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『我儘な玩具箱(トゥテソロ)と少年ハンター 〜才能ゼロと鑑定された俺が、代償を払って神具を使いこなすまで〜』  作者: フジサン デス


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第62話:初めての王都

第62話:初めての王都


王都グランカノン。


巨大な城壁が視界いっぱいに広がった瞬間、ウルガの動きが止まった。


「……でっか」


思わず漏れた声は、あまりに素直だった。


白く整えられた石畳。

天まで届きそうな尖塔。

行き交う人の数は、これまで訪れた街の比ではない。


「す、すごいな……! 見てよあの建物!」

「屋台も多い! あっ、あれ何売ってるんだ?」

「うわ、馬車でかっ!」


完全にお上りさんである。


「……」


セレナは無言で槍を担ぎ、少しだけ距離を取った。

知らないふりをしたい、という顔だ。


「お前なぁ……」

エンキドは額を押さえた。

「初王都で舞い上がるのは分かるけどよ」

「せめて指差すのやめろ。完全に田舎者だぞ」


「そ、そうかな?」

ウルガはきょろきょろしながら首を傾げる。

「だってすごくないか? あの噴水!」

「水が……噴いてる!」


「噴水はどこでも水を噴く」

エンキドが即座に突っ込む。


セレナは小さくため息をついた。

「……もういいわ」

「はぐれないで。それだけ守って」


その足元で、バステト様が尻尾をぱたんと揺らした。


「まったく……」

「人の子というのは、どうしてこうも騒がしいのじゃ」


呆れたように言いながらもバステト様は周囲を見回し、興味深そうに鼻をひくひくさせている。


「……ふむ」

「魚の匂いが濃いな。この街は悪くない」


「そこかよ」

エンキドが小声で突っ込んだ。


通りを進むたび、ウルガは足を止める。

武器屋、魔道具店、書店、酒場。

どれもこれも目新しくて仕方がない。


「なぁセレナ! あの槍、派手だぞ!」

「……あれは儀礼用よ」

即答だった。


「エンキド! あの本屋、分厚い本ばっかだ!」

「王都だしな」

「値段見てから言え」


「バステト様、あの魚――」

「後じゃ」

「今は我慢じゃ」


三人と一匹。

温度差はひどかったが、それでも歩調は自然と揃っていた。


やがてエンキドが立ち止まる。


「よし、まずは情報集めだ」

「王都は広い。無闇に動くと疲れるだけだぞ」


「了解!」

ウルガは元気よく返事をし――


直後、また別の方向を見て目を輝かせた。


「……なぁ」

「王都って、ずっとこんな感じなのか?」


「お前が落ち着けばな」

エンキドは肩をすくめる。


セレナは小さく苦笑した。

「……まあ」

「最初だけよ。最初は、ね」


バステト様はウルガの肩に前足を乗せ、

じっと顔を覗き込んだ。


「浮かれるのも、悪くはない」

「ただし――」

「迷子になるでないぞ?」


「ならないって!」


そう言い切った直後、

ウルガは人波に押されて一歩ずれた。


「……ほらな」

エンキドが呆れた声を出す。


王都グランカノン。

それは、冒険の舞台であると同時に――

ウルガにとって、刺激が多すぎる街でもあった。

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