしょ。でも今何も持ってないし・・・」
<俺が出してやるよ>
「あっそ、がんばって・・・・・ってえ?今なんていった?」
あまりにも自信満々に言うので聞き流してしまった。
<だから、出してやるって>
「でれるの!?どうやって?見張りがあるけど」
<見張ってないとこがあるから、俺がここにきてんだろ?>
「見張れないわよこんなとこ」
今居る所は土の中。
<もうちょっとで開けたとこにでるから安心しな>
「狭いって言ってるわけじゃないの」
カンの言ったとおり、すぐしたら開けた場所に出た。
大きく土をくりぬいて広場みたいになっている。同い年の中でも背が高い方に入るミナでも立てるくらいに天井(といっても土だが)が高かった。
<ここが、俺たちイヌモ族の非常用住処だ>
「非常用?」
<今はあの変な奴らが俺たちの住処を使ってんだ>
悔しそうに言うカン。
<お客さんか?>
<タケ!お前無事だったのかよ!>
驚いている。
「どうしたの?」
<ぎゃー!!黄色の化け物ー!>
「違う!!」
<タケコイツは客だ。俺たちに何かするようなやからじゃねえよ>
<ならいいが>
<んで、コイツがタケ。俺たちの住処を取り返そうと頑張ってくれた奴だ>
「私はミナ」
それぞれ自己紹介をする。
<そういや、ミナはなんであんなとこにいたんだ?>
「いや、それが・・・」
ここまでのいきさつを話す。
「って、言う訳で」
<そうか、じゃあミナは空から落ち来る者なんだな>
「空から落ち来るもの?なにそれ」
<俺たちイヌモ族の言い伝えで、『空から落ち来る者二人がいつか困難に迷い込む。それを助け、導け』って言うのがあるんだよ>
「二人・・・あたしと・・・ユウだ!」
<五月蝿い!!>
「いった!」
叩かれる。なぜか途轍もなく痛い。
<響くだろ!!>
「ごめんなさい」
<で?これからどうするつもりなんだ?>
「まず、剣を取り返さないとどうにもならないわ」
上を見つめてつぶやく。
<でも、上は見張りが多すぎるぜ>
「だから、協力して☆」
<なぁ、タケ。嫌な予感がするんだが>
<俺もする。>
「上はどうー?」
<近くにはいねえな。上がっても大丈夫そうだ>
「よし!」
ミナは土からはいでる。
<なあ、まだやんのか?>
「やるよー。さっきまでと同じように相手に見つかったら地面強く蹴るから」
<あいよ>
ミナはカンを自分の下に居させて、相手に見つかったら土に引き込んでもらうということをしていた。ついでに移動の際も一度カンに周りを見てもらってから出て捜索しているのだ。
「ソフィー」
小声で呼ぶが返事が、
『こっちです!』
あった。
「ソフィー!!」
声があったが、何処にあるか分からない。
『右の横道を真っ直ぐ!』
言われた道を走る。
『突き当たりで、左』
左に曲がる。
『目の前の建物の中、入ってすぐ』
「あった!」
建物に入るとソフィーの言ったとおり、入ってすぐに剣が刺さっていた。
ピギャーーー!!
「な!」
後ろからゴブリンが襲ってくる。
<中にはいるか?>
「いい」
スゥゥゥゥハァァァァ
何かの構えをとって深呼吸する。
ピギー!
「はぁ!!」
握っていたこぶしを思いっきり前に突き出す。
ピギャーーーー!!
ゴブリンがぶっ飛んでく。
「今のうち!」
剣を抜く。
『ミナさん。申し訳・・・』
「そんなもんどうでもいい!今は目の前の敵!増えてきたわよ!」
ゴブリンが飛んでいった壁の扉から、続々とゴブリンが出てくる。
「いまの衝撃は強かったからね。下手すれば、この建物がつぶ」
ゴゴゴゴゴ
「れるわね」
『呑気に言ってる場合じゃないです!』
「分かってるわよ!カン!」
<おう!>
ミナの体が土に入っていく。
<よいしょお!>
「ほいっと」
スタンと綺麗に着地。着地といっても、そんなに高さは無いのだが。
『これがイヌモ族の通路』
おどろきながら、回りを見渡すソフィー。
『意外と明るいんですね』
「私も思ったけどね」
ソフィーに声をかける。
「ついてきてくれると嬉しいんだけどな」
ミナがソフィーから少し離れた所で止まっている。離れすぎたら、首がしまるのだ。
『あ、ごめんなさい』
ソフィーが追いつく。
<はよしやー!!>
遠くで、カンが叫ぶ。
「さけぶな!ひびく!」
叫び返す。
<コッチの台詞じゃーーー!!>
「だから、さけぶなーー!!」
『早く行きましょうよー』
まだ、暫くの間ミナとカンの叫びあいは続いた。




