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『我儘な玩具箱(トゥテソロ)と少年ハンター 〜才能ゼロと鑑定された俺が、代償を払って神具を使いこなすまで〜』  作者: フジサン デス


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第65話:禁断の取引

第65話:禁断の取引


ローズ邸・実験室。


爆発の痕跡、焦げた床、謎の薬品の匂い。

相変わらず混沌とした空間の一角で――


「……おい」


エンキドの声が、やけに低かった。


「どうしたの?」

セレナが振り向く。


エンキドは無言のまま足元を指差した。


そこには――

まるで石ころのように、雑に転がされた灰銀色の塊。


「……まさか」


セレナの表情が固まる。

ウルガも息を呑んだ。


「オリハル……コン……?」


信じられない。

探し求めていた希少素材が埃まみれで床に転がっている。


「ちょ、ちょっと待って」

ウルガがローズを見る。

「これ……オリハルコン原石だよね?」


「そうだけど?」

ローズはあっさり答えた。

「失敗作よ。硬すぎて扱いづらいし」


「失敗作!?」

三人の声が重なる。


エンキドは頭を抱えた。

「……王都のオークションに出たら、城一つ買える代物だぞ」


「ふぅん」

ローズは興味なさげだ。

「でも私は“面白くない素材”は嫌いなの」



「……ふぅん」

ローズはニヤリと笑った。

「それ、欲しいんでしょ?」


ウルガ達は黙るしかなかった。


「条件は簡単よ」

ローズはバステト様を見る。

「その猫、実験させなさい」


「ダメです!!」

ウルガが即座に叫ぶ。


「じゃあ交渉決裂ね」

ローズは肩をすくめ、原石を蹴る。


ガン、と鈍い音。


――これを逃せば、オリハルコンは二度と手に入らない。


「ウルガ……」

セレナが歯を噛みしめる。

「他に方法は……」


エンキドも首を横に振った。

「ない。正直、これ以上の機会は存在しない」


沈黙。


バステト様は相変わらず棚の上で丸くなり欠伸をしている。


「みゃあ」


……完全に場違いだ。



ウルガは、深く息を吸った。


「……分かりました」

震える声で言う。

「条件、飲みます」


セレナが目を見開く。

「ウルガ!?」


「ただし」

ウルガはローズを真っ直ぐ見る。

「その前に伝えなきゃいけない事がある」


「何よ?」


ウルガは、覚悟を決めた。


「その猫は――」

「ただの猫じゃありません」


ローズが一瞬、眉を動かす。


「バステト様は……」

「神様です」


沈黙。


数秒。

いや、数瞬。


次の瞬間――


「……は?」


ローズの口から間の抜けた声が漏れた。


「みゃあ」

バステト様は実に楽しそうに尻尾を揺らしていた。

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