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『我儘な玩具箱(トゥテソロ)と少年ハンター 〜才能ゼロと鑑定された俺が、代償を払って神具を使いこなすまで〜』  作者: フジサン デス


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第33話 ズルい大人

翌日ウルガはギルド長室へと呼び出された。


ギルマスは椅子に深く腰掛け、天井を見つめながら話し始める。

静かな声だった。

「要点は三つだ」

指を一本立てる。

「なんか怖そう」

二本目。

「正体を明かすと面倒そう、なんなら知りたくない」

三本目。

「そして――」

視線が、床で丸くなっている黒猫へ向く。

「やっぱり、なんか怖い」

ウルガの嫌な予感が、確信に変わる。

「ギルマス……?」

「よし、決めたぞ」

ギルマスは立ち上がり、

異様に晴れやかな顔で宣言した。

「バステト様は――

ウルガ専属パートナーとする」

「……は?」

「登録はしない。管理もしない。責任も取らない」

ウルガの思考が止まる。

「あとは――」

ギルマスは、ぽん、とウルガの肩を叩いた。

「全部任せる!」

「ちょっと待ってください!?」

「安心しろ」

ギルマスは真顔で言った。

「これは信頼だ」

(大人のズルさだ……!!)

ウルガが抗議の言葉を探している間に、

ギルマスは既に扉へ向かっていた。

「では私は“別件”があるのでな」

「逃げる気満々じゃないですか!」

「誤解だ」

振り返りもせず、ギルマスは言う。

「最も被害が少ない配置を選んだだけだ」

そして扉が閉まった。

完全撤退である。

「…………」

部屋に残されたのは、

呆然とするウルガ、苦笑するセレナ、

肩を揺らして笑いを堪えるエンキド。

そして。

「ふむ」

バステト様が、悠然とウルガを見上げた。

「つまり妾は、

これからそなたの世話になるということか」

「い、いえ、そういう訳では……」

「案ずるな」

バステト様は軽く欠伸をする。

「妾は人に寛大じゃ。無理は言わぬ」

その瞬間。

「――ウルガ!!」

扉が勢いよく開いた。

「ひっ」

ウルガが情けない声を上げる。

そこには、目を輝かせたリーナが立っていた。

「聞きました!!

バステト様、ウルガの専属なんですよね!?」

「……どこから?」

「受付情報網です!!」

(怖い!!)

リーナはずいっと距離を詰める。

「ということはですよ?」

「ウルガが許可すれば……」

「私はさらに、バステト様に近づけるんですよね!?」

圧がすごい。

物理的ではないが、

確実に逃げ場がない。

「ちょ、ちょっと落ち着いて……!」

「落ち着いてます!!冷静です!!

理性的です!!」

「嘘だ!」

バステト様は、その様子を見て楽しそうに笑った。

「ほほう。そなた、随分と慕われておるの」

「違います!全部あなたのせいです!」

「ウルガ?」

「は、はい……」

「面白いの」

バステト様は、くるりと丸くなりながら言った。

「ではしばらく、

そなたの“専属”を楽しませてもらおうか」

ウルガは悟った。

(これは……)

(冒険より胃に悪い日常が始まった)

その背後で、リーナが手を合わせる。

「ウルガ……」

「な、なんだよ……」

「今日の“面会申請”……」

にっこり。

「三回までで、いいですか?」

「多いよ!!」

こうして。

ギルドは平和を保ち、

責任は一人に集中した。

大人は逃げ、

若者は背負い、

神はそれを楽しんでいる。

――完璧な日常破壊である。

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