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『我儘な玩具箱(トゥテソロ)と少年ハンター 〜才能ゼロと鑑定された俺が、代償を払って神具を使いこなすまで〜』  作者: フジサン デス


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第45話:街道の先で

第45話:街道の先で

翌朝。

三人はまだ人の少ない時間帯に街を出た。

朝露の残る街道はよく整備されていて、馬車の轍が規則正しく続いている。

魔物の気配もなく、拍子抜けするほど平和だった。

「ちょうど中間のマチル村で一泊しましょ」

セレナが地図を見ながら言う。

「俺は野宿でもいいから、のんびり行きてぇなー」

伸びをしながらエンキドが呑気に返す。

「街道は魔物も出ないし、先を急ごうよ」 「マチル村は畜産が盛んだから、チーズにたまご、それに新鮮なお肉……」

ウルガの口の端で出てはいけない汁がキラリと光った。

「……おい」

エンキドがそれを見逃すはずもない。

「お前らチンタラ歩いてたら、日が暮れるぞ」

さっきまで野宿派だった男の、見事な手のひら返しだった。

セレナは肩をすくめて苦笑する。

「はいはい、急ぎましょうか」

そんな他愛のないやり取りをしながら、

三人は街道を進んだ。


夕暮れ時。

牧草の匂いが風に混じり、低い丘の向こうに村が見えてくる。

マチル村だった。

木造の家々、柵に囲まれた家畜、

遠くからでも分かる穏やかな空気。

腹ペコ三人組は、宿に荷を置くと真っ先に村の食堂へと駆け込んだ。

テーブルに並ぶのは、

焼きたての肉、濃厚なチーズ、黄身の濃い卵料理。

「……うま」

「これは、当たりね」

「酒が止まらなくなりそうだな」

三人が無心で食べていると、

隣の席から声が飛んできた。

「よお!お前達も冒険者だろ?」 「もしかして、トレマーダ山脈に行くのか?」

エンキドが箸を止め、横目で相手を見る。

「……そうだが」 「お前さん達、何もんだい?」

疑り深い問いかけにも、男は気にした様子もなく笑った。

「おっと、すまない!自己紹介がまだだったな」

胸を張って言う。

「俺達は――

『殲滅戦線』ってパーティーの冒険者だ」

「ぶっ――!」

セレナが盛大にワインを吹き出し、激しくむせた。

「せ、殲滅戦線って言ったら……!」 「プラチナランクのパーティじゃない!」

「おっ!お嬢さん、俺たちのこと知ってんのかい」 「嬉しいねぇ!」

笑いながら、別の男が肩をすくめる。

「っても、プラチナはリーダーだけだがな」 「後の二人、俺達はゴールドだ」 「ワハハハハ!」

改めて名乗られた三人。


クロム・サイファー。

金髪碧眼、社交的な笑顔の剣士。

このパーティのリーダーで、プラチナランク。

メテロム。

細身でキツネ目の魔法使い。

クールそうに見えて、意外とよく喋る。

ガルバラ・ロムスキー。

背は低く、髭面で豪快な盾使い。

ドワーフと間違われるのが日常らしい。

ちなみに酒豪。


そこから先は、自然な流れだった。

互いの冒険談、最近の依頼、危険だった仕事、笑い話。

食堂はいつの間にか、六人の笑い声で満ちていた。

夜は更け、マチル村は静かに眠りにつく。

だがこの街道の先で、彼らを待つものが、決して穏やかではないことを――

この時、誰もまだ知らなかった。

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