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『我儘な玩具箱(トゥテソロ)と少年ハンター 〜才能ゼロと鑑定された俺が、代償を払って神具を使いこなすまで〜』  作者: フジサン デス


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第1話 少年期 ――貧乏騎士爵家・ウトナビス

あけましておめでとうございます~

転生――始まりの記憶


気づいたとき、

俺は――死んでいた。

いや、正確には「死んだはずだった」。

前世の記憶は、

驚くほどはっきり残っている。

日本という国。

剣も魔法も存在しない世界。

努力しても報われず、不運だけが律儀について回った人生。

病院の白い天井。

心電図の音。

そして、途切れる意識。

――次は、遠慮しない。

――自分の人生は、自分の欲望で選ぶ。

そう誓った瞬間、

俺の意識は闇に沈み――

再び、光に包まれた。

赤子の視界と、違和感

目を開くと、

視界はやけに低く、歪んでいた。

声を出そうとしても、

喉から漏れるのは意味のない泣き声だけ。

(……赤ん坊、かよ)

理解した瞬間、

奇妙な冷静さと、どうしようもない可笑しさがこみ上げた。

だが、それ以上に――

はっきりと「おかしい」と思ったことがある。

(……重いな)

意識の奥に、

何かが在る。

形はない。

音も、光もない。

だが確かに――

“箱”のような存在感。

(……玩具箱?)

その瞬間、

俺は確信した。

これは、

この世界のものじゃない。



貧乏騎士爵家・ウトナビス


俺はやがて、

自分の立場を知ることになる。

名は、ウルガ。

家名は、ウトナビス。

辺境に領地を持つ――

とは名ばかりの、没落寸前の騎士爵家。

城はない。

使用人もほとんどいない。

あるのは、古びた屋敷と、痩せた畑だけ。

父は実直だが、不器用な男。

母は優しいが、いつも疲れている。

兄と姉は、

家計を支えるため、幼いころから剣と労働に明け暮れていた。

(三男の俺が、将来の戦力……か)

状況は、

正直に言って詰んでいる。

だが――

不思議と絶望はなかった。



我儘な玩具箱トゥテソロ


ある夜。

誰もいない寝床で、

俺は“それ”に意識を向けた。

(……あるよな)

返事はない。

だが、応えるように――

意識の奥が、わずかに軋む。

次の瞬間。

亜空間が、

ほんの一瞬だけ開いた。

そこから現れたのは――

短剣。

見たことがある。

いや、知っている。

(……これ、地球の――)

刃は黒く、

星空のような紋様が走っている。

前世の記憶が、

はっきりと名前を告げた。

(ミセリコルデ……

 中世ヨーロッパで使われた、慈悲の短剣)

騎士が、

瀕死の仲間や敵に“苦しみなき死”を与えるための武器。

――慈悲の名を持つ、

極めて現実的な刃。

(……なんで、こんなものが)

震えた。

この世界の神話じゃない。

この世界の誰も、知らない。

だが俺は知っている。

前世の知識だからだ。

(つまり……)

俺は、

確信する。

この力――

**我儘な玩具箱トゥテソロ**は、

俺の“欲しい”に応じて、

地球の神話・伝承に語られる神具だけを選び、与える。

そして同時に、

直感的に理解した。

(……代償があるな)

胸の奥が、

じくりと痛む。

魔力――

いや、生命に近い何かを、

少しだけ削られた感覚。

(強いものほど、

 たくさん“餌”が要る……か)

玩具箱は、

便利だ。

だが、

甘やかしてはくれない。

少年は、静かに決める

短剣は、

役目を終えると――

自然に、亜空間へと帰っていった。

(……役目が終わったら、帰る。

 本当に、都合のいい玩具だ)

思わず、

小さく笑う。

貧乏貴族。

三男。

このままなら、

未来は見えている。

だが――

(それでも)

俺は、

この家で生きる。

力に溺れず、

仲間を守れるようになるまで。

玩具に振り回されず、

“使う側”として成長するまで。

少年ウルガは、

まだ知らない。

この静かな決意が、

やがて――

ハンター時代の伝説へと繋がることを。

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