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『我儘な玩具箱(トゥテソロ)と少年ハンター 〜才能ゼロと鑑定された俺が、代償を払って神具を使いこなすまで〜』  作者: フジサン デス


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第46話:山脈の影

第46話:山脈の影

翌朝。

マチル村を出たウルガたちは、殲滅戦線の三人と連れ立って山道へ向かった。

「ここで出会ったのも何かの縁じゃ」 「途中まで共に行こうぞ、がははは!」

ガルバラが豪快に笑う。

「後輩冒険者として、勉強させてもらうよ」

ウルガが少し背筋を伸ばして答えると、

「ウル坊は真面目だなー、はは」

メテロムが肩を揺らして笑った。

「じゃあ、そろそろ出発しようか」

クロムが剣を肩に担ぐ。

「前は俺とセレナで蹴散らす」 「後ろに抜けた奴はよろしくな」

軽い調子だが、その声には自信が滲んでいた。

六人はそのまま、トレマーダ山脈へと足を踏み入れる。


山道に入ると、空気が変わった。

風は冷たく、木々の影が濃い。

だが、魔物が出ても足止めになることはなかった。

クロムが前に出て、剣を――

ザッ、と一振り。

それだけで魔物は吹き飛び、道が開く。

「……速い」

ウルガが思わず呟く。

「剣の軌道が無駄なくて綺麗ね」

セレナも感心したように目を細める。

「ところでさ」

歩きながら、ウルガがふと尋ねた。

「殲滅戦線は、何の依頼で山に行くの?」

「儂らか?」

ガルバラが顎髭を撫でる。

「山道脇に巣を作っちまったワイバーンの討伐じゃ」

その言葉に、エンキドの顔色が変わった。

「……ワイバーン?」

ワイバーン。

単体でも複数パーティで挑むことが多い強敵だ。

「まあ心配しなさんな」

ガルバラは大きく笑い飛ばす。

「ワイバーン如きに遅れを取る儂らじゃないわい」 「がははは!」

「……だよなぁ」

エンキドは乾いた笑いを浮かべつつ、無意識に周囲を見回す。

――バサッ。

風を切るような、重い羽音。

ウルガは即座に足を止め、空を見上げた。

「…何かくる!」

「やっぱりか」 クロムも歩みを止め、剣に手をかける。

霧の向こう、尾根の上。

巨大な影が、悠然と旋回していた。

「ワイバーンね」 セレナが低く呟く。 「まだ降りてこない……様子見かしら」

鱗に覆われた長い胴体。

鋭い翼が霧を切り裂くたび、山道に不穏な風が流れ込む。

「人の気配を察知して偵察に来たんじゃろ」 ガルバラが顎を撫でながら言った。 「巣が近い証拠じゃな」

エンキドは思わず唾を飲み込む。


「今はまだ、様子見ってとこか」 クロムは剣を抜かず、視線だけで影を追う。 「下手に仕掛けると、ヤツラを刺激するな」

ワイバーンはしばらく旋回した後、

こちらを見下ろすように一度だけ首を傾け――霧の奥へと姿を消した。

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