第47話:殲滅戦線
第47話:殲滅戦線
「よぉし、皆んな――ここからは本気だ」
クロムが一歩前に出て、声を張り上げる。
「プラチナの名は伊達じゃないってとこを――後輩共に見せてやれ!」
「「おう!!」」
即座に返る、二人の声。 迷いも躊躇もない。
「悪いが、ウルガたちは見学だ」
そう言ってクロムは、人好きのする笑顔を向けた。
(……たった一声で、張り詰めてた空気が霧散した) ウルガは思わず感心し、静かに頷く。 エンキドとセレナも、無言でそれに続いた。
さらに山道を進んだ瞬間―― 空気が、はっきりと変わった。
「来るぞ!」
クロムが即座に指示を飛ばす。
「ガルバラ、前に出て防御体制!」 「メテロム、雷でヤツの速度を殺せ!」
「おう、任せろ!」
ズドンッ――!
ガルバラが地面を踏み砕く勢いで前に出る。 巨大な大盾を構えた、その瞬間。
――バサァァッ!!
上空から、影が落ちてきた。 ワイバーンが一気に加速し、重力ごと叩きつけるように突撃する。
バゴォォン!!
爆音。 衝撃波が山道を揺らし、岩肌に反響する。
「ぐっ……! なんちゅう勢いじゃ……!」
ガルバラの体が、半歩――それでも確実に、後ろへずれた。
ワイバーンは即座に体勢を立て直し、再び空へ舞い上がろうとする。
だが――
「天駆ける紫電、刹那の瞬き。 停滞を裂き、静寂を貫け――」
メテロムの声が、冷たく響いた。
『紫電一閃』
雷が、槍となって炸裂する。
紫の閃光が空を裂き、ワイバーンへと突き刺さった。 咄嗟に身を捻り、直撃は避けたものの――
「ギャアァァ――!」
片翼に穴が穿たれ、黒く焦げ付く。 飛翔は、もはや不可能。
「後は――任せろ!」
クロムが、一歩踏み出す。
――『断罪の魂喰』
剣から放たれた、禍々しい何か。 それは生き物のようにワイバーンへ絡みつき、喰らいつく。
暴れる力が、急速に失われていく。
ワイバーンの目から、次第に光が消え―― その巨体は、音もなく地面へと落下した。
山道には、風の音だけが残っていた。
(……これが、プラチナ……) ウルガ達は、ただ息を呑むしかなかった。
これは余談だが、エンキドの股間は湿度を帯びていた。
だが彼は微塵の動揺もなく鋭い眼光で明日を見据えていた。




