表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『我儘な玩具箱(トゥテソロ)と少年ハンター 〜才能ゼロと鑑定された俺が、代償を払って神具を使いこなすまで〜』  作者: フジサン デス


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

66/66

第63話:変人令嬢の招待状(拒否権なし)

第63話:変人令嬢の招待状(拒否権なし)


王都の大通り。

石畳と人の波に飲まれかけながらウルガは必死について行っていた。


「す、すごいな王都……」

「建物も人も全部でかい……」


「落ち着きなさい」

セレナが小声で釘を刺す。

「恥ずかしいわよ」


その時だった。


「……止まりなさい」


涼やかで、しかし有無を言わせぬ声。

進路を塞ぐように、一人の女性が立っていた。


薔薇色の長髪、整った顔立ち。

貴族然とした装いだが――

その視線は、明らかに人ではなく。


「みゃあ」


ウルガの腕の中で欠伸をするバステト様に、完全に固定されていた。


「……素晴らしい」

「生体挙動が異常」

「魔力反応はゼロ、なのに存在感が飽和している」


「え、えっと……?」

ウルガが困惑していると、女性は満足げに頷く。


「ローズ・グラスハイム」

「王家御用達の錬金術師よ」


その名を聞いた瞬間、

エンキドが露骨に嫌そうな顔をした。


「……まだ王都にいたのか」

「グラスハイム伯爵家が誇る錬金術バカ」


「第一声がそれ!?」

ローズが即座に噛みつく。

「久しぶりねエンキド!」


「久しぶりだな」

「相変わらず人付き合いは壊滅的か」


「あなたにだけは言われたくないわ!」


セレナがウルガに耳打ちする。

「錬金術師って変人ばかりね…」

「しかも、かなり拗れてる」


「ふむ……」

ローズは言い争いを即座に切り上げ、再びバステト様へ一歩近づく。


「ねえ、その猫」

「譲ってもらえない?」


「む、無理です!」


即答だった。


「実験はしない」

「軽い刺激と魔力反応の観察だけだ」

「安全は保証する」


「それ実験です!嫌な予感しかしませんよ」


ウルガは慌ててバステト様を抱き直す。


「この子は……その……」

「大事な、家族みたいなもので……」


言葉を濁すウルガの胸元でバステト様は相変わらず泰然としていた。


「みゃあ」


「……鳴いた?」

ローズの目が細まる。

「今の、普通じゃないわね」


「普通です!」

ウルガは必死だ。

「猫は普通鳴きますから!」


「ますます興味深い……」


ローズは一拍置いて、にっこり笑った。


「決めたわ」

「あなた達、うちに来なさい」


「え?」


「実験室があるの」

「設備も揃ってる」

「この子の“正体”を調べるには最適よ」


「行きません!」


「拒否権はないわ」


「あります!」


だがローズはもう歩き出していた。


「大丈夫」

「逃げても追いかけるから」


「怖いこと言わないでください!?」


エンキドが肩をすくめる。

「諦めろウルガ」

「捕まった時点で詰みだ」


「そんな……」


セレナは溜息をつき、

バステト様はウルガの腕の中で喉を鳴らす。


「ぬしよ」

「世の中には、面白い人間が多いの」


王都の空の下。

こうして一行は、半ば強制的に――

変人錬金術師の巣へと連行されるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ